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2002/10/31/Thu.
▲晴れ。
▲元気を出して、「季刊クラシックカメラ」の連載「写真家とカメラの肖像」のために、写真家の秋山亮二さんの取材。ご自宅へうかがい、お父さん(写真家の秋山青磁さん)から譲られたというローライを数台、見せてもらう。秋山さんといえば、津軽に移り住んで、その町と人をスナップ、擬古文を模した文章を加えたユニークな写真集『津軽・聊爾先生行状記』(1978・津軽書房・絶版)や木曽路の村を撮影した写真集『楢川村』(1991・朝日新聞社・絶版)などで知られる写真家。軽妙洒脱な味わいのある写真が魅力だ。35ミリ判ではライカかコニカヘキサーRF、ブローニーではローライとハッセル。とくに上記二冊の写真集はローライで撮ったものがほとんどだという。写真集『楢川村』は先日、偶然、古書店で見つけて手に入れたばかり。大学時代の同級生が楢川村の出身で、訪れたことがあるので、少し懐かしい。秋山さんに「なぜ楢川村を撮影したんですか?」と訊いたら「旨い蕎麦屋があるから」というきっかけだったとか。今度楢川村に行く時には、その蕎麦屋のある場所を教えてもらおう。
▲写真家の有元伸也さんと編集部で打ち合わせ。「季刊クラシックカメラ」次号の特集のために、作品をお借りし、お話も聞く。有元さんはローライを持ってチベットを何度も旅し、撮影した作品で第35回太陽賞(1998年)を受賞。その作品をまとめた写真集『西蔵(チベット)より肖像』(VisualArts大阪)が話題になった。この日もチベットの少女を撮った傑作! をお借りする。現在は8×10でポートレートを撮ることに夢中になっているとのこと。その成果は「SWITCH」などの雑誌で見ることが出来る。
▲夜の編集会議。


2002/10/30/Wed.
▲晴れ。
▲朝起きるとまずbk1「ブックサイトヤスケン」でスーパーエディターこと安原顯さんの「編集長日記」を更新するのが日課。で、たいてい、夜中に安原さんからメールで原稿が届いている。今日もいつものように、届いた「日記」を読んでいたら、愕然とした。「医者は、余命1か月以内なので、聖路加病院の「ホスピス」に入ったらどうかと勧めるが、命ある限り、自宅で仕事をしたいので、とりあえず部屋に酸素ボンベを設置してもらう。」え? どういうこと? と目を疑う。というか、俺の読み間違いではないかと思い、何度も文を追った。安原さんがガンだというのも初耳なら、いきなり「余命一ヶ月」ってどういうことだ。
▲さっそくメールを出して、午後には電話で少し話す。「まあ、しょうがねえよ」という安原さんの言葉に、返す言葉もない。とはいえ、医者も神様じゃあるまいし、あと一ヶ月で死ぬなんてわかるわけがない、と思う。
▲カミゾノ☆サトコ女史と次号「季刊クラシックカメラ」の連載「かなりピンぼけ」の打ち合わせ。オリンパスOM-1のフィルムアパチャーとファインダーをマスキング、35ミリ判フォーマットを正方形に改造したという恐るべきカメラを見せてもらう。まとめて正方形の写真群も。
▲仕事もあまり手に付かず、早々と切り上げて飲みに行くことに。Iさんと歌舞伎町。驚愕すべき飲み屋。でも、気分は晴れない。


2002/10/29/Tue.
▲晴れ。
▲平和な一日。
▲メル友K嬢から「日記読んだ。元気ないので心配」というメール。「元気出た」と返事。
▲なぜか時折メールを交わすM嬢とメールのやりとり。女の友情、職場の人間関係、三十代女子の疳の虫、などなど。
駒村商会のリペアマン、Hさんと久々にお会いする。ローライSL66の故障しやすい部分、操作のコツなどをうかがう。人形町、必ず迷うのだが、今日も迷った。たぶん、脳みそのある部分が欠落していて、覚えられないようにしているのではないか? と妄想したくなるくらい、いつも迷うのだ。不思議。


2002/10/28/Mon.
▲晴れ。
▲年内に仕込まなければならない仕事の打ち合わせ。
▲というか、そっちよりも前にやらなければならないことがいろいろとあるので、そのアポ取りとか。
大倉舜二展「仕事ファイル1961-2002」オープニング・パーティー。盛況なり。大倉さんと立木義浩さん、荒木経惟、三人揃ってのスリーショット。ジャズ・バンドが入った楽しいパーティー。
▲写真展は大倉さんが玉三郎や幸四郎の舞台のために撮った特大ポスターから、女優麻美れいとのコラボレーションフォト、ジャズ・ミュージシャンのモノクロ写真、完璧なコンポジションが美しいファッション写真、昆虫少年だったという大倉さんがライフワークの一つにしている蝶の写真、女優のポートレート、女性雑誌のための花、和室の写真、最近の写真集『Tokyo X』(講談社インターナショナル)などなど、多様かつパワフルな展示内容。二つの会場で同時開催されているので、どちらもお見逃しなく。11月6日には、大倉さん、立木さん、そして、彼らと同年で、かつ当時の写真シーンを盛り上げた一人である草森紳一さん(もともと「メンズクラブ」の編集者で、写真評論をはじめとして各方面で活躍)のトークショーhがある。ぼくも行くつもりです。詳細はこちら
▲パーティーには運景の岡本ノオト(Rabbit Note)さんも来ていて、写真家の藤里一郎さんを紹介してもらう。藤里さんが今はなき「アサヒグラフ」にダンス集団コンドルズの写真を載せていた時に名前を覚え、密かに注目していた写真家。コンドルズとのコラボレーションは写真集にまとめられていて、そのプロデュースを岡本さんがやっているのだ。そこまでは知っていたが、藤里さんが大倉さんの助手を務めていたとは知らなかった。藤里さんは写真・画像サイトROP Libでも写真を発表している。
▲ほかに「通りかかったので」と言って現れたのが昨年、三木淳賞を受賞した写真家の藤澤真樹子さんと久しぶりに会う。


2002/10/27/Sun.
▲晴れ。
▲お母さんと子供が来宅。近所の公園まで散歩。
▲東京創元社から近刊予定の『ロンド』は木口木版画家の柄澤齋の処女長篇ミステリー小説。交通事故で死んだ画家が描いていた幻の作品「ロンド」をめぐって連続殺人が起こる。そこにはその死体をモティーフにした「作品」があった……。ボリュームたっぷり、死と芸術をめぐる議論など、気合いの入った大作である。気に入った。近々オンライン書店bk1にこの本のブックガイドを書きます。
▲ロシア劇場占拠事件。占拠犯を制圧、で幕が下りたが、突入の際、人質が100人以上犠牲になった。常に戦火にさらされ続けているチェチェンからの「戦火」がモスクワに飛び火した。ロシア側からの視点でしか報道されないこの事件をチェチェン側から見たらどう見えるのか。


2002/10/26/Sat.
▲くもりのち雨。
▲どんよりとした午前中。散髪した午後。夜は国立で飲み会。帰りの電車でb社のT女史とばったり。
▲小川勝己『撓田村事件 iの遠近法的倒錯』(新潮社)読了。横溝正史賞作家。いわゆる「鬼畜系」サスペンスの旗手として注目されているが、プロフィールには常に「横溝正史を敬愛する」とある。その成果が結実したのが、この長篇小説。舞台は岡山の山奥。見立殺人。中坊の頃に横溝正史にハマった人に強力に推したい一冊。


2002/10/25/Fri.
▲晴れ。
『赤ちゃん語がわかる魔法の育児書』(イーストプレス)の編集者や『僕たちの好きなガンダム』(別冊宝島 694)などの編集者各氏、および、その周辺の人たちとタイ料理屋。結局、屋台村。歩いて帰る。
▲この「日記」が最近、暗い、と指摘を受けたので、なんとか明るくしようと決意(ウソ)。


2002/10/24/Thu.
▲晴れ。
bk1で、11月5日オープン予定の「東雅夫のHORROR WEB 怪奇幻想ブックストア」についての打ち合わせなど。
▲小川勝己『撓田村事件 iの遠近法的倒錯』(新潮社)を取り憑かれたように読み、その後、歌舞伎町「南風」で、死者の話、宇宙の話、妄想話など。


2002/10/23/Wed.
▲晴れ。
▲不明。きっと大したことはしていない。
▲思い出した。『盤上の敵』(講談社文庫)読了。トリックにはなるほどと思ったものの、やはり不満が残る。というか、きっと相性が悪いんでしょう。


2002/10/22/Tue.
▲晴れ。
▲新しいレンズをつけて町に出るつもりがそんな時間はなく、ただバタバタと初校戻しのやりとりとか、打ち合わせとか。1月に出る予定の本の制作進行スケジュールがけっこう大変なことに気が付いたり、その前に「季刊クラシックカメラ」の最終号(12月20日発売)があるじゃんと思ったり。それとはまた関係ない企画も年明けにあったりして、年末年始も仕事なんだろうかとやや鬱。
▲文庫化された北村薫『盤上の敵』(講談社文庫)を読みはじめる。この作家のほのぼの世界は苦手なのだが、この小説はそっち路線とは違うらしく、作者自ら「まえがき」でそう断りを入れている。散弾銃を持った籠城犯に妻を人質に取られたテレビマン。彼が取った救出作戦とは? 妻にはトラウマがあるらしく、回想が織り込まれ、複雑な構造になっている(ようだ)。続きが読みたい!
▲と思っていたのだが、うちの近所の居酒屋で酔っぱらってしまい、早々と就寝。やっぱり疲れていたみたいです。やれやれ。


2002/10/21/Mon.
▲雨のち曇り。
▲朝。初っぱなのアポに間に合わず、次の約束とバッティングしてやむなく……というわけで、週の最初からズッコケ。
▲『ライカな眼』の初校戻し、最終便は今日の予定だったのだが、明日にズレ込むことに。深夜まで赤字入れとその整理。
▲その合間にマツケンこと松本賢吾さんの新刊『謝り屋始末記 不動明王篇』(双葉社)読了。倒産した会社オーナーに代わって、債権者たちの前で土下座して許しを乞う「謝り屋」。前作『窮鼠』(双葉文庫)に続く、謝り屋・北山慎治シリーズの新作。前作で謝り屋の世界に足を踏み入れた慎治が、倒産寸前の会社を食い物にする「整理屋」と対決する。軽快なテンポ、イキのいいキャラで一気に読める。長寿シリーズになってほしい。
▲うちにまた新しいカメラとレンズが来る。ちょっとうれしい。


2002/10/20/Sun.
▲曇りときどき雨。
▲雨の日用のカメラを持って。でも、仕事もしたかんね!(誰に?)
▲誰かと話したりする気力もあまりなく、写真の整理も進まず。そのくせ、カメラとレンズを知人から買うことに。コレ以上カメラ増やしてどうすんだよ、という自分へのツッコミ。毒食らわば皿までとはゆーが。ノー。
▲天気が悪いと思考がネガティブな方向に行きますな。写真スキャニングしたい。HPのデザインと構造を変えたい……と欲求はあるのだが。


2002/10/19/Sat.
▲晴れ。
▲昨日までに終わらなかった仕事をやるが、予定通りにはなかなか……。
▲で。毎年開かれているという、大学時代の先輩、同級生、後輩などが集まる会に。この会の案内はもともと亡くなったKが取り次いでくれたものだった。しかし、気が向かず、一度も出たことがなかったのだが、Kの死がきかっけで、出ることにする。そもそもKと知り合ったのも、この集まりである。
▲先輩たちのほとんどは大学以来はじめて。同級生も、1〜3年ぶりくらいの再会。趣味も興味の対象も、社会に出て進んだ方向もバラバラなのに、ある時期を濃密に過ごした仲間たち。久しぶりに再会すると、彼らとしか話せなかったことがあったんだということがよくわかる。
▲また、在学中は知らなかったのだが、この集まりにはあの名作『タイ・ラオス・ベトナム酒紀行!』(アリアドネ企画)『女二人東南アジア酔っぱらい旅』と改題され、イラストの代わりに写真が入った光文社知恵の森文庫版が出たばかり)の著者、江口まゆみさんもいて、少しお話をする。続々「酔っぱらい」シリーズが文庫化されるそうなので、楽しみだ。ちなみに江口さんの名刺の肩書きは「酒紀行家」(笑)。
▲最後は、怪しげな歌謡スナックで、清さま、猫手、亜希ちゃんの四人に。近々、今日、来られなかったメンツにも声を掛けて、集まろうという話になる。
▲注文していた、佐内正史撮影のヌード写真集『HUG』(ぶんか社)がbk1から届く。佐内さんのエロ写真はご本人から雑誌連載していたものを見せてもらったことがあるのだが、その日常的ななかから5センチくらいズレたエロさにグッときた。そんなわけで、この『HUG』にも大期待していたのだが、期待は裏切られなかった。一枚一枚の写真が持っているスレスレな感じが気持ちいい。男だったら、誰でも、こんなふうに女体を凝視してみたいのでは? 雑誌用に撮っていたそれよりも、一歩進んで佐内ワールドが展開されている。久々、満足。でも、「実用」を期待する向きにはおすすめしません。


2002/10/18/Fri.
▲晴れ。
▲今日、ぼくが編集を担当した『季刊クラシックカメラ ベッサR2S/R2C』(双葉社)が発売されました。本屋さんのカメラ雑誌、カメラ本コーナーに置かれると思います。興味のある方はぜひご覧ください。
▲続々とメール。Kの死を知らせた反響。偲ぶ会、やらないと。そのほか、飲み会の約束をしたりして、存外、社交的な秋。
▲写真家の大倉舜二さんから展覧会のご案内をいただく。大倉舜二展「仕事ファイル1961-2002」。リクルートのギャラリー「ガーディアン・ガーデン」と「クリエイションギャラリーG8」の二会場で行われる。ガーティアン・ガーデンではタイムトンネル・シリーズと銘打って、一流クリエイターの過去の作品を総めくりするという企画があり、今回で16回目。大倉は昆虫写真から写真歴をスタートし、ジャズ・ミュージシャンのステージ写真、ファッション、女性写真、料理写真、スナップ写真など、実にさまざま領域で優れた仕事を残してきた。さっそくお電話してお話をうかがったら、夏は展覧会のプリントを仕上げるためにおおわらわだったとか。膨大な作品の中から、どんな作品がチョイスされるのか、今から楽しみだ。2002年10月28日(月)〜11月22日(金) 土・日・祝祭日休館 入場無料  11:00A.M. 〜7:00P.M.(水曜日は 8:30P.M.まで)。大倉さんについては、ぼくのインタビュー写真集『TOKYO X』を語る(2001/1/30)写真集『歌舞伎』を語る(2001/4/17)をご参照下さい。
▲別冊宝島Real 040『石原慎太郎の値打ち。』を読む。次期首相候補、新党結成か、と騒がれている石原慎太郎。しかし、政治家としてはあんがいショボい経歴しかないんだな、ということがよくわかる一冊。「石原慎太郎なる幻影」といったところか。しかし、ポスト小泉と言われて、ほかに誰も思い浮かばないのがこの国の悲惨なところだ。「何かやってくれそう」という漠とした期待しか支持の理由がないというのが、なんとも。


2002/10/17/Thu.
▲晴れ。
▲東京郊外の川辺を撮って、気持ちのいい写真。當麻妙の世界をWEBでどうぞ。
▲サンダー平山『FOCAL FAST FIXED サンダーTHE大口径単焦点主義者』(トレヴィル)。出版社がなくなってしまっているので、自動的に絶版になってしまった本。先日、西武新宿線沿線の古書店で偶然、見つけて買った。サンダーさんの少年時代からはじまり、プロカメラマンになるまでのカメラまみれ、レンズまみれぶりを独特のユーモアで描く。このだらだら感がいいんだとは思うけど、俺が編集するなら、もうちょっとザクザク切って、サクっとした本にしたいなあ、と思ったりもする。他人様の作った本には何でも言える(笑)。
▲帰国中の拉致被害者5人が里帰り。涙涙ですな。しかし、「帰ってきてよかった」で済まされない。問題山積。真相究明を求めたい。


2002/10/16/Wed.
▲晴れ。
▲『ライカな眼』初校直しのまとめ、追加・差し替え原稿の整理。これが今週一杯続く。鈴木事務所に日参。編集部に戻って季刊クラシックカメラminibookの手伝いを。『ニコンマニュアル大全』という二冊組の本。
▲書くのを忘れていた本。谷恒生『バンコク楽宮ホテル 残照』(小学館)。あの、古典的名作『バンコク楽宮ホテル』(現在はどこからも出ていない。ぼくが読んだのは徳間文庫版)の続編である。K田さん宅で見て、さっそくオンライン書店で注文した。K田さんの評価は否定的だったが、ぼくは実に面白く読んだ。谷恒生という書き手の「やれた感じ」が、なんともいえず、いい。こういうダメダメな感じが東南アジア旅行の一面の真実であるとも思うし、そういうダメダメな連中の口から語られる、アフガン戦争の現実や、マフィアの暗躍に妙なリアリティを感じるのだ。この本も、おそらくすぐに書店から消えてしまうと思うので、興味のある方はお早めに。
▲バンコク楽宮ホテルは実在のバンコクの安宿だが、谷恒生はほかに、『カルカッタ真珠(パラゴン)ホテル』というやはり実在の安宿を舞台にした小説を書いている。いずれも、たくましき貧乏旅行者の光と影を鮮やかに描いた逸品。ちょっと苦いけどね。いずれも徳間文庫版で出ていたので、古本屋でお探しあれ。


2002/10/15/Tue.
▲晴れ。
▲連休明け。たまった仕事を片づけはじめる。
▲鈴木一誌事務所で高梨豊著『ライカな眼』(毎日コミュニケーションズ刊・11月下旬発売予定)の印刷進行についての打ち合わせ。鈴木さんと言えば『画面の誕生』(みすず書房)を上梓されたばかり。いま、ちょうど読んでいるところなのだが、映画、写真など映像について論集だが、平易かつ明晰な言葉で書かれていて、いわゆる評論家や大学の先生のそれよりもずっと面白い。
▲疲れが残っていたのか、ニュースで拉致被害者の帰国模様を見たら、もう眠くなってしまった。帰国はおめでたいが、あくまでも一時帰国で、さらに、拉致被害者問題は山積したまま。真相究明へはまだまだ時間がかかりそうだ。


2002/10/14/Mon.
▲晴れ。体育の日。
▲名所旧跡を歩いてから帰京。道中の話題はもっぱら憂国。日本はこの先どうなってしまうんでありましょうか?
▲へとへと。何もする気にならず、メールチェックだけ。


2002/10/13/Sun.
▲晴れ。
▲先日、亡くなったことを知ったKの墓参のため、大学時代の同級生G子と先輩のOさんとともにKの実家へ。ご両親にお会いして、お話をうかがう。娘の死から立ち直っていない様子のご両親を前にして、掛ける言葉もない。ぼくを含めた三人とも、大学時代から死の直前まで、断続的ながらつきあいが続いていた。しかし、彼女の深刻な状態をすっかり見過ごしていたのだ。Kの墓の前で、Oさんが持参したギターを弾いた。Kは歌うことが好きだったからだ。三人でビジネスホテルに泊まり、Kのことを話す。


2002/10/12/Sat.
▲三多摩LOMO会。町屋に集合。東尾久三丁目の商店街「おぐとぴあ」にある「キッチン・スエヒロ」でコロッケ、マグロカツその他の揚げ物、自家製マヨネーズのポテトサラダを仕入れ、荒川土手で食す。王子まで歩いて、居酒屋で飲んでお終い。


2002/10/11/Fri.
▲サトミミと三人の会。新宿で飲んだくれる。
▲高部雨市『私風俗 上野界隈徘徊日誌』(現代書館)読了。バブル以前以後の上野、鶯谷界隈の「夜」をテーマにした私的ルポ。上野のイラン人、ブルセラショップの店長、ストリッパー、ラブホテル街の娼婦、ゲイバーのママなどをスケッチした小品集だが、新宿歌舞伎町のそれよりも、湿り気があるところが味わい深い。バブルが破壊した風景を描いたルポとしても読める。佳品。


2002/10/10/Thu.
▲Hさんと久しぶりに会い、仕事の話など。いっしょに関わっていた仕事の来し方行く末についてあれこれと。来年から、いっしょに仕事ができそうなので、ちょっと楽しみ。
▲水村美苗『私小説』(新潮文庫)読了。もっともっと読んでいたかった。文章を読む心地よさを味あわせてくれた本。


2002/10/09/Wed.
▲晴れ。
▲新宿御苑で秘密めいた会合。深夜に及ぶ。


2002/10/08/Tue.
▲晴れ。
▲とくになし。


2002/10/07/Mon.
▲晴れ。なぜか、暑い
TOPの写真を変えてみる。ゴミ。
▲「季刊クラシックカメラ」次号の打ち合わせなど。「季刊クラシックカメラ」は次号(12月下旬発売)が最終号となる。その有終の美を飾る特集は「ローライ」。個人的にも思い入れのあるカメラなので、気合いを入れてやりたいと思う。なお、来年も、カメラ、写真関係の本を編集する予定はあるので、「季刊クラシックカメラ」以降もよろしくお願いします>読者のみなさん、関係者の方々。
▲Kの死を巡って、友人たちとメールのやりとり。
▲田島陽子、社会党を離党。安易に「党」に担がれた軽薄さについて、ご本人はどう思っているのか。
▲ジーコ、はじめての代表選手選出。ともかく、いろんな選手のいいプレーを引き出してほしいと思う。ジャマイカ戦を楽しみにしよう。
▲家人と近所の韓国料理店「梨花」で夕食。ゴマ油の利いた豆腐チゲ、名物の石焼きビビンバなど。美味しい。


2002/10/06/Sun.
▲ほぼ曇り。だけど、蒸し暑い。
▲高梨豊本の校正など。
▲夜。大学時代の同級生G子から電話がある。「おー、久しぶりじゃん」と軽口を叩こうとして、いやなムードを感じ取る。Kが死んだという。それも、亡くなったのは5月。連絡が取れなくなったことを心配して、実家に電話してわかったという。ンなバカな、と思う。のちに調べてみると、俺はKと亡くなるちょうど1カ月前に電話で話している。Kも大学の同級で、しかもある時期濃密につきあった。どう濃かったかというと、俺はほとんどKを人格攻撃と言っていいくらい批判して、Kも俺に反発したりもした。Kは女だったので、その後、男とつきあうようになり、必然的に縁遠くはなったが、なぜか数年おきに会う機会があり、昨年、Kが離婚してからは、共通の友人を交えて交流もあったのだ。
▲Kが最後に電話を寄こしたのは、彼女の故郷のN***県の精神病院からだった。派遣先の職場でパニック障害を起こし、親元に連れ帰られ、そのまま病院に入院して数ヶ月がたっていた。俺は、まだKが入院していることに驚いたが、それはKも同じだった。病院の薬、治療法が合わない。ケンちゃんが知っているカウンセラーか、精神科医を紹介して欲しい。ぜったい、よくなって生きるからね! と言っていた。しかし、俺は紹介の労を取ることを怠ったのだ。その後、何度か電話したものの、通じずじまいで、今日、突然、彼女の死を告げられた。
▲最初に心に浮かんだのは「あのバカが!」という思いだった。昔からバカな女だったが、まさか死ぬほどバカとは思わなかった。G子は電話口で泣いていた。もう数ヶ月も前に死なれていては、実感なんて沸かない。とにかくお墓まで行こう、と話す。どんな死に方か、G子はご両親から聞くことは出来なかった。しかし、どんな死に方だったにせよ、Kの精神が弱っていたことは、俺もGも知っていた。だけど、死ぬことはないだろう、俺たちに断りもなしに。G子だって、Kと何度か旅行していて、最後まで気のおけない友人だったはずだ。もしKが化けて出たら、小一時間説教してやりたい。マジでムカついた。
▲水村美苗『私小説』(新潮文庫)が面白く、帰りの電車の中で読むのが楽しみだったのに、Kの今さらながらの訃報でまったく集中できなくなってしまった。『私小説』は「本邦初のバイリンガル小説」と銘打たれ、新潮文庫では珍しく(たぶん、初、だろう)横書きだ。奈苗と美苗という二人の姉妹が両親と共に少女時代にアメリカに移り住み、彼の地でどう自己形成していったか(いかざるをえなかったか)を余すところなく描いており、読み応えがある。帰国子女文学とでも呼ぶべきなのか。かねてから、異文化における自己形成の難しさと、そこから起こる葛藤に興味を持っていたので、苦手な英語が挟み込まれている文章も苦にならない。学生の頃に出会った、何人かの異国育ちの女性たちの顔を思い浮かべながら読む。


2002/10/05/Sat.
▲晴れ。ちょと曇り。
▲石神井公園。十年以上ぶり? だろうか。もしかしたら初めてかも知れない。というのは、石神井公園は新井素子の初期短篇で宇宙船の降り立つ場所として、また、最近では重松清の短篇の中にワニが出る池がある公園として登場するので、脳内的には親しい公園だからである。実際に行ってみた石神井公園は三宝池周辺のうっそうとした茂みが実にワイルドで23区内にいることを一瞬、忘れる。以前、近くに住んでいたので、つい、井の頭公園と比べてしまうが(池を中心とした構成自体は似通っている)、こっちのほうがアトラクションが少なくて、そのぶん、プリミティブ。茶屋がいい味を出していた。
▲上井草→井荻。八百屋で買い物をして帰宅。映画「マトリックス」。「ぼんくらサラリーマンの見た夢」。最高です。
▲T女史から電話。わかる範囲で忠言。
▲サッカーアジア大会、日本の調子が上がってきている様子。ちょっとずつ選手の名前を覚えてきた。次の中国戦が楽しみ。


2002/10/04/Fri.
▲晴れ。
▲体調悪く、病院へ行って薬をもらってみたり。
▲鶯谷で打ち合わせ。インターネットカフェで雑事をこなしてから、赤坂。
▲TBSの新番組『ママの遺伝子』(金曜ドラマ。10月11日スタート)のプロデューサー、伊藤一尋氏とアイディアカウンセリングセンター を主宰する浮世満理子氏の対談の進行。伊藤さんといえば野島伸司脚本の『高校教師』『聖者の行進』『人間・失格』などのセンセーショナルな作品が印象的だが、ご本人の印象は、小松江里子脚本の青春三部作(『若葉のころ』、『青の時代』、『SUMMER SNOW』)に見られるような、骨格のしっかりしたドラマづくりのプロといった感じ。実際、『高校教師』などの野島作品でも物語の骨組みではギリシャ悲劇、シェークスピアなどの古典作品を意識していたとか。いたずらに現代風俗をドラマで扱いたくないとも。二人のお話は、ドラマから昨今の子供、大人の心の問題にまで広がった。掲載誌は次号の『セラピスト』(11月発売予定・BABジャパン)です。
▲帰宅してダウン。電池切れ。


2002/10/03/Thu.
▲晴れ。
▲鈴木一誌事務所。高梨豊著『ライカな眼』(11月刊行予定・毎日コミュニケーションズ)初校出。
▲神田憲行さんのはからいで取材に同行させていただき、『写真生活』(晶文社)を最近刊行された、アートディレクターの坂川栄治さんのお話をうかがうことができた。『写真生活』は坂川さんが敬愛する写真家たちの作品とプロフィールを紹介し、さらに、ご自身でギャラリーを経営していた経験から写真を買うこと、写真を飾ることについても書かれている。つまり、写真のある生活を楽しんで欲しいという気持ちから生まれた本である。
▲お話をうかがったのち、一軒家の事務所に飾られた坂川さんのコレクション、額を使ったオブジェ、坂川さんが数年後に発表したいと語っていたご自身の写真作品などを見せていただき、楽しい時間を過ごすことが出来た。写真をどう撮るか? の次にはやはり、どう見せるか? どう楽しむか? という視点が必要になる。そういう意味でも参考になった。神田さん、坂川さん、ありがとうございました。
▲なぜか江古田で飲み。今週は二回も江古田に来た。すごい。


2002/10/02/Wed.
▲台風一過。気持ちいい。
▲学校を出て就職した会社の上司とほぼ10年ぶりに会った。Hさんは現在はキャメルスタジオの社長。以前と印象は変わらない。ていうか、妙に若い(笑)。仕事も順調の様子。で、久しぶりに当時の職場の連中と飲み会でも、という話になる。
▲Iさんと新宿。久しぶりに「H」、それから「かぼちゃ」。楽しかったような気がする。


2002/10/01/Tue.
▲雨。台風21号、首都圏を直撃。戦後最大規模の台風、とか。
▲低気圧で気分もロウ。天候に気分が左右されると気付いたのは最近のこと。
JCII ライブラリーで調べもの。。1982年の「アサヒカメラ」。故・植田正治さんのカラー「中国」。初めて見たけど、もっと見たいと思う。写真家の残したフィルムって、膨大な量に上るから、それを管理すること自体にコストがかかる。植田正治さんの場合は、植田正治写真美術館があるからいいけど、そのほかの写真家の写真て、その人が亡くなった後、どうなっちゃうんだろう。残された遺族としても「……」って感じだと思うけど。
▲色校戻しで一日が終わる。台風で早々と帰宅。みのもんたって「人生相談デカ」だったのか。たまたまテレビを見ていて驚いてしまった。
▲そんなことよりも、「映画芸術」の最新号「相米慎二追悼特集」(1500円)だ。「映画芸術」誌は脚本家の荒井晴彦が編集長を務める映画雑誌。映画を作る側からの情報発信が中心の異色メディア。とくに「追悼」企画に力が入っているので、相米特集を期待していたのだ。偶然、Sさんの細君が編集部にいると知って「相米特集、早く出して下さい!!」と勝手なお願いをしたくらい、期待していたのだ。
▲できあがった「相米追悼特集」は予想以上に力の入ったもので、1500円は絶対に安い。主要スタッフ、キャスト、相米映画を愛する同業者(映画監督)など、総勢99人が寄稿している。もちろん、薬師丸ひろ子、斎藤由貴ら相米映画のヒロインたちも追悼文を書いている。
▲編集後記を読むと、「映画芸術」の運営は金銭的に相当苦しいらしい。推察するに、荒井編集長体制になってから最大部数を出した号は「松田優作追悼号」のはず(のちに冊として再刊されてもいる)。優作ほどではないにしろ、30代を中心に相米映画ファンにはたくさんいるはず。身に覚えのある人は漏れなく「映画芸術」を買って欲しいと思う。とにかく、読み応えアリ、です。
▲で、さっそく、ぼくが相米慎二の劇場長編映画(監督作)で唯一見逃している『夏の庭』を見ようとビデオを借りてきたのだが、「映画芸術」を読んでいたら、急に『雪の断章──情熱』を見たくなってしまった。ダンボールの中からオンエアーを録画したビデオを引っぱり出して、寝る前に見よう。映画冒頭の18シーンワンカットの大長回しばかりが話題になったけど、そのほかにも魅力的なシーンが多々ある映画だ。


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