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2001/07/31/Tue.
▲デザイナーのI女史へ入稿その他。
▲超労作にして、充実の対談記事夏休み特別企画★安原顯×中条省平 本の虫対談アップ完了。ふう。


2001/07/30/Mon.
▲晴れ。
▲「季刊クラシックカメラ」のデザインへの入稿が本格化する一週間がスタート。黙々と原稿整理。
▲デザイナーK氏の事務所へ。原稿渡し。いま流行りのトレーディングカード(以下トレカ)のデザインについてなど。氏が関わっている仕事から派生したトレカの数々(某女性歌手のもの)を見せてもらう。デザインは氏の手になるものではなく、ほとんど、香港のオタクビルで売っているがごとき、バカCG的デザイン。ややア然。トレカでの儲けがプロジェクト全体を潤していると聞いて二重に驚く。
▲「ヤスケン×中条省平」対談の原稿直し、リンクを埋め込む作業。ときどき気が狂いそうになりつつ、しかし、新たに知ることも多く、さらに凝りたくなっていく(笑)。


2001/07/29/Sun.
▲晴れ。
▲ノートPCを乗せる台を確保、ネットにつないで一仕事。bk1文芸サイト「ヤスケンの編集長日記」ホラーサイトバックナンバーの整理など。さすが東雅夫さん、あらためて整理してみると、読み応えのある記事ばかりだ。
▲参議院選挙。「参院選不要論」が頭にあるので、どうも投票への意欲がわかん。先日の「都議選」パスしたので、今回は投票所へ足を運ぶことに。
▲帰りに、最近出来た近所のタイ料理屋「タイ東京」へ。カレーとパッタイ(やきそば)。旨くて感動する。しかし、立地から言ってどう考えても客の入りが悪そう(駅から遠い)なので心配。「タイコーヒー(アイス)」とメニューにあり、「どんなコーヒー?」とウェイトレス(タイ人)に聞くと即座に「コーラの方がおいしいです」との返事。旧宗主国フランスの薫陶を受けたベトナム、カンボジア、ラオスと違って、タイはコーヒーが不味いことで有名だ。コーヒーを飲む習慣が一般になく、外来の清涼飲料と同等の扱いなのだろう。ちなみにタイではコーラ、ミロあたりがポピュラーな清涼飲料だ。この店は「水」が、タイの「ナムケンプラオ」(煮沸してあることを示すために薄くお茶色をしている氷水)であるくらい本格的なので、タイコーヒーというのは「不味いコーヒー」という本場のそれなのかと得心する。もっとも、その後、ウェイトレスが、自分はコーヒーを飲まないので旨いか不味いかは判断しかねる、と訂正にやってきた。そこで一応頼んでみると、案の定不味かった。インスタントコーヒーにガムシロップとミルクをブチこんだシロモノで、極端に甘い。まさに本格的タイコーヒーで、タイ人とタイ通には堪えられない味である。
▲中食にビールを飲んだせいか、極端に眠くなり、昼寝。身体が溶け出すかと思うくらい気持ちよかった。
▲寝ているあいだに小人が仕事を片づけていてくれたということはまったくなく、起き出して、ちょこちょこ。
▲夕刻、散歩がてら高田馬場まで。
▲「ヤスケン×中条省平」対談の原稿、中条さんのチェックを早々といただく。二人とも仕事が早いなあ。それに比べて俺って……。
▲選挙速報をザッピングで。夏祭りのごときにぎわいに憂国を感じ、涼む。


2001/07/28/Sat.
▲晴れ。
▲家では何もできない状態なので、早々と「季刊クラシックカメラ」編集部へ。取材原稿のまとめ。
▲「ヤスケン×中条省平」対談の原稿、安原さんのチェックを反映させて中条さんへファックス。
▲池袋ビックカメラに修理に出していたノートPCを取りに行く。CPUとカバーを取り替え。ついでにiMacに内蔵するCD-ROMライターなど買ってみる。加賀電子製なり。
▲夜、新宿歌舞伎町とんかつ「すずや」。ここの高菜とごはん、それだけで十分って感じ。
『猿の惑星』を見に行く。劇場で、bk1の斎藤夫妻にばったり会う。映画の方は、ティム・ロスの猿ぶりに驚かされたほか、総じて楽しめたのだが、設定、ラストなど納得いかないことも多い。今年のハリウッド大作はぜんぶハズレ? しかし、猿好きは必見だろう。


2001/07/27/Fri.
▲晴れ。
▲家では何もできない状態なので、早々と「季刊クラシックカメラ」編集部へ。
▲夜、bk1。文芸関連サイト(ミステリ、ホラー)の打ち合わせをT氏と。8月リニューアルを期する。
▲大久保駅前の怪しい居酒屋「天竺」で焼き鳥。
▲安原さんから「ヤスケン×中条省平」対談の原稿チェック戻る。


2001/07/26/Thu.
▲晴れ、ちょっと曇り。風。
▲写真家ハナブサリュウさんを取材。テーマはハッセルブラッドというカメラについてなのだが、ハナブサさんと小池真理子さんのコラボレーションによるフォトエッセイ『いとおしい日々』(徳間書店)について、小池真理子さんにメールインタビューしたことがあったので、文章と写真のコラボレーションの難しさについてもお話を聞くことが出来た。『Innocent』(新潮社)で試みたような、小説と写真の組み合わせに再度挑戦してみたいという抱負などを聞く。
『渡邉恒雄メディアと権力』(講談社)の魚住昭による新刊『特捜検察の闇 』(文藝春秋)を銀座で買う。読みはじめたら止まらない。元東京地検特捜部のエース田中森一は、なぜ、バブル紳士たちの弁護を引き受け、刑事告発を受けるまでに「墜ちた」のか。NHKのドラマ『ある日、嵐のように』で佐藤浩市が演じていた「ヤメ検」のモデルとおぼしき人物である。検察の「正義」は本当に正しいのか。気骨あるルポ。
bk1文芸サイトのための「ヤスケン×中条省平」対談、やっと仕上がり、編集長チェックへ回す。次から次へと登場する書名、人名の調査に手こずったが、実はそれを調べるのがまた楽しい。しばしばエンジョイしすぎてしまい、時間がかかってしまうのだが……。記事はかなりの分量になってしまったが、最後まで楽しんで読める記事だと思う。お二人の朱筆でさらに濃度アップするだろう。チェックが返ってくるのも楽しみだ。アップは来週半ばを予定。
▲とはいえ、まだ書かなくてはならない原稿が山積していて……。
▲同居人の家財道具一切合切がうちに届く。寝る場所を確保するのに一苦労。近所の中華料理屋「料麺亭」でオツカレサマ。


2001/07/25/Wed.
▲晴。午後、突然の豪雨。
▲I女史との打ち合わせ。開口一番「太ったね」。その後、「昔の恋人に同窓会で会ったら、太っていてがっかりした」というエピソードを聞かされる。
▲K氏との打ち合わせ。藤木直人の美貌についてなど。K氏が「女を争ったら勝ち目はある」と大胆発言が。
うさぎ書林の本代を振り込む。田中光常「動物写真家」、マン・レイの伝記など。
世界水泳女子800メートルリレー感動的。5位→オーストラリア(1位)、アメリカ(2位)失格で3位繰り上げ→アメリカの抗議で4位に。結局、この日記を書いている時点(7/25)に3位決定。しかし、オーストラリアの失格の原因となった「試合が済んでいないのに歓びの余りプールに飛び込んでしまった選手」のことがすごく気になる。可哀想。
▲本を手に取る余裕もなく、部屋を片付ける。


2001/07/24/Tue.
▲晴。
▲M嬢と赤坂見附でランチ。会うなりお互いに「太った」と言い合う。年収分くらいの金額をワインにつぎ込んでいると聞いて愕然。ソムリエ試験がんばってください。
▲銀座・松坂屋中古カメラ市。ショウケースがちと淋しい。今回が第1回とのことなので、次回に期待。
うさぎ書林 ▲ビックカメラから電話。落下したノートPCの修理、6万円前後かかるという。ア然。しかし、買ってわずか1年、ほしいPCもないので、修理代金を払うことにする。トホホ。
▲夜。S嬢、M氏との約束があり、歌舞伎町へ。ところがS嬢の電話が不通で、お流れに。「待ち」がてら靖国通り沿いの尾張屋書店で堀江敏幸の新刊小説『いつか王子駅で』(新潮社)を買う。さっそくミスドで読みはじめたのだが、すぐに引き込まれた。都電が通る下町のターミナル駅王子駅界隈を舞台に、大学教師の「私」と、彫り師の交流が描かれる。こまごまとしたエピソードや、不意に挿入されるマイナーな小説についての蘊蓄がいい味を出しているのはいつもの通り。同時代にこういう書き手がいることに幸福を感じつつ読む。
▲部屋の片づけおよび原稿。入れ直したATOK12に知恵がついておらず、変換がうざい。キーッ。
▲就寝前に『出版動乱』(東洋経済新報社)。元『プレジデント』編集長による、いわゆる業界本。お勉強のつもりで。


2001/07/23/Mon.
▲晴。
▲延々と本の整理が続いている。不必要な本はブックマーケットの「得本便」なるサービスで処分することにし、伝票を書く。明日取りに来てもらうことに。ダンボール箱4箱。200冊程度。CDもうんざりするほど出てきたのだが、これを処分するのは次回。
▲写真家の横須賀功光氏を取材。アートと写真、銀塩写真とデジタル写真などについて刺激的なお話を聞くことが出来た。詳細は9月14日発売の「季刊クラシックカメラ」で。
▲たまっている原稿など。
▲高田馬場KupuKupu。郵便局でうさぎ書林さんで購入した本を受け取る。


2001/07/22/Sun.
▲晴。
▲8時起床。実家にいると、気持ちがゆるむのか、寝覚めが悪い。
▲ゴルフガーデン近くの不動産屋で打ち合わせ。
▲JR高崎駅の名物「だるま弁当」よりも「鳥めし」の方が旨いのではないか。でも、入っているものは同じかも知れないという疑惑も。
▲帰京。bk1。ランキングのチェックなど。原稿の続き。締め切りって必ず重なるものなのだろうか。
▲近刊の『コレリ大尉のマンドリン』(東京創元社)を読みはじめた。量があるせいもあるが、少しずつ読むにふさわしいムードなのだ。ニコラス・ケイジ主演映画(秋公開)の原作である。9月中旬発売予定、予約受付中。近日中に内容紹介を付けます。
▲高田馬場のタイ料理屋カオケン。数年ぶりだ。夕べ、「チューボーですよ」でカオパッ(ト)(タイ風チャーハン)の作り方をやっていて、食べたかったのだ。東南アジアのチャーハンにはプチトマトが入るのが通例になっているが、なぜ、中国本土のそれには入っていないのか不思議だ。タイに行くと必ず最初に食べるバミー・ナム(タイラーメン)を頼んだが、イマイチ。考えてみると、東京のタイ料理屋で、ちぢれ麺のバミー・ナムの味を再現しているところにはお目に掛かったことがない。味の素テイストのチープな味わいだが、時折、懐かしい。
上海小吃 でのロケを確認したくて、ビデオで映画『不夜城 』を見る。原作は好きだが、映画はいまひとつ。歌舞伎町の実景撮影(タイトルバック)の方が、「ニューセンター街」なるセットよりもはるかにカッチョイイ。香港のニューウェーブUFOのメンバーである監督李志毅、台湾出身の映画監督アン・リー映画の常連、郎雄、香港映画の才人、曾志偉など、スタッフキャストもいいのに、なぜ? という出来。修健扮する北京グループの首領がたむろす料理屋(設定では北京料理)が上海小吃のようだ。もっとも、いまとはかなり違うが。そういや、タイトルバックはゴールデン街から区役所脇を抜けて風林会館斜め向かいの雑居ビル群へ(その中に「ニューセンター街」があるという設定)という道筋になっているのだが、今は亡き「新宿屋台村」が映っていて感慨深い。深夜撮影のあと、金城武がスタッフとメシを食いに来たというのが屋台村のタイ料理屋のおばちゃんの自慢だった。


2001/07/21/Sat.
▲晴。
▲ノートPCが机から落下。うんともすんとも言わなくなる(泣)
▲池袋ビックカメラでノートPCを修理に出す。
▲原稿。bk1の夏休み企画「中条省平×安原顯 対談」をにやにやしながらテープ起こし。いちいち書誌データを調べながらなので手間が掛かるが楽しい。
銀座ろくさん亭で食事会。最初は旨い旨いと食べていたのだが、意外と量が多く、後半戦はお腹が苦しくなるくらい。その場の思いつきで熱弁をふるい、感心される。
▲新幹線で帰省。母の妄想的言辞を傾聴。おもしろい。妄想的な血筋というものを再認識。


2001/07/20/Fri.
▲晴。
▲海の日。
▲新宿で買い物。南口増田屋で冷やしそば。高度経済成長時代を彷彿とさせる女子従業員たちの素朴さにタイムスリップしたかの印象。増田屋(登録商標)とはよく見かける店名だが「のれん会」の額があり、のれん分けで増殖したのではないかと推測。調べるとこういう事情らしいそば通の人にとっては常識なのだろうが、この「のれん分け」というシステム、アメリカ式チェーン・オペレーションに席巻された現代、新鮮だ。
▲ひたすら部屋の片付け。途中、気が狂いそうになる。
▲片付け途中で発掘された町田康の『実録・外道の条件』(メディア・ファクトリー)をなんとなく拾い読みしてしまう。


2001/07/19/Thu.
▲晴。
▲「季刊クラシックカメラ」の進行会議。取材アポなど。
▲婚姻届を新宿区役所の宿直室に出した後、歌舞伎町「上海小吃 」でK氏、O氏、P嬢と。その後「かぼちゃ」。いつもと変わらない一日。歩いて帰宅。
▲ロバート・ネイサン『ジェニーの肖像』(ハヤカワ文庫)を読み始める。かなり昔の小説だが、恩田陸の『ライオンハート』(新潮社)がこの小説へのオマージュだと知って読んでみたいと思ったのだ。もっとも、そのことを教えてくれた『ライオンハート』の読者書評では、当の『ライオンハート』(新潮社)はいまいちの出来らしいが。『ジェニーの肖像』(ハヤカワ文庫)の出だしはなかなかいい。『鉄道員(ぽっぽや)』(浅田次郎・集英社文庫)『飛ぶ夢をしばらく見ない』(山田太一・新潮文庫)あたりを想起させるイントロ。さて。


2001/07/18/Wed.
▲晴。激しい夕立。都内に大雨注意報。
▲中食をI氏と。日本経済建て直しのための施策についてなど。
▲夕立でずぶ濡れ。すぐに止むから待つ、というのが正しい判断なのに、それができない性分.
▲白石一文『すぐそばの彼方』(角川書店)読了。参院選にタイミングを合わせた「政治」もの。与党総裁の座を射程距離にした政治家(作家でもあるという設定)の息子が主人公。名家に育った主人公は、なぜか、つまらない詐欺を働き、以後、パニック症候群に悩まされ、日常生活にも不安を覚えている。設定は面白いし政治についての見識にもユニークなものがあるが、ラストの陳腐さに愕然。『一瞬の光』(角川書店)にあった奇妙な迫力が消えてしまっているのも残念。


2001/07/17/Tue.
▲晴。夜、雨。
▲更新しないことがポリシーと化したかのようなHP念力洗濯機の「今日子」ことS嬢と打ち合わせ。写真選びなど。
『宮沢賢治殺人事件』(太田出版)読了。出だしはよかったんだが、途中で辛くなってきた。
▲K氏と新宿歌舞伎町コリアン・ビアホール「ココ・チキン」。ビニル手袋でピリ辛チキン。韓国でも同様の「チキン」ショップがあったっけ。鳥まるあげ。すぐに飽きる。3〜4人、メンツが必要だな。

コリアン・ビアホール「ココ・チキン」。いったいここはどこの街だ?

「ピリ辛チキン」。ピリ辛というより甘辛。ご覧の通りのくどい味。

食べづらい。悪戦苦闘していたら店員がビニル手袋をくれた。あまり旨そうなビジュアルではないが、たしかに食べやすい。

▲中野でM嬢、H嬢と再会。二度と戻らない青春の日々を懐かしむ。
▲帰宅後芥川賞・直木賞が決定。記事を作ろうとしたら、もう出来てた。斎藤さん、ごめんなさい。若干、手直しして、新直木賞作家夫人の直木賞受賞作も加える。


2001/07/16/Mon.
▲晴。
▲暑くて頭が働かない。こういうときって、アポをすっぽかすんじゃないかという強迫観念にとらわれてしまう。そのくせ、いちいち手帳を見るのもめんどうくさいのである。
▲午後王子にて取材。カメラ修理の職人芸に驚嘆。
『宮沢賢治殺人事件』(太田出版)ついでに『宮沢賢治カバーバージョン』(河出書房新社)。この手の企画、企画倒れチックなできになっちゃうんだよなあ。
▲うちのiMacのOSをリストア。苦心して作った「お気に入り」が消滅。泣く。


2001/07/15/Sun.
▲晴。
bk1。仕事、やってもやっても終わらない。
のだちゃん似の運送会社の営業マンとトーク。暑そうだった。
▲きちがいじみた暑さが続いている。夜、映画を見に行こうとして果たせず。アイスノンを頭の下に敷いていたら、寝てしまった。
▲日本テレビ「知ってるつもり!?」。嫌いな番組だが、見始めると見てしまう。今夜は「赤軍派の30年」というシブいテーマなので。番組の性質上、あんまりつっこんだ内容は期待していなかったので、昔の映像が見られるだけで満足だった。しかし、活動家たちの仕事が貿易? 本当にそんなに「平和」的なものなのか。『宿命』(新潮文庫)にはもっとエグいことが山ほど書かれており、こちらの方がはるかに納得がいく。もちろん、当の「よど号」の方たちはウソだらけの中傷本と全面否定。


2001/07/14/Sat.
▲晴。
▲三多摩「第九」30周年記念特別公演会 ベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」演奏会。アマチュアの合唱団ってたくさんあるんだ。ちなみに三多摩第九合唱団は今年の年末の公演で活動を終えるそうだ。そうしたら、こういう人たちの行き場は……。
▲瀬戸内晴美の『美は乱調にあり』(角川文庫)をいまさらながら。『『青鞜』人物事典』(大修館書店)が出たばかりということもあって、読み損ねていた古典を読んでみたくなったのだ。大杉栄の愛人で、関東大震災のどさくさに大杉とともに暗殺された伊藤野枝の伝記小説である。瀬戸内が伊藤野枝の遺児たちを訪ねるイントロダクションからして実に魅力的。
▲伊藤野枝と大杉栄といえば映画『エロス+虐殺』(吉田喜重監督)が即座に思い浮かぶか、残念ながら見逃してしまっているので、ぼくのなかのイメージは宮本研の戯曲「ブルーストッキングの女たち」(『宮本研戯曲集 第6巻』白水社・絶版)だ。大正デモクラシーという底明るい時代に生きた女と男というイメージだ。そして、二人の死は大正デモクラシーの終わりと、軍国主義への傾斜を象徴している。二人を暗殺したのは甘粕正彦。のちに満州国建国の背景で暗躍した、代表的な軍国主義者の一人である。


2001/07/13/Fri.
▲晴。
『フェイク!』(幻冬舎)読了。な、なんだかなあ。
bk1夏休み特別企画「対談 安原顯×中条省平」。新宿中村屋にて。7月下旬アップ予定。乞うご期待。


2001/07/12/Thu.
▲晴。熱風。
▲昨年話題になった覆面作家、大信田麗の『フェイク!』(幻冬舎)をいまさらながら。お、おもしれえじゃん、って感じで。
▲アラーキーの「語りおろし本」(?)と思いきや、どうやら、既発表のインタビュー記事を基にした再構成による一人称本『すべての女は美しい 天才アラーキーの「いいオンナ」論』(大和書房)。まア、ものたりない本できだけど、いちおう、ファンなので(笑)。


2001/07/11/Wed.
▲晴。え? 梅雨明けしたの?
▲昨日発表された芥川賞・直木賞候補作の発表をアップ。最終選考は7/17。
▲3年前に上海で出会った女子二人組と新宿歌舞伎町のタイ料理屋カオケン。知り合ったとき、彼女たちは大学生だったが、いまは社会人。今年のG.W.は東欧へ行ったとのことで、ブダペストの夕景、ルーマニアのドラキュラ城、ブルガリアのヨーグルトなどについて。ぼくが彼の地を旅行したのは真冬だったので、春先ならさぞ美しかっただろうと嘆息。
▲カオケン勤務のおねえさんのマダム度がさらにアップ。
▲iMacにOS9を入れたら動かない(泣)。深夜まで悪戦苦闘。


2001/07/10/Tue.
▲晴。
▲O氏と打ち合わせがてら新宿歌舞伎町の韓国居酒屋ワンチョ。「イカサウナ」って何だろうと思ったら、いかの丸干しだった。店のおねえちゃん(日芸写真科の聴講生)に訊くと「イカをサウナ(ゆでる)するからです」。ほんとかよ。でも、マジで韓国ではこの料理「イカサウナ」と呼ぶのだという。怪しい。
▲ワンチョの向かいのクラブビルで事件発生。ワンチョのねえさん、客のコリアン女子大生(推定)と見物。もっともどんな事件かは最後までわからなかった。
▲K嬢と二年ぶりに邂逅。O氏のセクハラインタビュー付きで。
▲帰宅後、朝までかかってbk1「ふくろうの本ブックフェア<アートビジュアル編>」。個人的に欲しい本がけっこうある。例えば『図説ボッティチェリの都フィレンツェ』。ちょうど、毎朝、ちょっとづつ再読している『深夜特急』(ぼくが読んでいるのは単行本の第三巻)がフィレンツェを通り過ぎたところということもあり、フィレンツェが懐かしくなった。
▲また、ふくろうの本シリーズは「都市」ものが充実している。ぼくが持っているのは『図説 上海』『図説 ブダペスト都市物語』。ほかに『図説 ベルリン』『図説 北京』などがある。


2001/07/09/Mon.
▲晴。
▲ハッセルブラッド(超高級中判カメラ)のカタログ・コレクションを所有されている方へ取材。ブランド力とは、消費者(未来の、をふくむ)に対するコミュニケーションによって培われていく。広告、カタログに魅力があるというのは、ブランド商品たりえるための必須条件だとあらためて。
bk1。短髪のM氏と会い、bk1がオープンして1周年だなあ、と実感。M氏は1年に1度しか髪を切らないからだ。去年は驚いたが、今年は2度目なので驚かなかった。
▲吉田司の既刊本『宮沢賢治殺人事件』(太田出版)をよみはじめる。「聖人」宮沢賢治の偶像破壊をもくろんだノンフィクション。ぼくにとって宮沢賢治は、ピュアな心を持った鈍くさい童貞野郎というイメージだったが、吉田司によればやっぱりそうみたいだ。むろん、細部に渡る吉田司の執拗な論証はいつも通り。世代的なものなのか、ぼくの周りに「賢治ファン」はいないから、賢治聖人説もピンと来ないのだが、賢治が聖人に祭り上げられたメカニズムは興味深い。しかし、それはそれとして『銀河鉄道の夜』は好きなお話である。


2001/07/08/Sun.
▲晴。
▲部屋の片づけ。
▲陽が落ちかけた頃、西新宿まで散歩。古い町並みと再開発の勢いがせめぎ合う奇観。
▲別冊宝島Real『腐っても「文学」!?』(宝島社)読了。bk1<ノンフィクションの杜>担当エディターの宮島理さんが企画に関わっている本。サブカル、タレント本なども視野に入れつつ、文学の外側から文学的なものをたたっ斬ろうとしている。だけど、いちばん面白かったのは中原昌也のインタビュー。やっぱ面白いは、この人。bk1でもインタビュー出てます。


2001/07/07/Sat.
▲晴? 曇り?
▲大久保末広書店で、最近、よく売れている森博嗣の最新刊『墜ちていく僕たち』(集英社)を買う。読了。いまひとつ「よさ」がわからん。ってゆーか苦手かも。
▲で、新宿ピカデリー4で映画『天国から来た男たち』。贔屓の三池崇史監督作品だが、氏の作品には「あたり」「はずれ」があり、今回は残念ながら後者。好きなシーンもあるのだが。
▲Oさんたちと。街で見かける浴衣ギャルと酒飲む機会があるとは思わなかった……。
▲映画『パールハーバー』を先行オールナイトで。毛ほどの期待もしていなかったが、予想通り最低だった。ってゆーか、ダメだとわかってるなら見にいくなよって感じだが(笑)。しかし、この映画、敗戦国日本でホントにヒットするのかな。そっちの社会現象の方が気になるよ。


2001/07/06/Fri.
▲晴。鼻血が出そうなくらい暑い。
▲鶯谷で打ち合わせ。
▲読みかけになっていた、馳星周の『雪月夜』(双葉社)を持って、藤沢へ。はじめて湘南モノレールに乗った。緑濃き風景を眺めていると急速に仕事をする気がなくなってくる。まったりとした打ち合わせ。
▲帰りに大船で降りて商店街をぶらぶらと。
▲で、『雪月夜』(双葉社)読了。予想通り(というのもなんだが)いまひとつ。短いあとがきがちょっと笑えた。「オホーツク沿岸に住む人々に捧げる。迷惑かも知れないが」だって。
▲テレビドラマ『生きるための情熱としての殺人』の第1回をたまたま見る。これはすごい。釈由美子主演の連ドラって……。オープニングに高田純次が特別出演。ある意味今シーズン最も注目度の高い連ドラだな。ジャンクドラマファン必見。


2001/07/05/Thu.
▲晴。暑い。
▲午前中は外苑前。午後は代官山で取材。
▲吉田司『スター誕生』(講談社) 読了。妄想ノンフィクションと評したら「けなし」なのかしらん。独特の飛躍が面白い。戦後芸能史に取材した異色本。
▲新宿歌舞伎町のタイ・ベトナム料理店「99」。なんの話で盛り上がったのかはあんまり覚えていなくて……。


2001/07/04/Wed.
▲晴。ひ〜、ちゅーくらい暑いよ。
『や・ちまた』(みすず書房)『東京迷路』(小学館)などで知られる写真家の鬼海弘雄 さんに取材。気むずかしい人だと勝手に想像していたら大きな間違い。こちらのつたない質問にも気さくに答えていただき、感激。インド放浪、アナトリア紀行など、旅と写真についての話は興味深かった。
▲吉田司『スター誕生』(講談社) を引き続き。中村錦之助の映画はあまり見たことがない。世代的には、おれにとっては中村錦之助というより萬屋錦之介で、辛気くさい芝居のおじさんというイメージしかないが、本書によれば、歌舞伎の名門よりいでて映画で活躍した革命的大スタアなのだそうだ。そういえば内田吐夢の五部作『宮本武蔵』は見てないなあ。
▲「液」にアイスノンを入れてプリントしてみる。
bk1の仕事。<文芸・小説>サイト1周年記念ベストセラーランキングをアップ。田口ランディ強し! 明日は21位から40位まで。お楽しみに。


2001/07/03/Tue.
▲晴。
▲二日酔い。いろいろなことが遅々としてすすまず少々自己嫌悪。
『新宿・夏の死』(文藝春秋)読了。読み終わっちゃうとあっけない。最後の短篇はVシネマっぽい安っぽさが好き(笑)。
▲吉田司『スター誕生』(講談社) 。表紙のひばりちゃん、似てないなあ。芸能ゴシップ+日本社会論、文化論。例によって妄想力全開。美空ひばりほどの「大物」でさえ、その出自、芸名の由来などに「定説」がないことに驚く。まさに神話、伝説を生きた「スター」である。
▲フジテレビのドラマ『ウソコイ』スタート。フェイ・ウォン、中国人の偽装結婚など、ネタ的には一応見ておこうかな、と。しかし、思った以上につまらないかも。見所は、日本人のアジア系外国人観ですね。


2001/07/02/Mon.
▲晴。
『新宿・夏の死』(文藝春秋)だんだん加速がついてくる。オチがないようなストーリーでも、読ませるのは人物描写が確かだから。たまには短篇もいいね。
▲フランソワ・ジョンベルが松田聖子の写真集を撮ってたなんて。中身はちょっとアレだけど。
▲久しぶりに日本酒を。タクシーで帰宅。


2001/07/01/Sun.
▲晴。猛暑。
▲ぐずぐずと「サンデー・プロジェクト」を見てしまう。メインゲストは石原慎太郎都知事。都職員のベースアップ凍結をはじめて知る。公務員の人件費削減から改革スタートというのは正道だ。
▲「サンデープロジェクト」レギュラーコメンテーターの草野厚慶大教授がずっと気になっている。ってゆーか、気になりません? みなさん。え? 52歳? うーむ。
▲あまりにも暑いのでキムチチャーハン。
▲早稲田からバスを乗り継いでbk1。帰りは池袋まで歩いてみた。東池袋〜北池袋方面は、北新宿と同様に、まだら状に開発が進んでいて、「東京」的。路地を歩くのは楽しい。
▲永江朗さんの『消える本、残る本』(編書房)読了。ベストセラー本の分析、書評について、全国のユニークな書店のルポ、フリーライターという仕事についてなど。軽く読める本だが、意外と情報量は多い。とくに書評についての考察は参考になった。
▲船戸与一の『新宿・夏の死』(文藝春秋)を少しづつ。いまの季節にピッタリの「猛暑本」。


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