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2001/10/31/Wed.
▲晴れ。
▲今日で10月も終わり。信じられない。
▲小林よしのり『戦争論2』(幻冬舎)を読みはじめる。『ゴーマニズム宣言』初期からの読者であり、一度取材もしたことがあるので(ちょうど「噂の真相」に最初のスキャンダル記事が載ったころ)、ずっと気になって読み続けている。ゆえに、その劇的な変遷をずっと「ウォッチ」してきた。心情的に共感できたのは『脱正義論』(幻冬舎)までで、そののちは違和感の方が強い。その理由はマンガに付き物のカリカチュアライズや、デフォルメが高じて、敵役への攻撃的な描写と、愛読者を美化して描く極端さにある。
▲しかし、小林よしのりが、一般の人がなんとなく変だなと思っていることを、マンガという手法で実に分かりやすく描いていることは間違いがない。戦後民主主義の平和教育、戦争否定などの理想論、空論に対するカウンターパンチとしては強烈だとも思う。読んで、考えるという意味では、その刺激的であることは間違いない。ともあれ、この問題に入れ込んでマンガを描いているパワーの凄まじさに衰えが感じられない。それは本当に凄いと思うよ。
▲西澤保彦の新刊ミステリ『夏の夜会』(光文社カッパノベルス)を読みはじめる。西澤保彦の本ははじめてだ。久しぶりに故郷に帰った男が、小学校時代の同級生と再会し、30年前に学校で起きた殺人事件の真相を探る。しかし、30年前ともなると各人の記憶は曖昧で……。半ばまで読んだところだが、気を逸らせない。
▲テレビドラマ「アンティーク」第三回。泣いた。難病の子どもとケーキ作りと。こういう陳腐な話は好きだ。


2001/10/30/Tue.
▲晴れ。
▲九段下で打ち合わせ。頼霞(ライカ)流家元としても知られる(?)写真家の高梨豊さんの写真集『都市へ』(イザラ書房・絶版)をはじめて見る。箱入り、大判の写真集に小判鮫のごとくミニ写真集「東京人」がついている超凝った装丁。巨匠杉浦康平の仕事だ。モノクロの都市風景写真は現実が宙づりにされたような不思議な浮遊感がある。
▲高梨さんの写真集で手に入りやすいものは、『日本の写真家 35 高梨豊』(岩波書店)『地名論』(毎日コミュニケーションズ)。写真集『地名論』については■高梨豊インタビュー 写真集『地名論』を語る(2001/5/8)を読んでいただけるとその概要がわかるかと思う。
▲五反田でサンダー平山さんと。
▲新堂冬樹待望の新刊『鬼子』(幻冬舎)を一気読み。新堂冬樹は『無間地獄』(幻冬舎)がベストセラーになり、つづく『カリスマ 上』『同 下』(徳間書店)もヒットを飛ばした、いま乗りまくっている作家だ。しかし、『鬼子』には率直なところ首を傾げた。デビュー作一作以外はまるで売れない恋愛小説家が、家庭内暴力に直面し、その内実を書けと編集者にハメられるという物語。常にボリュームたっぷりのサービスを提供してくれる新堂冬樹だが、『鬼子』に限っては安易な方へながれてしまったような気がする。新堂自身を指すと思える「新海夏樹」なる作家の名前も登場するなど細かい読者サービスはあるのだが。
▲新堂冬樹を読んでみたいという方には、むしろ前出の二作品か『闇の貴族』(講談社ノベルス)をおすすめしたい。いずれもスピード感満点のピカレスクロマンだ。人間のダメな部分をこれでもかと描き、ユーモアすら漂うあたりは、並の筆力ではない。注目のエンターテインメント作家である。
▲先週放映の「白線流し スペシャル」をビデオで。このシリーズもこれでお終いって感じで少し残念。出演者たちの顔相の移り変わりを見るのが楽しみだからだ。


2001/10/29/Mon.
▲くもり。
▲「季刊クラシックカメラ」次号の原稿が続々と届きはじめる。自分の原稿は……まだ。
■第38回文藝賞授賞式 綿矢りささんの横顔をアップ。17歳の文藝賞受賞者。授賞式レポートと一言インタビュー。いずれじっくりと話を聞いてみたい女の子。「インストール」なかなかいいですよ。ぼくも予約しました。単行本で読むとまたひと味違う印象になりそう。
▲銀座クリエイションギャラリーG8でタイムトンネルシリーズVol. 14 柳沢 信「写真に帰る」展オープニングパーティー。ガーディアン・ガーデンと二会場で催されている。タイムトンネルシリーズは巨匠写真家、クリエイターたちの若き日にスポットを当てる展覧会。柳沢信さんには「季刊クラシックカメラ 特集オリンパス」で取材をお願いしお会いして以来。お元気そうな姿を見ることができて嬉しかった。
▲柳沢さんは1936年生まれ。同世代の立木義浩さんらと同じく、アートディレクターで写真評論もものした堀内誠一さんに見いだされ、1958年にミノルタのPR誌「ロッコール」でデビュー。その後、60年代、70年代を通じて、当時隆盛を極めていた「カメラ毎日」「アサヒカメラ」などの写真雑誌で活躍する。都市、地方などのスナップ写真が主だが、そのどれもが実にいい距離感というか、こんな風に写真が撮れたら……と思わせてくれる魅力がある。日本の写真史のなかでは「コンポラ写真」に位置づけられる写真家だが、ご本人は「芸術派と見られがちだが本人はあくまで写真雑誌からの依頼仕事だと思って撮っていた」とアーティスト気取りはまるでない。そして、「言葉と写真は仲が悪い」と言って、文章を書いて写真を補完しようとはしない人でもある。その潔さもまたすばらしい。
▲「依頼されずに撮った最初で最後の仕事」と柳沢さんご自身が認める「イタリア紀行」(1994年)の撮影から帰って病院の検査を受けた柳沢さんは喉頭癌と食道癌が発見され、手術を受ける。以後、柳沢さんは言葉を失い、同時にシャッターを押せなくなってしまう。これもご本人からお聞きしたことだが、シャッターを切るときに息を詰める。その詰めた息が手術によって空いた穴から抜けてしまって、押せないのだという。
▲現在一般書店に流通している柳沢さんの写真集は『写真・柳沢信 1964−1986』(書肆山田)だけ。写真家・評論家の柳本尚規の編集・構成・解説によるベストアルバム的な作品集だ。今回の展覧会会場でも販売している。また会場では柳沢さんのこれまでのライフストーリーと図版(小さいけど)入りの冊子も販売されている。ぜひ会場に足を運んで写真を見て欲しい。11月22日(木)まで。11:00A.M.〜7:00P.M.(水曜日は8:30P.M.まで)土・日・祝祭日休館 入場無料。


2001/10/28/Sun.
▲雨。
▲昼過ぎに起きて仕事。
▲お、テレビで『フレンチコネクション2』やってるじゃねえか! ジョン・フランケンハイマー監督のこちらは、オスカーを取った「1」よりもつくりがカジュアルで好感が持てる。
『闇先案内人』(文藝春秋)読了。満足。大沢在昌の近作は、期待があるせいかどれも物足りなかったが、こちらは久々に満足できる作品。すばらしい。犯罪者を国外へ逃がす「逃がし屋」が、極東某国の重要人物の足取りを追えと警察権力から脅迫されるというストーリー。「逃がし屋」といえば即座に傑作『深夜プラス1』(ハヤカワ・ミステリ文庫)と、その巧みな翻案ともいえる秀作『深夜ふたたび』(徳間文庫)が思い浮かぶ。すでにある二作をどう超えるか? 大沢在昌流のアプローチは、その二作とはまったく違う物語を作ることに成功した。おすすめ。


2001/10/27/Sat.
▲晴れ。
▲掃除。というのは、うちに妻の友人が訪ねてくることになり……。
▲T山さんというその女性はアイドル系の美女。おみやげのケーキを三人でいただく。
bk1で「文藝賞」の記事づくりに呻吟。画像をあれこれといじる。H野さん、写真巧いよ!
新文芸座。「スーパーSF東宝特撮映画大会」。つまりオールナイトだ。『幻の湖』(1982)が目玉だ。ビデオ化されていないこのカルトムービーをどうしても見たかった。知っている人は知っていると思うが、この『幻の湖』は東宝映画50周年記念作品にしてその年の芸術祭参加作品。原作・脚本・監督は橋本忍。黒澤明との共同脚本で知られ、単独作品でも『私は貝になりたい』、『砂の器』、『八甲田山』などの傑作をものしている脚本家である。
▲しかしてその実体は、ジョギングが趣味のソープ嬢(当時はトルコ嬢)が愛犬を殺され、犯人の有名作曲家を鋭い走りで追いつめるという縦糸に、琵琶湖にまつわる戦国時代の伝説(いきなり時代劇)と、宇宙パルサーを研究して、スペースシャトルで宇宙へ行く男との出会いが横糸に交差するという支離滅裂なストーリー。ワキにCIAのエージェントとおぼしき米国人ソープ嬢が登場することも重要なポイントだ。つまりこの映画、いわゆる「電波系」の薫り高いカルトムービーなのだ。しかも超大作。
▲で、実際に見ての感想だが、2時間44分、最後まで楽しめた。まったく先が読めない展開にへとへとにはなったが、映画館は爆笑と拍手で超ハイテンション。これはもう感動だ。リアルタイムで見たらなぜ誰も止めなかったのかと思ったかも知れないが、20年近く寝かせたおかげか、イイ味が出ている。とくに雄琴のソープランド街と、高級ソープの内情を丁寧に描いているという点はとても天下の東宝映画とは思えない大胆さ。っていうか、橋本先生、実際に行かれたんですか……?。
▲で、十分におなか一杯だったのだが、不遇時代の奥田瑛二主演の特撮ドラマ『円盤戦争 バンキッド』(脚本はのちに乱歩賞作家となるシナリオライターの長坂秀佳。東映ヤクザ映画、「特捜最前線」の脚本でも知られる)、クレイジーシリーズ『クレージーの大爆発』、そして、『ゴジラ』の本多猪四郎監督による和製雪男映画『獣人雪男』(1955)と続いた。途中でところどころ寝てしまったが。


2001/10/26/Fri.
▲晴れ。
▲写真家の竹内敏信さんにインタビュー。竹内さんは、いま、アマチュアの間でもっとも人気がある風景写真家だ。「季刊クラシックカメラ」の次号(12月14日発売)はミノルタ特集。そこで、竹内さんにミノルタカメラについてあれこれとお話をうかがう。竹内さんにお話をうかがうのはこれで三度目だが、そのたびにコレクションされているカメラの台数が増えている。作品づくりは新鋭機を使っている竹内さんにとって、カメラコレクションは趣味だという。しかし、その趣味のクラシックカメラで撮影も続けており、来春早々に喜久屋カメラのビルにある「ギャラリーK」でクラシックカメラによる写真展を開催予定とのこと。
▲取材で撮影をお願いしたカメラマンのK原さんと四谷三丁目でお茶。上海の話など。
▲本橋信宏はじめての小説集『フルーツの夜』(河出書房新社)を読み始める。本橋信宏といえば、写真雑誌隆盛期に「スクランブル」の編集長を務めたフリーライター。「スクランブル」のオーナーは、そののちにアダルトビデオの帝王となる村西とおるだった。村西は裏本で稼いだカネで出版業に挑戦したのである。その顛末は本橋自身の『裏本時代』(新潮社Oh!文庫) に詳しい。
▲「スクランブル」亡き後、本橋は村西に誘われるままアダルトビデオの世界に飛び込むが、やがて薬におぼれ無気力な日々を送る。そのあたりの事情はやはり本橋の手で『アダルトビデオ』(飛鳥新社)という本になっている。
▲そして、その後の時代(90年代)を、今度は連作小説のかたちで書いた。ノンフィクションライターが書く小説というものに、ぼくはどうしても偏見があり、それほど期待しないで読み始めたのだが、意外に面白い。ただし、その面白さはやはり著者自身の体験が裏付けになっていることはまちがいない。いわゆる「私小説」的な読み方をどうしてもしてしまう。なぜ、フィクションか、とその必然性を疑わずにはいられない。残念ながら。しかし、読み物として面白いことは間違いないのいだから、それでいいのだろうとも思う。
▲ちなみに本橋信宏のインタビュー集『悪人志願』(メディアファクトリー)も実に面白い。人選も聞いている内容もいい。おすすめだ。
▲気が乗らないまま深夜まで仕事。マイナーな気分。やれやれ。


2001/10/25/Thu.
▲晴れ。
▲入稿済んで、ほっと一息する間もなく「季刊クラシックカメラ」次号の締め切りが近づく。アポ取り、原稿催促など。さらに、『使うオリンパスOM』で印刷からクレーム。ソフトウェアのマッチングに問題があり、急遽デザイナー氏に手直しを依頼。
▲来春刊行予定の本(編集担当)の企画を手直し。
▲大沢在昌の新刊『闇先案内人』(文藝春秋)。出だし快調。さすが大沢在昌、貫禄が違う。
▲高円寺。嫌いな「抱瓶」ではなく、その姉妹店の方へ。中二階ふうの座敷に落ち着く。Y氏推薦の通り美味。その後純粋にカラオケに没頭。
▲すでに絶版の谷恒生『バンコク楽宮ホテル』(徳間文庫)を本棚から引っぱり出して読む。唸る。10年前に文庫化されたときに買って読んで以来だ。当時は大学を出たばかりだったのではないか。学生時代はまずバンコクへ飛んでから東南アジアをうろついていた。ゆえに、そのときにバンコクの雰囲気はわかっていたはずだが、チャイナタウンやパッポンなどの歓楽街には目がいかなかった。東南アジア=買春ツアーというイメージがまだ色濃く残っていた時代だ(むろん、いまも街の底辺では大差ない)。だから『バンコク楽宮ホテル』は汚らしい感じがして読後感はよくなかった。しかし、30過ぎて読んでみると、二十歳そこそこのときにはわからなかった登場人物たちの屈託がよくわかる。いまのおれにとっては、沢木耕太郎の『深夜特急』よりも谷恒生の『バンコク楽宮ホテル』の方がしっくりとくる。


2001/10/24/Wed.
▲晴れ。
▲写真家ハービー・山口さんと次号の原稿についての打ち合わせ。寺山修司さんの思い出話など、興味深い話もいろいろと。ハービーさんはエディンバラの映画祭に映画を出品するためにロンドンに来た寺山さんと知り合い、交流があったのだそうだ。
▲『使うオリンパスOM』の入稿が完了。一息つく。著者の赤城耕一さんの「あとがき」が最後に入稿した原稿になったのだが、オリンパスの一眼レフカメラ「OM」シリーズへの愛情が溢れており、感動。ぼくのように「あとがき」を立ち読みして購入を検討するむきには絶対にアピールすると思うな。うん。
bk1の編集会議に出てから帰宅。
■新刊ミステリ・レビューはメフィスト賞受賞作の『フリッカー式』(講談社ノベルス)ほか。メフィスト賞は、乱歩賞のようなメジャー感はないが、ミステリ・サスペンスのニューウェーブの最前線を走っている感のある公募賞。ややマニアックだが、刺激的な作品が選ばれている。『無間地獄』(幻冬舎)がベストセラーになった新堂冬樹もメフィスト賞作家だ。


2001/10/23/Tue.
▲雨のち曇り
▲気分が晴れないまま終日『使うオリンパスOM』の入稿作業。かなりへこむ。
▲綿矢りさの文藝賞受賞作が載っている「文藝」誌(いま売っている秋号)は「特集 中原昌也」。例によって爆笑インタビュー。面白すぎる。電車のなかで吹き出す。
▲帰宅後、テレビドラマ『アンティーク』。藤木直人ハマりすぎ。


2001/10/22/Mon.
▲曇りのち雨。
▲せわしない一日。今日から『使うオリンパスOM』の入稿がスタート。
▲写真家のY井さんの自宅まで作品とレンズを借りにうかがう。次々にミノルタのカメラ、レンズが登場し、目眩。
▲文藝賞授賞パーティー。受賞者の綿矢りささん(受賞作「インストール」)は文藝賞史上最年少(17歳)の受賞者。20年前に堀田あけみが「1980アイコ十六歳」で同賞を取って以来の記録更新となる。パーティー会場にはテレビ局の取材陣も駆けつけ、賑わいを見せていた。綿矢りささんに簡単に話を聞いた。健康的なお嬢さんといった雰囲気で、文学少女にありがちな歪な暗さは感じられなかった。とりあえず、「SPA!」の「ニュースな女たち」に出るんだろうな、という雰囲気。肝心の小説の方にも、のびのびとした明るさが基調にあって楽しめた。これからの活躍に期待大。授賞パーティーの模様はbk1でできるだけ早くアップするつもり。好評予約受付中→『インストール』(河出書房新社)
▲パーティー会場ではリトル・モアのIさんと、『アクロバット前夜』(リトル・モア)の作家・福永信さんもいらしていた。福永さんとは初対面。『アクロバット前夜』をどこで読んだかという話になる。というのは、『アクロバット前夜』はユニークな文字組の本で、それがなかなか・・・。ぜひ、読んでみていただきたい。
▲『使うオリンパスOM』の入稿作業。深夜に及ぶ。激しい雨の中帰宅。
▲精神的にやや不調に。


2001/10/21/Sun.
▲晴れのち曇り。
bk1。新刊の並べ替え。
▲北浦和。この街、こぢんまりとしていい感じだ。「サッカーの街」とかいう標語がややうざいが……。シブいサ店でレアチーズケーキ、その場で豆を挽いてくれるコーヒー豆屋(挽いている間に出されたコーヒーがマジ旨かった。200グラム850円の豆を買って二杯コーヒーを出してもらってすまない気持ちになる。しかも、出されたコーヒーの銘柄を聞くと買ったコーヒーよりも高い豆だったりする)。
▲へとへとになって帰宅。
『ソビエトカメラ党宣言』(原書房)読了。著者の中村 陸雄氏はFantastic Camera GallerlyというHPで知られる名古屋のカメラブローカー。旧ソビエト製のカメラを商っている。奇妙なテイストの文章は魅力的だ。こういう偏屈な人の本は楽しい。旧ソビエト製のカメラのみならず、クラシックカメラ、トイカメラなどのチープシックなカメラの入門編としても楽しめるのでおすすめだ。なにより読みやすいのがうれしい。
▲TBSのテレビ番組「情熱大陸」。今回は「全身写真家 金村修」。『SPIDER'S STRATEGY』(オシリス)ほかで知られるストリート写真家のドキュメンタリー。マキナ67一台を持って毎日毎日東京の街を撮り歩く。コマーシャルの写真家ではないため、37歳のいまも新聞の搬送のアルバイトを続ける。テレビカメラに向かって「こういうの(バイトをしている)がかっこいいんですよ」と笑う。いやあ、いいなあ、ほんと。ぼくの好きな写真家、吉野英里香さん(金村さんのパートナー)もちらりと登場した。
▲NHK「アリーMYラブ」の新シリーズが先週から始まった。第一回目をビデオで見る。とりあえず、前シリーズの最後でくっついたあのさえない男とアリーが別れて安心。


2001/10/20/Sat.
▲晴れ。
▲『使うオリンパスOM』の校正をデザイナー氏に戻す。
▲金城一紀『レボリューションNo.3』(講談社)を読みはじめる。軽く読める本だが、全三篇のうち、最初の二篇はおれ的にはちょっと……。新宿のバカ高校の高校生たちの冒険談。高校生が読んだら面白いかも?
▲新宿歌舞伎町の韓国料理屋。豚三段バラ肉を焼き、わかめスープ。牛肉を食べる気にはやはりならない。気分の問題だ。


2001/10/19/Fri.
▲晴れ。
▲JCIIで調べもの。同サロンで一色一生写真展。一色一生といえば女性写真、広告写真の巨匠。一色が、若き日にアメリカで広告写真と印刷を学んでいたときに女優志願の女性をモデルに撮ったシリーズである。
▲大倉舜二さんに、取材時にお借りしたカメラを返却。
▲『使うオリンパスOM』の校正、欠けキャプションなどを入れ込む作業をコツコツ。
bk1秋のミステリフェアの打ち上げ。


2001/10/18/Thu.
▲雨のちくもり。
▲写真家の高橋昇(日に舛が正しい字)さんを取材。高橋さんは27歳のときに開高健さんの釣り紀行『オーパ!』(集英社文庫)に同行し写真を担当、アマゾンの雄大な自然を迫力たっぷりに表現し、話題を呼んだ。以来、開高さんが亡くなるまでともに旅を続け、同時に「日本の美」に心惹かれ、お能、歌舞伎などの芸能から、神・仏の宿る「聖域」(「月刊現代」に連載。終了)などのテーマに挑んできた。現在は月刊誌「潮」に、「和」のキーワードを写真で表現する「不思議の国にっぽん」を連載中。これまでに2年間、さらに3年連載を続ける予定だという。見せていただいた写真はどれも美しく、感嘆。さすがと思う。


2001/10/17/Wed.
▲雨。
▲雨中、赤城耕一さんの撮影を手伝う。『使うオリンパスOM』のための撮影。
bk1。編集会議。
▲『使うオリンパスOM』の編集作業、最終段階に。
■貞奴の「偏食」を更新。村上龍の『最後の家族』、笙野頼子『幽界森娘異聞』、柳美里『生』の三冊を俎上に。


2001/10/16/Tue.
▲晴れ。
▲「季刊クラシックカメラ」の連載「写真家とカメラの肖像」の取材。今回は大倉舜二さん。大倉さんにはこれまで、「クラカメ」で2回、bk1で2回(大倉舜二インタビュー 写真集『TOKYO X』を語る(2001/1/30)大倉舜二インタビュー 写真集『歌舞伎』を語る(2001/4/17))インタビューしている。今回は決定版的なつもりで根掘り葉掘りと聞く。取材後は、やはりアフガン問題の話題になるが、最終的に行き着くのはやはり「報道と写真の関係性」の話。いかにも大倉さんらしい。


2001/10/15/Mon.
▲『使うオリンパスOM』の原稿整理。ややパニック。
■『図書新聞』天才ヤスケンの「今週のおススメ」よりを更新。
▲写真家Tさんほかと打ち合わせ。来春刊行予定の単行本について。
■新刊ミステリ・レビューは津村巧『DOOMSDAY 審判の夜』(講談社ノベルス)、西澤保彦『夏の夜会』(光文社カッパ・ノベルス)の2冊を紹介。


2001/10/14/Sun.
▲カメラ雑誌でカメラマン、ライターとして活躍する中村文夫さんの結婚パーティーに出席。中村さんの著書『使うペンタックス』(双葉社)の編集を担当して以来、しばらくごぶさたしていたのだが、いつの間にあんなすてきな奥様をつかまえたのかしらん。中村さん、おめでとうございます。お幸せに。
bk1。文芸、ミステリ、ホラーの新刊を並べる。
▲中野ブックオフを冷やかす。『GO』(講談社)で直木賞を受賞した金城一紀のデビュー作と受賞後第一作を含む短篇集『レボリューションNo.3』(講談社)、村上龍がはじめてテレビドラマの脚本に挑んで話題の『最後の家族』(幻冬舎)(こちらは小説版)などの新刊がすでに並んでいる。早い。


2001/10/13/Sat.
▲『使うオリンパスOM』(赤城耕一著・双葉社刊)の編集作業がいよいよ佳境に入る。編集部(良心堂)で仕事。
▲中野で大学時代に入っていた、人文系読書会の同窓会。
▲学生時代以来はじめて「三珍」のラーメンを食べる。


2001/10/12/Fri.
▲晴れ……暑い。でも湿気がないのはうれしい。
▲海より深く反省。
▲「セラピスト」(BABジャパン)誌の文字校チェック。カウンセラーの資格、仕事について書いた。
▲TBSの筑紫さんの番組に小泉首相が登場。以前にクリントン大統領(当時)、江沢民主席も出演し、日本国民と直接対話した、という例のシリーズ。この手の番組でいつも感じるのだけれど、「一般市民」の方々を見ているとこっ恥ずかしくてかなわない。一般市民の人たちの意見や質問が素朴すぎるからなのかな……プロとアマチュアの違いなのか。とにかく、赤面させられる。だからといって、自分が出たらもっと恥ずかしいんだろうけど(笑)。
■山之口洋の『不審事物』第13回★世界という名の図書館 ボルヘスをアップ。山之口さんの、ボルヘスへの愛情溢れるブックコラム。「ボルヘス・コレクション」欲しいなあ。
▲映画『エリン・ブロコビッチ』。学歴ナシ、三人の子持ちのバツ2女が、公害訴訟に挑戦する。ジュリア・ロバーツの良い面が発揮された秀作。


2001/10/11/Thu.
▲くもり……暑いくらいの陽気
bk1書評について会議。
▲大久保極悪同盟。死ぬほど盛り上がったのだが、なにか大切なものを失ってしまったような気もする……。
■2001年度ノーベル文学賞決定 『イスラム再訪』などのV.S.ナイポールさん


2001/10/10/Wed.
▲雨。
bk1編集会議
▲池袋の居酒屋で。
▲「プロフィール」をいじったり、トップページにカウンタを復活させたり。
■第29回泉鏡花文学賞決定 久世光彦さんの『蕭々館日録』(中央公論新社)、笙野頼子さんの『幽界森娘異聞』(講談社)


2001/10/9/Tue.
▲くもり。
▲動物写真やネイチャーフォトで知られるベテラン写真家の吉野信さんのインタビューに立ち会う。11月下旬発売予定の『使うオリンパスOM』(赤城耕一著・双葉社刊)に掲載予定。
bk1ミステリサイトをいじったり、いろいろ。
▲アハメド・ラシッド『タリバン』(講談社)。アフガニスタンが味わってきた苦難を思うと胸がふさぐ。


2001/10/8/Mon. ▲くもり。
▲体育の日だっけ? 連休最終日。
bk1ミステリサイトをいじったり、いろいろ。
▲西荻窪で散髪。
▲信愛書店へ。西荻に来るとかならず寄る本屋さん。かならずなにがしかの発見があり、かならず何か買ってしまう。今日購入したのはこのへんの本と、竹中労の『芸能人別帳』(ちくま文庫)など。
▲古書店「ごごしまや」でもちょこと買い物。絶版のカメラ本を二冊購入。
▲I氏の自宅を張る。尾行しようと思ったのだが、この日は空振り。
▲香港映画『ホーク B計画』。オウムをモデルにしたテロ映画。日本人教祖が香港でつかまり、日本人信者たちがテレビ局を占拠し、教祖の釈放を求める。と書くと面白そうだが、かなり残念な出来。教祖は香港でブランドものでも買ってたのかな? いっそ、コメディにしたほうがよかったかもしれない。


2001/10/7/Sun.
▲快晴。
▲体調戻らず。ってゆーか、さらに悪くなっているというか……。
bk1、新刊紹介など。
▲寝転がって雫井脩介『虚貌』(幻冬舎)を一気読み。かなり面白かった。一家惨殺事件。その主犯と目された男が出所する。次々にかつての犯人グループが殺されていく。タイトルの意味は物語の中ほどで明らかになる。顔にアザを持った若い刑事、醜形恐怖症に襲われる元アイドル歌手など、サブエピソードに読み応えがある。
▲新宿へ出かけようとして果たせず。
▲NHKアーカイヴス「山口百恵 激写篠山紀信」。篠山センセの声が若い。ミノルタX系のモードラの音だ……と思ったら、あとはひたすらスチル写真で山口百恵の魅力を展開するという実験的番組。テレビがまだ若かった頃、と思う。
▲サッカー。対ナイジェリア戦。川口のスーパーセセーブ連発も虚しく引き分け。残念。


2001/10/6/SAT.
▲快晴
▲世間は連休。体調不良で昼まで起きあがれず。
▲銀座で海老塚耕一さんの版画展へ。モノクロームのシブい世界を堪能。鈴木志郎康の詩集『胡桃ポインタ』(書肆山田)は一冊ずつ別の海老塚さんの版画が入ったプレミアものとか。こういうとき、オンライン書店は手に取れないから不利だな。
▲渋谷イメージフォーラムで映画『≒森山大道 』を見る。写真家森山大道を追ったドキュメンタリー。ぼくのようなファンにはたまらない映像の数々、さらに森山大道入門者にもわかりやすい。構成にやや難ありで若干つらい部分もあるのだが、写真と写真家に興味のある人にはおすすめしたい。また、現在、森山さんが取り組んでいるのが新宿のストリート・スナップなので、新宿界隈がやたらと登場する。新宿好きも必見だろう。
▲ところで、ぼく自身森山大道さんにインタビューをお願いしたことがある。インタビューの内容は『使うリコーGR』(双葉社)に収録されている。「リコーGR」というのはコンパクトカメラの名前である。森山さんはこのカメラでストリートスナップを撮っている。
▲渋谷で稲庭うどんなど。


2001/10/5/Fri.
▲快晴
▲どんよりとした気分で一日過ごす。


2001/10/4/Thu.
▲快晴
▲稲泉連『僕らが働く理由、働かない理由、働けない理由』(文藝春秋)読了。期待したほどではないが、けっこう面白い。小林キユウの『バブルエイジ』(ワニブックス)を連想する。食い足りなさは残るが、若者の生き方をルポしているというそれだけで興味深く読めるのだ。個人的な興味と重なるからである。
▲大久保のタイ料理屋「バーン・リム・パー」で若者組と歓談。


2001/10/3/Wed.
▲快晴
▲長篇ミステリ『彼女は存在しない』(幻冬舎)を読む。小説の中ほどで「仕掛け」に気付く。それはともかく、人物の造形が弱く、小説としての面白みは今ひとつ。ラストの着地点はなかなかいいと思ったけど。著者の浦賀和宏、若いんだろうなと思ったら、なんと1978年生まれ。自分が年取った気分になった(笑)。
bk1編集会議。恒例のやだっちとのトークも、時間がなく果たせず。彼が日記のなかで映画『シャブ極道』つまらなかったといニュアンスで書いていたので、「え! 面白くなかった?」と尋ねると、「あれが面白って……冗談でしょう」と一言。面白いと思うんだけどなあ。
▲S田さんと大久保和民で密談。
▲I氏と仕事の話しなど。深夜に及ぶ。


2001/10/2/Tue.
▲快晴。
▲ビックカメラで買い物。
▲読みのがしていた桐野夏生の短篇集『ジオラマ』(新潮文庫)を文庫化を機会に読む。すべての短篇が面白いわけではないけれど、どれも端正。なかでは表題の「ジオラマ」と最初の「デッドガール」が印象的。前者は失職した銀行員が自宅マンションの下の階の女のもとに通う。後者は、昼間はOL、夜は売春婦、の主人公がラブホテルの部屋で幽霊女と対話する。
▲三池崇史監督の映画『FAMILY』をビデオで。梶原一騎の弟、真樹日佐夫原作の劇画を映画化。三池と真樹のつきあいは古く、三池は監督としてのキャリアが浅い時期に、梶原原作のトンデモ劇画『ボディーガード牙』を二作品監督している。『FAMILY』は実業家と日本の裏社会を牛耳る秘密結社“ジャパン・マフィア”なる組織が登場するアクション映画だが、出来の方はいまひとつ。古くさい劇画を実写で見せられた気分だ。三池らしさがうかがえるのは、主人公たちがヤクザになぐり込むときに戦車が登場すること(笑)と、敵役の遠藤憲一の怪演くらいか。同時に撮影されたとおぼしき「2」はフィリピンロケでガンガン銃をぶっぱなすみたいなので、そちらに期待しておこう。


2001/10/1/Mon.
▲雨。うっとうしい。
▲有楽町阪急へ、ハービー・山口さんの写真展山崎まさよし&ハービー・山口 旅の瞬間 ミシシッピー〜東京を見に行く。写真はすべてモノクロ。プリントは販売もしているが、写実的なニコパチ写真よりも、逆光のシルエットなど、叙情的、イメージ的な写真の方が人気があるようだ。会場を訪れているのは女性ばかりで山崎まさよしのファンなのだろうが、感性の部分で作品を選んでいるんだなと思い、感心した。実際、ハービーさんでなければ撮れないような、プライベートな雰囲気の写真もあって山崎まさよしファンならずとも楽しめる写真展。入場無料。10月9日(火)まで。
▲自宅で原稿の直し。


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