A DAY IN MY LIFE

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2002/04/30/Tue.
▲雨。
▲G.W.の谷間。1日目
▲藤沢市片瀬山に行くはずが、行けず。先週のヌード撮影の仕上がりをいただく。衝撃的(いろんな意味で)。


2002/04/29/Mon.
▲晴れ。
▲祭日。明日のことを考えるとユーウツ。遅れている仕事。追いつかず。


2002/04/28/Sun.
▲晴れ。
▲北新宿、下落合、目白。裏通りばかり。
▲池袋の古本屋で『アサヒカメラ別冊 木村伊兵衛読本』(1979年)を購入。木村伊兵衛のコンタクト(密着)を見ると、ポートレートスナップの場合、モードラ並のスピードでシャッターを切っている。木村のライカ遣いは「名人芸」だと言われているが、なるほど、そんな感じ。木村伊兵衛論が寄せられているが、出色は篠山紀信。
▲テレビを切って写真集を眺める。まずはホンマタカシの3冊。
『東京の子供』(リトル・モア)。ホンマタカシの子供の写真、誰が撮るよりも皮膚感覚が伝わってくる。宇宙人の一種として見ている感じというか。いや、宇宙人はホンマタカシなのか。
『ニュートーキョースタンダード』(ロッキング・オン)は雑誌「H」連載にファッション写真を加えた写真集。一見、とっちらかっているようだけれど、巧妙に計算されている。こういうなんでもあり的な写真がうまくまとまってしまうところが、ホンマタカシの強さではないだろーか。
『Stars and stripes New York December 26,2001−January 5,2002』(マガジンハウス)。なんだかよくわからない本。ホンマタカシが「9.11」後のニューヨークを年末年始に撮った。それがけの本。ホンマタカシの視点でニューヨークを見る楽しさはある。しかし、この本の成立自体が何か勘違いの産物のような気がする。ないよりはあった方がいい、ということだとしたら、なんか傲慢な感じ。
▲そこで、まったく関係ないのだが1967年12月の「カメラ毎日」。巻頭は先日亡くなったばかりの佐藤明さん『白夜』。北欧に旅して、白夜の様子を撮った写真。柳沢信さん『二つの町の対話』。萩と川崎という、歴史伝統VS.工業都市を対比したグラビア。少なくとも、写真雑誌を作る側が何を表現しようとしているかは明解だ。伝えようともしている。写真表現ってここ30年、35年でなんか進歩したのかなと素朴な疑問。


2002/04/27/Sat.
▲晴れ。
▲加藤昭『 鈴木宗男研究』(新潮社)を一気読み。いささか旬を過ぎた(?)感のある宗男ネタ。週刊誌連載は好評で「週刊新潮」は完売したということだが、そのおかげで、本書の内容はすでにマスコミ報道されていることばかりで、目新しい情報はない。現実の方が先に行ってしまったということなのかもしれないが、こうなってみると、逆に出版のタイミングが早すぎたのでは? と思ってしまう。せめて宗男騒動の後日談と、著者による鈴木宗男論(戦後政治の歴史の中での位置づけ、鈴木宗男の権力欲の本質とは? などなど)は欲しかったな。
▲面白かったのは「宗男は貧しい家庭に育ったことを強調しているが、じつはそんなに貧しくなかった」というくだり。宗男が生きようとした物語って、田中角栄的「今太閤」だったんだろうな。パチもんの角栄。田中眞紀子に成敗されても仕方ないか。
▲高田馬場南口の本屋で、岡本麻里『タイの屋台図鑑』(情報センター出版局)を買う。
▲これは、タイ好きにはおすすめ。タイに行くと、屋台で売っている料理、菓子、果物に目を奪われるが、さて、その蘊蓄を調べようと思うとなかなかいい本がない。ガイドブックに紹介されているものはごくわずかだし、紀行文のたぐいでも、適当な説明に終わっている。例外は前川健一の名著『タイの日常茶飯』(弘文堂)くらいだが、あの本はどちらかというと読み物。即物的な実用性では『タイの屋台図鑑』に一歩譲るだろう。写真に料理の名前(タイ語表記付き)、簡単な解説がついていて、この本を持ってタイ旅行に行くととても便利だろうと思う。


2002/04/26/Fri.
▲晴れ。
▲新宿ゴールデン街外れにある「ホテル石川」は廃業してから20年くらいたっているはずなのだが、いまはスタジオに改造されている。それも70年代後半のラブホテルの内装、調度品をそのままに、あるフロアーはブチ壊して廃墟にするなどの多目的スタジオに仕立ててある。
▲今日はそのスタジオで2チームが撮影する。1つは三浦憲司さんがヌード撮影。もう1つは中藤毅彦さんがモデル(女性)撮影。
▲面白かったのは、ホテルの天井が低く、ベッド、湯船も小さかったことだ。昔の日本人の体型に合わせているという感じ。回転ベッド、電飾、馬車を模したのか車輪のついたベッドなど、笑ってしまうような内装が見所。もっとも、どの部屋も狭いので、撮影するには制限がある。
▲このスタジオを経営しているPスタジオはこのほかに、廃業した医院をそのままスタジオにしたり、女の子の一人暮らしのワンルームマンションをしつらえておいたり、多目的(?)スタジオを多く持っている。面白い商売だ。


2002/04/25/Thu.
▲晴れ。
『「室内」40年』(文藝春秋)(文庫アリ)読了。面白かった。「室内」という雑誌は読んだことはないが、山本夏彦の語りのリズムが実に良くて、「室内」の話というよりも、広く、戦中・戦後の日本社会の移り変わりや、経営、編集企画などについて考えさせられながら読む。とくに「室内」40年の秘訣は、「全盛時代がなかったこと」とは重い言葉だ。
▲「季刊クラシックカメラ」デザイン打ち合わせ。若干、データを渡す。
▲Oさん、P嬢と四谷で牛タン。その後、新宿に移動し、いつものパターン。


2002/04/24/Wed.
▲晴れ。
▲写真家の金村修さんに取材。愛用のカメラ、マキナについてお話を伺う。金村さんは昨年『Spider’s strategy』(オシリス)ほか3冊の写真集を出し話題になった。テレビ番組「情熱大陸」にも登場している。金村さんがマキナを使いはじめたきっかけが、学校の先生だった写真家、故・鈴木清さんだったとか。ここしばらく鈴木さんの写真が気になっていたので、シンクロニシティを感じる。
▲で、さっそく鈴木さんの写真を見たいと思うのだが、もっとも手に入りやすいIPCの写真集『愚者の船』を探すのにも骨が折れる。こういうとき、オンラインショップは便利。本屋さんでさっそく注文することに。先日、コンビニ(ミニストップ)受け取りで同じIPCの『都の貌』(高梨豊写真集)を注文して、わりとスムーズに届いたので。というのは、IPCという会社は今はなく、アルファベータという会社が存続しているものの、どういうルートで本が流通しているかよくわからない。とりあえず、「本屋さん」経由なら買えるってことは確からしい。
▲柴田三雄事務所で写真をいただく。ニッコールSマウントレンズについてお話をうかがう。いずれも「季刊クラシックカメラ」用。
▲bk1で打ち合わせ。


2002/04/23/Tue.
▲晴れ。
▲(株)ニコンの小野元会長(現・相談役)の取材のため丸の内のニコン本社へ。着慣れないスーツを着てうろうろしていたら、タクシーのおじさんが声を掛けてくれ、目的地を教えてもらった。おのぼりさんと思われたのかも(笑)。
▲取材はつつがなく終了。「季刊クラシックカメラ」次号の巻頭インタビューです。
▲銀座でOさんと会う。カメラ話など。
■ヤスケン編集長日記 4月20日(土)晴


2002/04/22/Mon.
▲晴れ。
▲カメラマンのFさんにポートフォリオを見せてもらう。
▲新宿マップカメラでカメラ関連本を購入。なかでも『EXPOSURE S型ニコンで楽しむレンズの世界』(モデルワーゲン)は高価でなかなか手が出ないニッコールSマウントレンズの実写、レンズ構成図、解説が楽しめる。本そのものはアマチュアっぽい作りだし、実写の作例もバラつきがあるんだけど、本を作った人たちが楽しんでいる様子がいいと思う。Sレンズ(コンタックスCレンズも登場する)に興味がある人にはおすすめ。
▲新堂冬樹の新刊『溝鼠』(徳間書店)読了。暴力、エロス、憎しみ……人間のダークサイドを徹底して描く新堂冬樹の世界は刺激に満ちているが、それも繰り返されていくとだんだん「感じ」なくなってくる。登場する人物は人格破綻者と変態ばかり。悪趣味なところは楽しめるけど、『闇の貴族』(講談社ノベルス)などの初期作品の方がはるかに満足度が高い。エンターテインメントを量産していくことの難しさを考えさせられる。
■ヤスケン編集長日記 4月19日(金)晴


2002/04/21/Sun.
▲雨。
▲散髪。古本屋で『「室内」40年』(文藝春秋)(文庫アリ)と飯田鉄CD-ROM写真集を。
▲黒沢清監督の映画『大いなる幻影』(1999年)をビデオで。
▲2005年。花粉症。郵便局。強盗団。ゴダールっぽかったり、アントニオーニの『欲望』を思わせるシーンがあったり。しかし、総じて退屈。


2002/04/20/Sat.
▲曇り。
▲田中長徳さんに取材。この日はもう一件、田中長徳さんと山崎博さんとの対談も。山崎さんは昨年度第26回伊奈信男賞を受賞した。この日のテーマはニッコールレンズ。
■ヤスケン編集長日記 4月18日(木)曇
■ヤスケン編集長日記 4月16日(火)曇、強風


2002/04/19/Fri.
▲晴れ。
▲(株)ニコン大井町製作所にて光学技術者の佐藤治夫さん、大下孝一さんに取材。お二人は多忙な業務のかたわら、オールドレンズを緻密にリポートして話題のニッコール千夜一夜物語を執筆している。この日は赤城耕一さんを聞き手に、オールドニッコールレンズについての魅力を語っていただく。
▲松島庸『追われ者』(東洋経済新報社)読了。面白すぎる。ITベンチャー「クレイフィッシュ」を創業し、26歳で日米同時上場を果たした著者が自らの体験を赤裸々に語る。ITバブルに踊った怪しい面々のキャラクターに注目! 実名を挙げて元役員を攻撃するくだりなど、読みどころ満載。もちろん、光通信の重田社長も大活躍する。へたな小説よりも面白い。


2002/04/18/Thu.
▲晴れ。
▲歯医者。
▲奈良原一高さんのお宅にうかがい、ライカM7についてお話をうかがう。奈良原さんは画像データのバックアップを取っているところだった。ヴェテラン写真家の氏は新しいものに敏感で、自らマックで画像処理を行なっている。明快な論旨でM7についての感想をお話しいただいた。
▲毎日コミュニケーションズで打ち合わせ。しぜん、話題はM7のことに。
▲松田美智子『カプセル』(主婦と生活社)読了。新潟少女監禁事件の裁判を追ったルポ。事件ものに強い著者の本なので期待したのだが、内容は薄い。新聞、雑誌報道以上の情報はないという印象だ。ちょっとがっかり。


2002/04/17/Wed.
▲くもり、ときどき雨。
▲高梨豊さんにライカM7についての使用感をうかがう。空模様が怪しかったので、さっそく外でポートレートを撮らせてもらおうとお願いするが、高梨さんは自信たっぷりに「大丈夫」と言う。じっさい、お話をうかがってから外に出ると晴れている。高梨さんは天気男なんだそうだ。撮影を終えると、待っていたかのように雨が降ってきて、そのタイミングの良さに驚いた。写真家の才能は天気にも現れる?
▲取材原稿をお願いしたライターの神田憲行さんと中野を歩く。昼間の中野を歩くのは久しぶり。途中、ライバル誌のカメラマン氏と遭遇。
■ヤスケン編集長日記 4月15日(月)晴
■ヤスケン編集長日記 4月14日(日)晴


2002/04/16/Tue.
▲晴れ。
▲ライカM7を高梨豊さんに使ってもらい、そのインプレッションを聞くという企画。「ライカ同盟」の月例の「お稽古」(街歩きスナップ撮影)に持っていく。先月早稲田で今月は三田。早慶戦というコンセプトらしい(笑)。「頼霞流家元」こと高梨さんがM7をぶら下げた姿はさすがにさまになっている。赤瀬川原平さんも朝日新聞からの依頼でインプレッションを書き、今日の夕刊に掲載されるとか。
▲以前よく行っていた高田馬場の無国籍居酒屋kupukupuに久しぶりに行った。駅からちょっと遠いけど、料理はおいしいし、なんとなく落ち着く店なのだ。
▲映画『贅沢な骨』をビデオで。
『GO!』の行定勲監督作品。『ひまわり』に続いて麻生久美子が主演している。デートクラブ嬢のミヤコ(麻生久美子)はサキコ(つぐみ)という年下の女の子と暮らしている。働いていないサキコにミヤコは「あたしは不感症だから働くのは苦痛じゃないの。いい仕事なんかめったにないんだから無理して働くことないよ」と言う。でも、ミヤコはシンカイと名乗る客(永瀬正敏)相手に感じてしまう。そこから奇妙な三角関係がはじまるというお話。
▲ストーリーには共感できなかったけれど、登場人物たちの描き込み方が丁寧で最後まで退屈することなく観られた。行定マジック? 永瀬正敏の役はかなりおいしいです。
■ヤスケン編集長日記 4月9日(火)曇


2002/04/15/Mon.
▲晴れ。
▲昨年度の三木淳賞を受賞した写真家、藤沢真樹子さんにお会いした。「季刊クラシックカメラ」では毎号若手写真家のためにページを用意していて、今まで佐内正史さん、長島有里枝さんらに登場してもらっている。今回は藤沢さんの受賞作から数点ピックアップして掲載することに。彼女は一年間キューバに住み、ダンスを習いながら写真を撮っていた。作品を見せてもらうと、その国の生活に飛び込んだ人らしく、「友だち距離感」なスナップが捉えられていて、面白かった。
▲藤沢さんとコンタクトを取るにあたってAG(あぐ)MAGAZINE編集長の田畑則子さんにお世話になった。「AG」は旅人系? で面白そうな雑誌。今は休刊中とのことだが、HPは生きているのでご覧あれ。
▲六角弘『怪文書』(光文社新書)読了。元「週刊文春」記者が、スクープの裏側に跋扈する怪文書について書いた本。怪文書についてというよりも、怪文書がきっかけで表に出た事件の数々を書いた本。
▲怪文書を書いた人に迫ってくれるのかと思ったら、そういう方向ではなく、イトマン事件などの闇の紳士たちの相関関係に話がズレていく。これはこれで面白いけど。
▲新書市場に送れて参入した光文社新書。装幀はアラン・チャンっていうのがちょっと驚き。
■<ホラー>特集★伝奇エンターテインメントの精鋭たち
■新刊ホラー&幻想文学レビュー 南家礼子『センチメンタル・ゴースト・ペイン』
■ヤスケン編集長日記 4月12日(金)曇


2002/04/14/Sun.
▲晴れ。
▲東急池上線の電車に初めて乗った。洗足池で降りて、戸越銀座まで歩いてみる。途中で何軒か古本屋をのぞいて『ロバート・キャパ写真集』(文藝春秋)と以前から探していた大倉舜二写真集『エマ』(1971年・毎日新聞社)を買う。『エマ』を見つけたのには感激した。
▲『エマ』は当時、先鋭的だった写真雑誌「カメラ毎日」編集部の山岸章二が手がけた「PRIVATE」三部作の2作目。広告、ファッション写真の世界で売れっ子だった大倉舜二が、モデルの杉本エマとのプライベートな関係をモティーフに撮った傑作写真集。70年代初頭という時代を反映して、コンセプトの大枠に日米関係、資本主義社会で消費される写真(イメージ)といったアクチュアルなものが盛り込まれている。もっとも、そんな理屈を抜きにして、かっこいい写真集だ。
▲映画『ブラックホーク・ダウン』を新宿プラザで観る。臨場感たっぷりの戦闘シーンが見所。


2002/04/13/Sat.
▲晴れのちくもり。
▲ダルな一日。一応、がんばってみたのだが、がんばれず。
■ヤスケン編集長日記 4月11日(木)晴


2002/04/12/Fri.
▲晴れ。
▲余白みたいな一日?
■ヤスケン編集長日記 4月10日(水)曇


2002/04/11/Thu.
▲くもりのち雨。
▲匿名カメラマンCandid Photo氏とトーク。リトアニアの話を日本でしたのははじめてだ。ベトナムのこと、タイのことなども。あとはカメラの話。
▲井島ちずるの『恋ができない!!』(太田出版)を意外と面白く読んだのだが、そこに登場する「恋人いない歴=年齢」という女性を思わせる30歳女性に会った。恋の経験は芸能人に対する片想いのみ、という徹底ぶり。恋が出来ようと出来まいとどうでもいいとは思う。実際、ぼくのまわりにも「恋人いない歴=年齢」はいる(いた)ような気もするし。恋愛よりも面白いことがあればそれでいいんだろうな。
KAWADE夢ムック『岡崎京子』(河出書房新社)。昨年夏の「文藝」誌での特集を買い逃したので増補されたこちらを買ってみた。岡崎京子のインタビュー、雑誌に書いた雑文などが収められている。資料としての価値もあるから、ファンは一応買っておくべき本なんだろうと思う。だけど、同じお金を出すなら岡崎京子のマンガを買った方が満足がいく。岡崎京子の世界は、こういうふうに表現されると、なぜかすごく薄っぺらいものに感じられるのだ。しかし、吉本ばななのインタビューは面白かった。彼女は岡崎京子の傑作『リバーズ・エッジ』(宝島社)が嫌いなのだそうだ。その理由は……買うか、本屋で立ち読みしてみてください。
■ヤスケン編集長日記 4月9日(火)曇


2002/04/10/Wed.
▲晴れ。
▲取材で写真家の大倉舜二さんにお会いする。ライカM7を持参して第一印象をお聞きするというもの。ライカM7はライカが16年ぶりに出したライカM型の最新鋭機。といっても、その機能は現代のAFカメラとは比べものにならないくらいシンプルなものだ。気になる大倉さんの第一印象は「M6よりいい!」とのこと。細かいディテールについていろいろと感想を聞いた。
▲映画『化石の森』(1973年)をビデオで。
▲石原慎太郎原作の映画化。監督は篠田正浩。大学の医局に勤める青年医師(萩原健一)が高校の同級生だった女(二宮さよ子)と再会し、関係を持つ。女は愛人(田中明夫)との関係に辟易していて、そのことを知った青年はある薬品を使ってその愛人を殺す計画を立てる……。ドストエフスキーの『罪と罰』を意識し、寺山修司ふうのマザ・コンを注入した異色サスペンス。
▲篠田正浩監督にはアバンギャルドへの傾倒が認められ、場違いなところでその趣味が顔を出すことがあるが、この映画でも美術を栗津潔が担当し、一部のシーンで舞台美術風のセットを組んでいる。杉村春子(青年の母親役)と二宮さよ子という文芸座師弟コンビの気合いの入った演技と相まって奇妙な迫力がある。
▲70年代にはショーケン主演の文芸映画が何本か作られたが、その中でも異色中の異色ではないか? もっとも、そのほかの文芸映画も神代辰巳の『青春の蹉跌』、『アフリカの光』だから、どれもこれも一風変わった映画ではあるのだが(笑)。
■<ホラー>『少年トレチア』書評と津原泰水の世界
■ヤスケン編集長日記 4月6日〜7日


2002/04/09/Tue.
▲晴れのち雨。
▲ディテールに凝りまくった占いが楽しい運景の岡本ノオトさんほかと打ち合わせ。ちょっと楽しい企画。
▲サラリーマンだったころの先輩で、今も何かと教えてもらうことが多いSさんと会う。ごぶさたしていたので近況報告など。
■『図書新聞』天才ヤスケンの「今週のおススメ」より 第64回★久世光彦『あべこべ』


2002/04/08/Mon.
▲晴れ。
▲キューバの撮影旅行から帰ってきた写真家の中藤毅彦さんから彼の地の事情など聞く。撮影済みカラーポジフィルム26本を現像に回す。ほかにモノクロを100本自家現像するとか。
▲一方、パリから帰ってきたのは田中長徳さん。次号の打ち合わせなど。
▲安原顯さん、中条省平さんとbk1ブックサイト<ヤスケン>特別企画「しりあがり寿の世界」について打ち合わせ。中条先生のしりあがり寿論+しりあがり寿の世界とリンクする本をセレクトしていただくことに。
■ヤスケン編集長日記 4月6日(土)晴、夜には小雨


2002/04/07/Sun.
▲雨のち晴れ。それから小雨。
▲小平の知人宅を訪れ、生まれたばかりの赤ちゃんとカメラを見せてもらう。
▲映画『友へ チング』を新宿歌舞伎町で。
▲港町釜山が舞台になっている韓国映画。4人の幼なじみの少年時代から青年時代までの軌跡が描かれる。そのうち二人は敵対するヤクザ組織に入り……というストーリー。監督・脚本をつとめたクァク・キョンテクの体験を元にしているという。
▲このところ調子のいい韓国映画だが、この映画でも撮影、証明などの技術パートの充実ぶり、俳優たちの演技のナチュラルさなど、見事というほかはない。ストーリーがややおセンチなことと、編年体の構成にややまどろっこしさを覚えたけれど、画面の隅々まで気を配った力作である。とりわけ、物語後半の盛り上げ方は見事。満足した。
■ヤスケン編集長日記 4月5日(金)晴


2002/04/06/Sat.
▲晴れ。夜、雨
『少年トレチア』(講談社)読了。後半、ガラっと雰囲気が変わり、クライマックスへ。一粒で二度おいしい。
▲アカデミー賞を受賞した映画『ビューティフル・マインド』を見に行く。
▲精神分裂病と闘いつつ、ノーベル賞を受賞した数学者の物語。「感動実話」系の話は嫌いではないが、この映画、あまりに芸がなさすぎて唖然とする。演出不在というか、エピソードを串刺しにしただけ。ラッセル・クロウの熱演も空回り。見所はクロウの演技と精神分裂病患者の「妄想」をディテールまで再現していることかな? しかしその再現の仕方に新しい表現があったかというと、これまでの紋切り型の「妄想」と大差ない。かなりがっかりさせられた。
■ヤスケン編集長日記 4月3日〜4日


2002/04/05/Fri.
▲晴れ。
▲あちこち電話をかけたり、打ち合わせとか。


2002/04/04/Thu.
▲晴れ。強風。
『少年トレチア』(講談社)に夢中。
▲【アルカリ】再スタート2号目。お題は『NHKにようこそ!』(角川書店)。【アルカリ】読者の方からメールを数通いただく。できるだけこのペースで、と思います。ハイ。
▲新宿二丁目の雑居ビル(辰巳出版の前)というコアな場所にあるPhotographer's Galleryへ。元田敬三さんの写真展『SNAP』。いろんな「種族」たちが新宿を跋扈していると実感。モノクロ、大伸ばしのストロングスタイル。4月7日(日)まで。
▲低調な飲み会。その後、「年齢」や「就職」や「ブラジル」の話など。
■ヤスケン編集長日記 4月2日(火)快晴


2002/04/03/Wed.
▲晴れ。
▲本と映画のメルマガ【アルカリ】再スタート1号目。お題は映画『ふたりの人魚』。通算号数、間違えた。来週、欠番を充当しよう。ところで【アルカリ】はホームで登録できます(まぐまぐ)。
■ヤスケン編集長日記 4月1日(月)快晴


2002/04/02/Tue.
▲晴れ。
▲いよいよ「クラカメ」次号が本格スタート……。
▲経営危機が伝えられる某社の社員と久々に会い、社内事情、人間模様などを聞く。ぼくはその会社とは取引がないから、ただ好奇心で話を聞いただけだ。
▲驚いたのは、会社が沈みかかっている状況というのは、社内にいると案外気付かないものらしいということ。取引先への支払が遅れてるって、それ、もう終わってるよ……。それでも、社員は辞めないんだから、会社が沈むまで待っているのかなあ。
▲話を聞かせてくれた人には、待ってないで早く辞めた方がいいよ、と言っておく。自分で動いた方がいいでしょ、やっぱ。
▲沢木耕太郎の新刊『イルカと墜落』(文藝春秋)を読了。アマゾンの奥地で飛行機が墜落した。大変だった。でも、自分は死ぬことが怖くないらしい、というお話。この本の面白さ、ぼくにはぜんぜんわからなかった。誰か教えてほしい。
■ヤスケン編集長日記 3月30日(金)晴
■ヤスケン編集長日記 3月31日(金)晴、夜、雷をともなう突然の豪雨
■『図書新聞』天才ヤスケンの「今週のおススメ」より 第63回★芥川喜好『「名画再読」美術館』


2002/04/01/Mon.
▲晴れ。
▲不調。何も考える気にならない。いつもの会議と打ち合わせ。
▲気まぐれに開高健の初期短篇集『パニック・裸の王様』(新潮文庫)。「パニック」はねずみの大量発生に立ち向かう青年官僚の話だが、役所というところは今も昔も……。エンターテインメント性豊かな短篇。
▲昨年度の映画賞を総なめした『GO!』で注目されている行定勲監督の映画『ひまわり』をビデオで。
▲釣り船の事故で小学校の時の同級生、朋美(麻生久美子)が行方不明になった。死の数日前に彼女から留守番電話にメッセージをもらっていた輝明(袴田吉彦)は旧友を誘って葬儀に出るが……。
▲麻生久美子は影の薄い感じを出すのが上手い。映画『荒ぶる魂たち』の河村彩が出ているのだが、出番はあまりなかった。俳優たちの競演が見物。しかし、ストーリーには首をひねってしまう。うーん。


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