A DAY IN MY LIFE

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2004/02/29/Sun.
▲晴れ。
▲新宿区の落合と一口に言っても「上」「下」「西」といろいろあって、かなり広い。今日は乳母車を押して上落合方面から東中野へと歩いた。いつもイクヤが遊んでいるミッフィーのおもちゃを出しているアポロ社の社屋を発見。東西線落合駅の近くに南米の食品雑貨を扱う店を見つけたが、日曜日の開店時間は夜6時からとのことだった。


2004/02/28/Sat.
▲晴れ。
▲地図で見つけた近所の公園に乳母車を押して行く。途中でハンバーガーとビールを買い、小さな池のほとりで食べた。池では小さな男の子とお父さんが池のなかの生き物を観察している様子だった。やがておじいちゃんが現れ、ライカM6で男の子の写真を撮りはじめた。レンズはズミクロンの50ミリ(新しいの)。男の子は池の中からカエルの卵を引っぱり出し、棒でつついていた。小さな池の中にはカエルの卵がのたうつようにとぐろを巻いていた。
▲おじいちゃんは「ちゃんと池の中に戻すんだぞ。戻さないとカエルに呪われるぞ」とさんざん脅かして帰っていった。男の子はお父さんと卵を戻したけど、全部ではなかった。彼らがいなくなった後、まだらに残されたカエルの卵がなんだか不憫になり、棒でできるだけ丁寧に卵を池に返した。
みねこさんの結婚パーティー。楽しい会だった。みねこさんとは三多摩LOMO会なるカメラ・写真同好会で知り合い、昨年末の忘年会では夫君も紹介してもらった。パーティでは彼女の撮った写真がスクリーンにブロウアップされ、かっこよかった。
▲LOMO会関係者と渋谷→新宿と移動しつつ久しぶりに朝まで飲んだ。話した内容も恋愛のこととかで、学生時代にタイムスリップしたような感があった。年齢もまちまちなのだが、どこか同窓会めいた雰囲気もあって不思議な気がした。


2004/02/27/Fri.
▲晴れ。
▲アヤさん来宅。
▲『ニコンD70』昨日校了していた。
▲東野圭吾『幻夜』(集英社)の書評を書いてbk1に掲載する。
▲歌舞伎町上海小吃。旅の話など。とくにロシア方面とか。


2004/02/26/Thu.
▲晴れ。
▲終日『「噂の真相」一行情報大全集』(3月10日発売予定)の文字校正。へとへとになる。情報量たっぷりの本! お買い得です。
▲藤原帰一『「正しい戦争」は本当にあるのか』(ロッキング・オン)を読んでいる。イラク戦争について、国際紛争を解決する手段としての武力行使の有効性についてなどなど、戦争と平和について、ロッキング・オンの渋谷陽一が国際政治学者、藤原帰一に素朴な疑問をぶつけていく。インタビュー本なので、文章は平易だが、書かれていることは複雑で、一気読みはためらわれる。考え考えしながら読んでいる。
▲この本のキモは、ロック雑誌を作ってきた渋谷陽一が、ロック・スピリットたる「ラブ&ピース」が、現実の「世界」で本当に有効なのか? という素朴といえばこれ以上素朴な疑問はないという疑問を抱き、国際政治の専門家に現実の世界について率直に聞いているところ。つまり、ロッカーが聞く国際政治。ロック・スピリットにわずかなりとも触れた経験のある人には共感できるんじゃないかと思う。
『エースをねらえ!』をなんとなく見ているのだが、今回の最後のところで、宗方仁(内野聖陽)が倒れる直前に書いていた書は「夢」だった。
▲続けて『白い巨塔』を見たら、財前教授(唐沢寿明)、めまいに襲われていた。そういえば、この人も癌で死ぬ宿命だった。今後、同時進行で病に倒れる姿を見ることになりそうだ。


2004/02/25/Wed.
▲晴れ。
▲先日、日記で取材に使う録音機材のことを書いたら、尊敬するライターのKさんからメールをいただいた。Kさんのアドバイスを参考にして、MDレコーダーを買いに行く。ソニーのMZ-B100という型番のもの。
▲散髪に行く。
▲4月に出るムック「日経モノクル」の座談会。お題はテレビドラマと原作本。発言と原稿をまとめがぼくの仕事。事前にここ数年間の原作付きドラマの一覧表を作っておいた。文芸書はほとんどなし。マンガばっかりだ。出席者の1人はアニメ評論家藤津亮太さんのアニメについての造詣の深さと視点の鋭さ、業界事情への通暁ぶりにただただ感心。藤津さんの著書『「アニメ評論家」宣言』(扶桑社)はこの業界では珍しいアニメ評論書で、アニメを言葉で評論することに魂を込めた秀逸な本。未読の方にお薦めしておきたい。
▲座談会がはねてから新宿で1杯飲んでから帰る。やたらと「社長」が多い店で、資金繰りの話が熱く盛り上がっていた。かえりがけ、ドンキ・ホーテ大久保店のあたりまで歩いたのだが、ならびのミニ・ディスカウントショップが突然サーターアンダギー(沖縄ドーナツ)を売り始めていた。4コ200円という微妙な価格設定で、試しに買ってみた。美味しかった。ここは以前「この店のオーナーは日本人です」という、書いてある意味はわかるが、どう受け取っていいか理解に苦しむ貼り紙がしてあった。


2004/02/24/Tue.
▲晴れ。
▲忘れました。


2004/02/23/Mon.
▲晴れ。
▲白石一文の最新長篇小説『見えないドアと鶴の空』(光文社)読了。最近、気になっている作家の1人。好きか? と聞かれると「うーん」という感じなのだが(どういう感じだ?)、なにか、すごい小説を書きそうな気がする……。この人の初期作品はエリートビジネスマンとか官僚、政治家とかが天下国家を論じつつ、不倫するという、いったいどこまでその小説のなかで描かれている「天下国家」についてマジメに考えているのかよくわからない小説で、しかし、そういう気色悪さ(エリートの不倫小説なんて!)を越えて、小説としての読み応えがあるものだった。
▲ところが、に『僕のなかの壊れていない部分』(光文社)『草にすわる』(光文社)の2作を読むと、もともとあった、得体の知れない部分が拡大されていくような気がする。生とか死とか、いまどき……というような根本的な問題をゆきつもどりつ考えていくような、奇妙な味わいを持つ小説になっている。しかし、優れた作品か? と問われると、どうも答えに窮するというか、何かが違っているような気がしないでもない。
▲で、『見えないドアと鶴の空』はオビに「この世の『仕組み』に挑む書き下ろし」とあり、そういうハッタリがいかにも似合う作家だなあ、と思いながら読みはじめたのだが、これが実に奇妙奇天烈な小説だった。
▲出だしは作者お得意の不倫小説だ。三十代前半の夫婦。夫の昂一は2年前に務めていた大手出版社を辞めてから就職はせずにぶらぶらしている。妻の絹子はCM制作の仕事をしているキャリアウーマン。しょっちゅうロケで家を空けている。絹子には由香里という幼なじみの親友がいる。由香里は不倫相手の子どもを妊娠し、1人で育てることを決めていた。出産当日、電話で由香里に呼び出された昂一は出産に立ち合うなりゆきになる。そして、その出産立ち会いがきかっけで由香里との間が接近し、関係ができてしまう。そして、あっさりと絹子に現場を押さえられる。
▲ここまでは普通の小説だが、ここから変調する。絹子は不倫現場に踏み込み、昂一を連れて千葉の田舎へ行く。そこには霊能者がいて、昂一に護符を飲ませる。絹子によると、由香里には超能力があり、その能力を使って昂一をたらしこんだのだという。たしかに由香里に不思議な能力があることは納得した昂一だったが、自分の気持ちまで操作されたとは思えない。しかも、絹子と由香里の話には、何か隠されているものがあるのではないかと感じる。昂一は二人には行き先を告げないまま二人が育った北海道へ飛んだが……。
▲途中から、登場人物の顔がつのだじろう(『うしろの百太郎』とか)のマンガのキャラに思えてならなかった。超常現象のほかに奇跡についてのエピソードが織り込まれているあたりは、『聖なる予言』を思わせる。しかし、いわゆるオカルト小説、ファンタジーと呼ぶには、この小説が提示している世界観は日常的に過ぎる。むしろ、オカルトを素材に、観念的な世界観を示すというのが作者の狙いなのだろう──とは思うのだが、この作家の場合、どこまで本気なのかわかりかねる部分が多々あり、この小説の意図も、わかりかねる部分はある。ただ、作者がこの世界を自前の脳みそでとらえて、小説として表現しようと格闘していることはよくわかる。
▲作中、主人公が取材で出会った老僧の言葉を引用している部分が印象に残った。要約すれば、人は生まれながらにして仏だが、大人になるに連れて仏性を忘れてしまう。腐った大人を見、その真似をして生きている。頭の中にあるのはカネとモノだけ。「とどのつまりは空っぽの頭にチンチンとマンコがついとるだけ」。仏性を言い換えれば、無限なる可能性で、なるほど、どんな「奇跡」が起こってもおかしくはない。観念的、哲学的な命題が提示されている一方で、ストーリーはスピーディーかつサービス満点。しかし、白石一文の小説すべてにいえることだが「どこまで本気でそう思って書いているのか?」よくわからないことは常の通り。しかし、最後まで一気に読ませる筆力があるのだから、本当に変わった作家だと思う。


2004/02/22/Sun.
▲晴れ。強風。
▲浅草。久しぶりに六区のあたりを歩いたり。週末なので、場外馬券売場のあたりがたいへんにぎわっていた。いつもなら、ここで1杯、という気分になるのだが、乳母車を押して歩いているので、そういうわけにもいかない。
▲川を渡って錦糸町まで歩く。このあたりの地理感覚が分からず、意外と近いことに驚いた。駅と駅をつなぐように移動しているとわからないことが、歩くことで分かる。「赤ちゃん本舗」で買い物をしてから帰る。
▲垣根涼介『ワイルド・ソウル』(幻冬舎)読了。快作! 太平洋戦争敗戦後、外務省が旗振り役になって南米への移民を募集した。農地も整備済みで、土地を分け合えるという約束だったが、現実はまったく違っていた。向かった先はインディオが原始的な生活を続けているアマゾンの奥地。与えられたのは農耕に適さない酸性の土壌の土地で、整備などまったくされていない。約束を反故にされた移民者たちは怒りの声をあげるが、領事館はその声を一切無視する──。40年後、外務省にマシンガンの銃弾がたたき込まれ、ビルに垂れ幕が下がる。当時の移民事業に対する政府の非道を告発する文句が踊っていた。次いで、移民事業に深く関わった3人の男が誘拐される。豊かになった日本人が忘れ去った移民者たちの悲惨な体験に涙しつつ、「復讐」を企てる男たちの胸中を思いをはせずにはいられない。熱いハートを持った入魂の長編ミステリー。久々に痛快な一冊を読んだ。


2004/02/21/Sat.
▲晴れ。
▲休日。近所の新宿区家庭支援センターというところで「父親懇談会」なるものが開かれるというので、「いったい、どんなお父さんが来るのか?」という好奇心から出かけてみるが、積極的参加者はただの1人もいないという微妙な会だった(笑)。「支援センター」ってのは、乳幼児を遊ばせる施設になっているので、父親懇談会に参加するつもりではなく、子どもを遊ばせにきていたお父さんが職員につかまり、懇談会に参加したりしていた。そういう場にくる人は当然、子どもの面倒をよく見ているお父さんなので、育児についての話を聞けたのはそれなりに面白かった。職員に「ぜひ定期的にこういう会を開いて下さい!」とリクエストしておく。
▲オキツさん来宅。イクヤ大興奮。


2004/02/20/Fri.
▲晴れ。
▲3週間ぶりに日記更新。ただし、現在に追いつくにはほど遠く、半分くらいまで。何日間かかけておいつくつもり(と書いている今日はもう25日なんだけど)。
▲3月に出る2冊の本のピークを過ぎたので、余裕が生まれた。新宿TSUTAYAに寄って三池崇史監督作品『さぶ』を借りてきた。
▲見るともなしにテレビドラマ『滅びのモノクローム』(21時 フジ「金曜エンターテインメント」監督:福本義人 脚本:遠藤彩見 出演:国仲涼子、葛山信吾、橋爪功、平幹二朗ほか)を見る。原作は一昨年の乱歩賞受賞作品。原作はそこそこ面白かったが、ドラマではその面白さがすべてこそぎ落とされていて、つるつるの2時間ドラマに変貌していた。主人公は、原作では地方都市に住む中年のコピーライターだったが、ドラマでは問題となるフィルムの所有者の孫娘で若手の広告ウーマン(仕事をしている気配はまったくないが)へと設定が変更されている。原作にははややくたびれた主人公の佇まいの好ましさや、戦中の外国人たちの保養地での生活や彼らが日本に持ち込んだ洋式の釣りといった、題材の面白さがあったのだが、テレビドラマではいずれも不要のものだったようだ。消臭、脱臭されたミステリーが面白いはずもなく、凡百の2時間ミステリーと何らかわりがなかった。
▲ネットで版元に注文してあった岡留安則『「噂の眞相」編集長日誌 3』(木馬書館)が届き、さっそく読み始める。結果的に時系列に関係なく読むことになったが、時代背景はともかく、どこから読んでもやっぱり「噂眞」という雰囲気が一貫しているのが凄い。何年か前には支持していたのに、途中で見限ったりとか(本多勝一とか!)の変化をつぶさに見ていくのも面白いんだけどね。5年分で1冊、というペースがまた読みやすくてちょうどいい分量。「おまけ」は佐高信との対談。


2004/02/19/Thu.
▲晴れ。
▲仕事が一段落ついて緊張感が切れたのか、シャキっとしない。
▲『ニコンD70』の文字校正やら何やら。雑用をこなす。
▲池袋ビックカメラを冷やかしてから帰る。このところ、取材用録音機材を探しているのだが、どれもピンとこない。まあ、今使ってるテレコがぶっ壊れるまではこれでもいいんだけど、ときどき、もっといい機械があるのではないか? と思い始めるのである。一種の現実逃避かも知れないけど。


2004/02/18/Wed.
▲晴れ。
▲二日酔い。午前中は使い物にならなかった。
▲新宿ゴールデン街の外れにある韓国料理店「モンシリ」。尾仲浩二さんとお会いして『ニコンD70』ゲラチェックをお願いし、あとは四方山話に。
▲尾仲さんにゴールデン街の「ことじ」という店へ連れていってもらった。ここはギャラリー・バーで、首藤都友写真展「Sweet life」(2/16〜28)を見ることができた。今春写真学校を卒業する女性写真家が日常生活を写真で綴った作品。いかにも今風の若手写真家っぽい写真(露出オーバーめのカラーネガで、日常生活のスナップ)ながら、固い芯のようなものを感じた。モノクロも数点あり、もしかすると、そちらのほうがこの人の本質に近いのかなと思ったり。未知の写真家の写真を見ていると、ときに精神分析的な見方をしてしまう。写真を通して写真を撮っている人を見ているんだと思う。つまらない写真は、撮った人に対する興味も沸かない。
▲世川行介『歌舞伎町ドリーム』(新潮社)読了。故国(故郷)を後にして、夢を持って新宿歌舞伎町へやってきた女たち、男たちの姿を鮮やかに描いたノンフィクション。登場するのは韓国クラブのホステス、ママ、店長。フィリピンパブのホステス、ルーマニアクラブのロシア人ホステス、九州から上京してきたヤクザ、花屋を開いたホストなどなど。文章の端々から彼らからじっくりと腰をすえて話を聞き出したのだということがしみじみと伝わってくる。話の多くは厳しい現実に幻滅した哀しい物語だが、彼らのしたたかな生きる力も描かれている。
▲60年代の新宿歌舞伎町を知る人たちは、みな、歌舞伎町はつまらなくなったというが、その理由は、日本人にはわからない外国人たちが街の主役になったからではないか。彼らの本当の言葉を日本人が「聞く」ことは難しい。著者は歌舞伎町のホテル、サウナ、最後は営業が終わった韓国クラブのソファで仮眠を取るという生活を続けながら取材を続けたという。歌舞伎町の底辺に生きる人々に共感を持って語りかけていくことで、人情味溢れるノンフィクションに仕上がった。


2004/02/17/Tue.
▲晴れ。
『「噂の真相」一行情報大全集』(3月10日発売予定)に収録される「岡留<噂の眞相>編集長×永江朗対談」のゲラチェック。文字のあふれを赤字で処理する。インタビュー、対談などでいつも興味深いのが、どんな赤字を入れてくるか? 意地悪い見方をすると、自分をどう書いて欲しいかという自意識が垣間見えるからだ。今回のお二人はこちらが残した発言について自主規制することはなく、むしろ、サービス精神を発揮して発言のディテールを書き込んでさえしてくれた。さすがだ。
▲『ニコンD70』(朝日新聞社・3月10日発売予定)。足りない画像を追っかけでデザインへ。代わりに文字校正をもらってチェック。
▲『「噂の真相」一行情報大全集』の残っていたコラム3本を仕上げてメールで送る。
▲目黒。ビーコン コミュニケーションズ内の壁面をギャラリーにしてハービー・山口さんの写真が常設展示されることになり、そのお披露目パーティーが開かれた。展示されているのは英国時代から最近の作品まで、スナップ写真を選りすぐったもの。ほとんどの写真は見たことがあるものだったが、時代と場所ではなく、スナップという枠組みで展開しているので新鮮に感じた。ハービーさんが被写体に向けるまなざしのありかたの一貫性と、年を経ることで獲得していった丸みのようなものを実感することができた。
▲会場となった「壁」の向こうはビーコン コミュニケーションズの社内。窓越しに見えるインテリアデザインは凝っていて、いかにも外資系の広告代理店といった雰囲気。篠山紀信が写真を撮り、雑誌の記事になっていたことを思い出した。パーティーでは、ハービーさんにジャケット写真を撮ってもらったという歌手のハナエリカが1曲歌った。
▲ハナエリカといえばサラ金のアイフルのCMソング(チワワスノーボード編)で注目されているが、もともとはラテンシンガーでスペイン語の高校教師だという。生徒には彼女が歌手であることは内緒にしているのだとか。この日、彼女が歌った曲はCMソングではなく、情熱的なラテン歌謡といった趣の曲で、さすがに上手かった。
▲帰りに新宿に寄る。原稿書きの山を越えた解放感からか、飲み過ぎた。


2004/02/16/Mon.
▲晴れ。
『「噂の真相」一行情報大全集』のコラム3本仕上げてメール送付。『ニコンD70』のほうはミュゼオピクトリコ協力の「デジタルクリエイティブプリント」の記事の原稿を書く。
▲先日、狩りに同行して写真を撮らせてもらったオキツさんと陽さんコンビが鴨を仕留めたというので、お相伴にあずかりに「かぼちゃ」へ。鴨南蛮美味しうございました。昨日、猟期の最終日に仕留めたとのこと。11月までもう猟はできない。
▲家に帰ってから、『「噂の真相」一行情報大全集』の残った4本のコラムの下書き。「宗教」に手こずる。
▲岡留安則『武器としてのスキャンダル』(パシフィカ)読了。1982年刊。企画・編集は波乗社。若き日の岡留さんが展開する「噂」論。スキャンダル報道論。『武器としての〜』というコンセプトに忠実に、「怪文書の書き方」について述べているあたりが面白い(笑)。
▲しかし、岡留さんの根っこにある、宮武外骨への畏敬の念、戦後間もなくスクープを連発した左翼系雑誌『眞相』、そして梶山季之が私財を投じて創刊した文壇ゴシップ雑誌『噂』など、岡留さんが影響を受けたゴシップ、スキャンダル雑誌についても縷々述べている。


2004/02/15/Sun.
▲晴れ。
『「噂の真相」一行情報大全集』のコラムにやっと取りかかることができ、下書きまで。『ニコンD70』のほうは「開発者インタビュー」の原稿アップ。
▲岡留安則『「噂の眞相」編集長日誌(2)』(現代教養文庫)読了。編集後記といえば雑誌の「おまけ」みたいなものだが、独立した読み物としてこれだけ面白いというのは滅多にないのでは? 岡留編集長の交友録、パーティーの観察記録として読む面白さがある。当該号の目次も収録されているので時代の匂いも感じ取れる。(2)は創刊6年〜10年まで。80年代後半にあたる。日本経済がバブルに向かって突進していく時代である。新宿ゴールデン街が地上げ攻勢にさらされる様もちらりと書かれている。創刊以来新宿を本拠地としてきた『噂の眞相』らしく、ゴールデン街の地上げ屋情報をすっぱ抜くなど、ゲリラ的な手法で地上げ屋に対する対立を鮮明に打ち出している。


2004/02/14/Sat.
▲晴れ。
『「噂の真相」一行情報大全集』の「傑作選」部分の注釈を、屋田くんと分担して書いている。俺が書 くとどうしてもこってりとした注釈になってしまい、「長い!」と怒られる。ゴメン。


2004/02/13/Fri.
▲晴れ。
ミュゼオピクトリコ尾仲浩二さんとプリントの仕上がりを見に。結果がどうだったかは、3月10日発売のムック『ニコンD70』(朝日新聞社)でのお楽しみ。
▲オンライン書店bk1で恒例の打ち合わせ。オンライン書店bk1<怪奇幻想ブックストア>店長でもある東雅夫さんが編集長を務める新雑誌(メディア・ファクトリー刊)のタイトルが決まったというお話を聞く。『ダ・ヴィンチ』から派生した怪談雑誌。あっと驚くような大物作家の連載も予定されているとか。今から楽しみだ。


2004/02/12/Thu.
▲晴れ。
▲早起きして昨日の原稿を書き直す。ほぼかたちができた段階で、原稿用紙40枚分! こりゃダメだということで、なんとか25枚までダイエット。写真を持ってデザイナーさんとの打ち合わせに向かう。写真を褒められて素直にうれしかった。肝心の原稿のほうは岡留さんと永江さんの話が面白いので、誰がまとめてもつまらなくなるはずがない、といったところか。『「噂の真相」一行情報大全集』ご期待下さい。


2004/02/11/Wed.
▲晴れ。
▲建国記念日で世間はお休み。
▲終日「岡留<噂の眞相>編集長×永江朗」対談(『「噂の真相」一行情報大全集』)の原稿。テープを起こすのがこんなに楽しい(面白い)対談も滅多にない。、『「噂の真相」一行情報大全集』、かなりお得な本になりそうだ。
▲原稿の合間に岡留安則『<噂の眞相>編集長日誌 4』(木馬書館)読了。創刊16年〜20年の5年間の編集長日誌をまとめたもの。時代は90年代後半。バブルの後遺症に苦しんでいるという世相だが、岡留編集長を悩ませていたのは宅八郎とのトラブルだった。田中康夫の連載(いまに至るまで続く「ペログリ日記」)開始について宅八郎が岡留編集長に抗議。岡留編集長は胃潰瘍になった。さらに、宅の言論外の「復讐」がスタートし、連載は中止に。巻末の中森明夫との対談、面白いんだけど、中森の岡留&全共闘への評価はどこまで本気なのか。これって「ほめ殺し」? と思う。あと、おかしいのは、岡留さんの文体が、そっくり「対談」の口調と同じことだ(笑)。


2004/02/10/Tue.
▲晴れ。
▲午前中、『「噂の真相」一行情報大全集』の「傑作選」部分の「ノルマ」分(イースト・プレスの編集者屋田くんと手分けしての作業)をようやく完了。
▲『ニコンD70』(アサヒカメラ別冊)のマニュアル記事の「直し」など。
▲東野圭吾『幻夜』(集英社)。面白くて地下鉄を乗り過ごす。世評の高い『白夜行』(集英社文庫)の姉妹編と呼ぶべき作品だが、テーマのほかに関連性はないので、どちらを先に読んでもよい。『白夜行』は巧緻に作り上げられた見事なストーリーには感服したが、登場人物たちに生き生きとしたものを感じず、物足りなさを覚えた記憶がある。しかし、『幻夜』のヒロインは謎めいていて生命力旺盛。作者の女性観が変わるきっかけでもあったのかと勘ぐりたくなる(笑)。著者のルーツでもある関西に起きた「阪神淡路大震災」の混乱の中で起きた一つの殺人事件から物語が始まるという出だしから引き込まれ、先が読めない展開に興奮。
『「噂の真相」一行情報大全集』に何本かコラムを入れようということになっていて、その最初の1本を屋田くんに送る。『噂の眞相』がメジャーになるきっかけでもあった則定検事長スキャンダルのスクープについて。


2004/02/09/Mon.
▲晴れ。
▲昨日に引き続き、『「噂の真相」一行情報大全集』の「傑作選」部分……。
ミュゼオピクトリコ尾仲浩二さんと。土曜日に作ったデータとプリントアウト、参考のプリント見本をつけて渡す。打ち合わせの中で、手を入れていないデータが必要という話になり、編集部を往復。あとから、宅ふぁいる便で送ればよかったと気づくがあとの祭り。頭悪すぎ。


2004/02/08/Sun.
▲晴れ。
▲終日仕事。スケジュール切迫。『「噂の真相」一行情報大全集』の「傑作選」部分の分類と並べ方に手こずる。
▲が、そういう時に限って面白い本に出会ってしまい、一気に読んでしまう。『サルまん』の竹熊健太郎『マンガ原稿料はなぜ安いのか?』(イースト・プレス)。「竹熊漫談 」と題されているだけあって、軽妙な文体でマンガとマンガ業界をめぐる周辺事情を真摯に暴露しているユニークな「裏話」本。表題の「マンガ原稿料はなぜ安いのか?」は、意外と知られていないマンガの連載原稿の安さから漫画雑誌の「経済学」にまで話が及ぶ。もちろん、漫画家の懐事情も。ほかに、中上健次が晩年、マンガの原作を書いていたこと(無惨な失敗作だったとか)などの意外なエピソード、宮崎駿、赤塚不二夫などの作家論、マンガ評と盛りだくさんの内容。ぜひ「竹熊漫談」としてシリーズ化してほしい。


2004/02/07/Sat.
▲曇り。
▲『ニコンD70』(アサヒカメラ別冊)の記事で、「クリエイティブプリントに挑戦」という企画があり、写真家の尾仲浩二さんにニコンD100で撮影した画像を処理してもらい、エプソンのインクジェットプリンタでとプリントアウト。使用したピクトリコのインクジェットプリンタ用紙はかなり優秀。きれいにプリントできた。もっとも、尾仲さんはふだん、カラー、モノクロともネガで撮影して自分でプリントするというスタイルで作品作りをしている方。デジタルの「明るい暗室」には戸惑いもあるようで、かなり悩まれているご様子ではあった。
▲イクヤが生まれて今日で半年。そろそろ離乳食にチャレンジ、ということで、オキツさんからもらった銀の匙でおもゆとじゃがいもペーストを食べさせる。口に入れた瞬間、形容しがたい味に顔をしかめる。口元からだらーっとおもゆがあふれる。義妹がきてくれて、一応「お食い初め」っぽい雰囲気に。オキツさんも呼んだのだが、狩りで忙しく、来てくれなかった。


2004/02/06/Fri.
▲曇り。
▲イラストレーター兼ベイビーマングースのヴォーカルのフクシマレイコ女史と、ダンナのライライ、二人の子どもハルトくん(1歳)来宅。ハルトくんがすたすた歩いているのを見ると、たった1年ちょっとでここまで成長できるのかあと感心しきり。うちのイクヤはまだ匍匐前進。でも、かなりスピードが上がってきて、目が離せなくなってきた。


2004/02/05/Thu.
▲曇り。
▲「噂の眞相」編集部で岡留編集長と永江朗さんの対談。司会と人物撮影を担当。司会といっても、インタビューの巧手、永江さんが聞き役なので、ただただめくるめくような面白い話に聞き惚れているだけでよかった。ファインダー越しに岡留さんを見ていると、なるほど「モテる」というのも納得。色気のある人だ。『「噂の真相」一行情報大全集』(アマゾンで予約受付中です)のための対談。



2004/02/04/Wed.
▲晴れ。
『「噂の真相」一行情報大全集』のネタを分類分け。
▲昼過ぎにハタノさん来宅。春に出る「日経モノクル」という新ムックの打ち合わせ。テーマはテレビと本。
▲『「噂の眞相」1行情報大全集』デザイン打ち合わせなど。
▲帰り際、いたさんから電話をもらって飲みに行くことに。歌舞伎町の飲み屋を新規開拓。秋田料理「かっぱ」。
▲ドンキホーテで低反発枕(1000円)、タイのえびせん、ビデオテープを買う。酔っぱらいの買い物は支離滅裂なり。


2004/02/03/Tue.
▲曇り。
▲イクヤが雑誌をかじって口の周りをインクだらけにする。最近のお気に入りはNOVAのCM。何をしていてもハッとテレビを見る。
▲『ニコンD70』のレビューページのデザイン入稿。
▲岡留安則『“スキャンダル雑誌”創刊物語 『噂の眞相』編集長日誌 1』(現代教養文庫 1633 )。版元の社会思想社がなくなってしまったので、絶版扱い。『噂の眞相』巻末の編集長日誌を創刊から5年分まとめたもの。岡留さんもまだ二十代。今の編集長日誌とは文体も異なっている。若さゆえの初々しさと気負いが感じ取れて爽やか。しかし、書かれている内容は、広告主・印刷所へ右翼が圧力をかけ、廃刊の危機に陥った「皇室ポルノ事件」などエグい。ゴシップ、スキャンダルへのスタンスは今と変わっていないところが、また凄い。創刊24年、同じスタンスで、というのはなかなかできることではないと思う。


2004/02/02/Mon.
▲晴れ。
▲『ニコンD70』のクイックマニュアルをやっとデザインに入稿する。
▲先週の土曜日に撮影したハンティングの写真を持って「かぼちゃ」へ。タイトルは「猟果ゼロ」。いい顔はされなかった(笑)。昨日、何羽か収穫があったそうで、お相伴にあづかる。正真正銘の野鳥料理。
▲永瀬隼介の最新刊『ポリスマン』(幻冬舎)読了。好きな作家だし、「幻冬舎創立十周年記念特別作品」という惹句が踊っていたので、期待して読んだのだが、残念なできだった。
▲プロレスの世界で、ガチンコ勝負で相手を潰す選手を「ポリスマン」と呼ぶのだそうだ。組織の論理に従わない選手にお灸をすえる役目ということか。亜細亜プロレスの中堅選手、深見は地味な選手だったが、アメリカから来た巨躯の選手を赤子の手をひねるように潰す力量の持ち主だった。目立たず、静かにプロレス人生の半ばまでを生きてきた深見だったが、経営難の亜細亜プロレスが総合格闘技に進出することになり、深見に声が掛かる。しかし、深見が気に掛けていたのは、リングに上がることへの恐怖よりも、自分の人生を変えてしまったある出来事に関わった男が身近に現れたことだった。
▲プロレスラーの物語に、ロシアマフィアが暗躍するスパイ事件がからむ。道具立ての組み合わせはユニークだが、うまく噛み合ったとは言い難い。深見という男のキャラクターは悪くないのだが……。もったいない。


2004/02/01/Sun.
▲曇り。
▲早稲田まで散歩。スーパーフリーの事務所があったというマンションの前を通る。
▲穴八幡。お札をもらいに人が並んでいる。屋台も出て賑やかなり。
▲天童荒太の最新刊『家族狩り 第1部 幻世の祈り』(新潮文庫)読了。5部(!)からなる大作の第1部。出だし快調。
▲95年に刊行された長編小説『家族狩り』(新潮社)をもとに新たな小説に仕立て上げるという野心作。『家族狩り』はミステリー、ホラーといった趣の、エンターテインメント性豊かな作品だったが、天童荒太は『家族狩り』の次に書いた『永遠の仔』( 幻冬舎)から大きく作風を変え、エンターテインメント性よりもメッセージ性を強く押し出している。短編集『あふれた愛』(集英社)は静かで端正な作品で、ちょっと宮本輝みたいだった。『家族狩り』までの作品との間には明らかな隔たりがあり、書き直したいという作者の気持ちもわかるような気がする。ただし、天童は旧作の『家族狩り』を否定しているのではなく、『家族狩り』の構想の中にあった種が現代においてより深い意味を持つことを感じたゆえの改作であり、旧版も単行本の版を残しておくことになったとあとがきで述べている(ふつう、文庫化されると親本である単行本は絶版にされることが多い)。ゆえに、この2作品は別の作品として読んだほうがいいのだろう。
▲たしかに、スピーディーな展開に息を詰めるようにして読んだ旧版に比べ、新版はゆったりとした、蛇行する大河のような流れを感じる。全5部。月に1冊ずつ刊行されるという。毎月の楽しみができた。


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