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2002/01/31/Thu.
▲晴れ。
▲午前中、新宿。「季刊クラシックカメラ」の取材。写真家の飯田鉄さんにお話をうかがう。久々にお会いした飯田さん。近著『レンズ汎神論』(日本カメラ社)は飯田レンズ学の集大成的な仕事。
▲原稿書き、原稿整理を波状的に。「季刊クラシックカメラ」のスケジュールが詰まってきた。


2002/01/30/Wed.
▲晴れ。
▲午前中、光が丘へ。「季刊クラシックカメラ」の取材。元朝日新聞社のカメラマン長谷忠彦さんにお話をうかがう。
▲午後、グラフィックデザイナー鈴木一誌さんの事務所へ。銀色ドームの凝った建物。吹き抜けの壁一面に本が並ぶ。かっこいい。高梨豊さんの本の打ち合わせ。
▲「季刊クラシックカメラ」編集部。中藤毅彦さんが写真と原稿を持ってきてくれる。いい感じ。→編集部一同で飲み。写真の話など。
■著者より一言 中山市朗/木原浩勝『捜聖記』


2002/01/29/Tue.
▲晴れ。
▲「高梨豊×田中長徳」対談を神保町で。ライカブームの立て役者として知られ、精力的にカメラ、写真について文章を書いているチョートクさんは写真家・高梨豊のファンでもある。高梨さんの「東京人」(「カメラ毎日」1966年1月号に36ページ一挙掲載)を見て衝撃を受けたという。当時チョートクさんは高校生だった。
▲高梨豊対談シリーズの最終回となる今回は、高梨さんをめぐるライカ、カメラについての伝説の検証と、写真家論が主なテーマ。シブい対談になった。
▲西井一夫の遺著『写真編集者』(窓社)は山岸章二の評伝ではなく、山岸章二をめぐる写真論の集大成ということのようだ。巻末には浅井慎平が山岸の編集者としての横暴を厳しく指弾した「公開書簡・拝啓 山岸章二殿」(「話の特集」1972年8月号)も収録している。ただし、山岸が浅井の批判に応えた「拝復 浅井慎平殿」(「話の特集」1972年9月号)は収録されていないのは残念。
■<ミステリ>映画『ヴィドック』もうご覧になりましたか?
■<ホラー>東雅夫編『国枝史郎ベスト・セレクション』


2002/01/28/Mon.
▲晴れ。
▲午前中定例会議。
▲午後、写真家の高梨豊さんへのインタビュー。これは「季刊クラシックカメラ」のための取材。聞きたいことは一通り、現在制作中の高梨さんの本のために聞いてしまっているので、わりとまったりとした時間を過ごしたりする。
▲その席上で話題にのぼった『写真編集者』(窓社)は「カメラ毎日」編集長として辣腕をふるった故・山岸章二の評伝。高梨豊さんの「東京人」を一挙36ページ掲載したのも山岸章二である(当時は一編集部員にすぎなかった)。著者は「カメラ毎日」最後の編集長だった西井一夫。つい先頃亡くなったばかり。遺作となった。うちに帰ったらちょうどbk1から届いていた。
▲車谷長吉『金輪際』(文藝春秋)読了。こちらは短篇集。やはり面白い。芥川賞を落選した車谷が、選考委員の名を書いた人形を作って呪うくだりは圧巻。文学の悪鬼。もちろん、車谷の肩を持ちたい。
▲梶山季之『せどり男爵数奇譚』(ちくま文庫)読了。古書の世界を描いた情報小説として古典的な評価を得ている一冊。著者の梶山季之は元祖トップ屋と言われ、数々のスクープをものした。小説家としても『族譜』、『赤いダイヤ』(集英社文庫)などで知られるが、『せどり男爵数奇譚』には時代とともに古びない魅力がある。その理由はモティーフが古書だかだろうか? 本の世界に興味がある人はとりあえず読んでおきたい一冊。読みやすく面白い。
▲映画『私が棄てた女』(69 日活)。寡作で知られる浦山桐郎監督の代表作。青春の尻尾をひきずった「挫折派」サラリーマンの心象風景を昔棄てた女の思い出と絡めて描く。なんとも複雑な気分にさせられる重たい映画。
■<ヤスケン>新着書評 『ヴェネツィアの薔薇』
■<ホラー>東雅夫のイチオシ新着棚 君よ知るや『妖魔詩話』 ――妖怪愛好家のバイブル、完全復刻版で登場!


2002/01/27/Sun.
▲雨のち晴れ、くもりときどき雨。
▲北新宿を散歩。取り壊し寸前のアパートがいくつもあり、写真を撮っていたら、「ここも撮りなさい。わたしも撮ったよ」とおばさんが教えてくれる。有り難う。
▲映画『RAIN レイン』を新宿シネマミラノで。
▲香港出身の兄弟監督(オキサイド&ダニー・パン)が撮ったタイ映画。予告編の予備知識しかなかく、たいして期待をしていなかったせいかもしれないが楽しめた。
▲耳が聞こえない殺し屋が薬局の女の子と知り合って、人間らしい感情を知るが、仲間への復讐のために死地へ向かうという古典的なストーリー。MTVからの影響が濃い、香港ニューウェーブ映画風の凝った映像がなかなかいい。若い俳優たちの健闘ぶりも光る。
▲個人的に面白かったのは、一貫して無国籍風に作られたこの映画に残っている「タイの尻尾」だ。詳しくは【アルカリ】で書いてみよう。
▲NHK「課外授業 ようこそ先生」。アラーキーこと写真家荒木経惟が登場。テーマは「イイ顔を撮ろう」。母校の小学生にポラロイドやデジカメを持たせ、イイ顔を撮るためのコミュニケーションを伝授する。面白かった。
■<ヤスケン>新着書評 山本昌代『手紙』
■<ヤスケン>編集長日記


2002/01/26/Sat.
▲晴れ。
▲中野駅、長野駅の近くをぶらぶらと歩いてから、新幹線で東京へ。さ、寒い。
▲帰りの新幹線のなかで『赤目四十八瀧心中未遂』(文春文庫)を読む。大阪釜ヶ崎に流れ着いた「大学出の」主人公は、得体の知れない住人ばかりの安アパートの一室で日がな焼き鳥の串に鳥の肉や臓物を刺している。1本3円の労賃。パンパン上がりの焼鳥屋のおばさん、階下に住む彫り師とその愛人の在日韓国人の美女……どうしようもなく暗いけど、それがいまの時代には新鮮だ。車谷長吉という人の独得の言い回し、文体もクセになる。いまどき文学の毒をみなぎらせた傑作。
▲帰って、たまっていた仕事を端から。ふう。
▲映画『赤ずきんちゃん気をつけて』。森本レオの奥さん森和代がいい感じ。しかし、映画は……いま見てもピンとこないということなんだろうな。共感できず。立木義浩、加納典明の写真が作中、挿入される。東宝の映画はどうも堅苦しくてイカン。
■「文藝」誌連載中から話題騒然! D(ディー)『キぐるみ』ついに刊行!
■<ヤスケン>『野口久光 ヨーロッパ名画座』と淀川長治ブックリスト
■<ミステリ>講談社ノベルス創刊20周年記念 封印された「密室」ミステリ
■<ホラー>石堂藍の幻想文学番外地第16回【16】ジャン・ボテロ『最古の宗教』、ドーラ&アーウィン・パノフスキー『パンドラの匣』


2002/01/25/Fri.
▲晴れ。
コシナ取材。朝8時30分出発。中野周辺に分散している工場をまわって見学、取材。工場取材は就職情報会社に勤めていたときにも何度か経験があるし、カメラメーカーの工場取材も初めてではないが、ここまでじっくり見せていただいたのははじめて。とくにレンズができるまでを間近で見たのははじめてだったので感激した。
▲夜、東京に帰る予定だったのだが、結局もう1泊することに。コシナの小林社長からいろいろと興味深いお話をじっくりと聞くことが出来、大満足。カメラファンの方は、次号の巻頭インタビューをお楽しみに!


2002/01/24/Thu.
▲晴れ。
▲地方取材。新幹線で長野、そこから長野電鉄に乗り換えて中野へ。カメラ、レンズメーカーコシナの工場取材が目的。コシナは趣味性の高いマニュアルカメラ、レンズが人気を呼んでいるフォクトレンダーブランドの開発、生産を行っている。
▲もともとフォクトレンダーは、現存する光学系ブランドとしては世界最長の歴史を持つドイツの名門。ライカ、ツァイスに匹敵するビッグネームである。しかし時代の趨勢と共にブランドだけが残り、実体はすでに消えかかっていた。そこにOEMなどで実力を蓄えてきたコシナがブランド使用権の契約をし「新生」フォクトレンダーが誕生したのである。
▲「趣味性が高い」というのは、カメラ、レンズのルックスにこだわり、仕上げの美しさに力を入れていること。また、いま現在主流の「AF」カメラではなく、あえて不便なマニュアルフォーカスであることだ。プロジェクトの先導役を務める社長自身がライカ、ハッセルブラッドなどのマニュアル高級カメラの大ファンだということも、そのこだわりに拍車をかけている。またフォクトレンダーブランドの人気の秘密は、ライカと同じレンズが共有できて、なおかつ安いからだ。その理由は……工場見学で明らかになるかも、だ。そのあたりは3月15日発売の「季刊 クラシックカメラ」でレポートしたいと思う。
▲取材は明日なので、今夜は中野の街で飲んだ。ちょっと飲み過ぎた……かも。


2002/01/23/Wed.
▲晴れ。メチャ天気ええ。
毎日コミュニケーションズで制作中の「高梨豊本」のための写真選び。担当のTさんと写真を床に並べて呻吟。とりあえず1案。もう1,2案くらいつくるつもりでプリントを預かる。地下鉄の中に忘れやしないか、ハラハラ。
▲橋幸夫、舟木一夫、西郷輝彦。この3人が元祖「御三家」である。この3人のヒット曲をモティーフに、本人も出演する歌謡映画というジャンルがあった。そのジャンルについて社会学的なアプローチから考察を加えた『御三家歌謡映画の黄金時代』(平凡社新書)を読んだ。
▲本のなかで取り上げられている映画を、ぼくは1本も見たことがない。上記3人の映画で見たことがあるのは西郷輝彦の『星のフラメンコ』くらいだろうか。歌謡映画というジャンル自体が、映画が斜陽期に入りかけたときに生まれた泡沫映画であり、のちにテレビに吸収されていくことになるキワものとしかとらえられていないせいもあって、ないがしろにされている。
▲著者は大学の先生。高度経済成長期の日本と日本人への関心をとっかかりに、プロの映画評論家がハナもひっかけない御三家の歌謡映画について詳述している。映画評論として読むにはものたりないが、高度経済成長期に関心があるぼくにとっては、失われたジャンル映画をとりあげているだけで面白かった。
■<ヤスケン>『日本人名大辞典』(講談社)と人名辞典ブックリスト
■新刊 ダグラス・クープランド『神は日本を憎んでる God Hates Japan』


2002/01/22/Tue.
▲晴れ。
▲なんで今日はこんなに晴れてんの!
▲ハービー・山口さんと打ち合わせ。寺山修司さんとの邂逅、ロンドン時代のミュージシャンたちとの交流など、興味深い話をうかがう。贅沢な時間。
▲精神科医の町沢静夫さん、町沢さんの患者さんにお話を聞く。
▲元「噂の真相」の取材記者、西岡研介の『「噂の真相」トップ屋稼業』(講談社)を読む。面白い。著者は地方紙の雄、神戸新聞社で記者修行を積んだのち、「噂の真相」へ転職。則定スキャンダル、森喜朗元首相の買春疑惑などのスクープをモノした。現在は「週刊文春」の取材記者である。反骨精神に富んだプロ記者のド根性。元気が出る本だ。
■新刊ミステリ・レビュー 五條瑛『スノウ・グッピー』(集英社)/船戸与一『緋色の時代』(小学館)
船戸与一『緋色の時代』はいま上巻まで読んだところ。快調。五條瑛は注目している作家です。
■読みのがしていませんか?  このミス第1位! 『神は銃弾』
■新刊ホラー&幻想文学レビュー 内海隆一郎『魚の声』
■第4回大藪春彦賞 受賞作は奥田英朗さんの『邪魔』


2002/01/21/Mon.
▲雨。
▲午前中bk1ブックサイト「ヤスケン」に単純なミスがあり……(汗)。修正してもらう。
▲モデル撮影の日だったのだが、あいにくの天気。それでも撮影。カメラマンの竹中さん、ずぶ濡れに。なんで今日だけ突然、雨??
▲屋台村→正一合。ここはどこの国? いつの時代?
▲永沢光雄『すべて世は事もなし』(筑摩書房)読了。全18篇からなる短篇集。『AV女優』(文春文庫)を読んで以来、ファンになった。『すべて世は事もなし』(筑摩書房)は著者にとって処女小説集となる。永沢はノンフィクション作家たちの宴会で「みなさん、小説書きたくないんですか?」と発言して顰蹙を買ったと自身のエッセイで書いていた。肝心の出来の方は、荒削りという印象だけど、18篇という分量と、永沢節とも言える独得な味わいが生きていて十分に満足した。


2002/01/20/Sun.
▲晴れ。
bk1に行ったり。いつもギリギリになってしまう……。深夜、なんとか仕込み終わって仮眠。 ブックサイト「ヤスケン」オープン
旧「文芸(小説)」サイトをノンジャンルのブックガイド&書店サイトにリニューアルしました。オンライン書店bk1の「セレクトショップ」です。先行するライバルブックス安藤に追いつけ追いこせでがんばります。
■ヤスケン×マツケン新春対談 松本賢吾『永遠の復讐』を語る
師弟コンビの新春対談。本の話題も楽しめます。


2002/01/19/sat.
▲晴れ。
▲月曜日にオープンするブックサイト「ヤスケン」の準備。焦る。
▲下田治美『精神科医はいらない』(角川書店)。これはたいへんな衝撃作。自身も鬱病持ちの著者が、精神科医を徹底批判。精神科医がいかに無能で、偉そうで、医療・薬事知識がなく、患者に対して適切な治療を行っていないかを、わかりやすく、かつ激烈な文章で綴る。おすすめ。
▲新大久保から歌舞伎町にかけて、たくさんの韓国朝鮮料理店がある。行ききれないくらいの数があるのだが、今日は入ったことのない店に行ってみた。じゃがいも鍋。やっぱり3人以上いた方がこの手の料理屋では満足度が高い。満足。
▲深夜、やっとインタビュー原稿がアップし、あわてて確認のファックスを流す。安原さんと原稿のやりとりなど。
■第17回坪田譲治文学賞決定!
受賞作は川上健一さんの『翼はいつまでも』。「本の雑誌」ベスト1にも選ばれた。高校生と野球とビートルズ。面白そうです。


2002/01/18/Fri.
▲晴れ。
▲「高梨豊×南伸坊」対談を神保町で。高梨さんと南さんは、南さんが「ガロ」の編集者だったころからのおつきあい。当時、「太陽」の編集者だった嵐山光三郎さんを介して知り合ったのだという。
▲多才な南さんだが、写真に関しては「写真時代」での連載をまとめた『笑う写真』(ちくま文庫)という大傑作がある。
▲ぼくたちが当たり前に感じている「紋切り型の写真」を突き崩して見せ、写真をして写真をわからしむるという見事な写真論だ。で、とにかく笑える。
▲この日の対談も、南さんの「歴史上の本人」シリーズ(南さん自身が歴史上の人物に扮し、実際の場所を訪ねて写真に写るというもの)のエピソードなど愉快な話がたくさん出た。


2002/01/17/Tue.
▲くもりちょっと雨。
▲「高梨豊×荒木経惟」対談を新宿で。荒木さんとお会いするのは2度目。bk1オープン時に永江朗さんにインタビューしていただいた時以来だ。
▲荒木さんと高梨さんは同時代の写真家(高梨さんは昭和10年生まれ。荒木さんは昭和15年生まれ)。荒木さんは「カメラ毎日」1966(昭和41)年1月号に一挙36ページ掲載された高梨さんの「東京人」に衝撃を受けたという。高梨さんは荒木さんの先行者として存在したのだ。高梨さんにとっては荒木さんの「ゼロックス写真帖」が印象的で、さらに「センチメンタルな旅」(私家版)によって荒木さんの天才を感じたという。
▲二人の写真に対する取り組み方は対極とも言えるものだが、写真にこだわり、モノにしようと格闘してきた歴史には共通点もある。作家のあり方というのは常に個別のものだけど、ある時代を共有したことが二人の間にあるんだなと思った。


2002/01/16/Wed.
▲雨のち晴れ。
第126回芥川賞・直木賞が決まった。ぼくの予想は外れました(笑)。乙川優三郎と山本一力のどちらかは、と思っていたけど、乙川有利と思っていた。両賞とも文芸関係の賞としては最高峰だから、とりあえず、受賞作は読むでしょうという感じですか。
■刊ミステリ・レビュー
芦辺拓『グラン・ギニョール城』/香住泰『錯覚都市』



2002/01/15/Tue.
▲晴れ。
▲映画『女番長 野良猫ロック』(1970)をビデオで。
▲ホリプロ製作。和田アキ子主演の女番長映画であり、「野良猫ロック」シリーズ第1作。
▲バイカーのアッコ(和田アキ子)が新宿にぶらりと現れて、メイ(梶芽衣子)率いるスケバンと右翼との戦いに巻き込まれるというお話。高層ビル建設途中の新宿西口の地下街をバイクとバギーでカーチェイスしたり、井上陽水(当時アンドレ・カンドレ)が歌を披露したりといったところが見所か。それと70年代テイストでおなかいっぱいになるファッション。のちに2枚目に転ずる藤竜也の悪役ぶり(キチガイぶり)もイイ味。古き良き日活の影を引きずる和田浩治のダメっぷりが悲哀を感じさせる。アクション派監督、長谷部安春の演出は超クール。
■『図書新聞』天才ヤスケンの「今週のおススメ」より第56回★辺見庸『単独発言』
■新連載! 東雅夫のイチオシ新着棚 『アラビアの夜の種族』ほか


2002/01/14/Mon.
▲晴れ。
▲成人の日。成人式かあ、たいへんだなあ(他人事)。
▲ブッシュ米大統領がプリッツェルをノドに詰まらせて失神。マジニュースだけど、見て爆笑。いかにもブッシュ的エピソード。最高。
▲仕事。もうほんとにそれだけ。
▲映画『ヒポクラテスたち』(1980)をビデオで。
▲出てくる人(古尾谷雅人、伊藤蘭、内藤剛志そのほか)がみんな若い!
▲高校生くらいの時に一度テレビで見ているはずなのだが、そのときの方が鮮烈な印象だったな……。京都の医大生の青春グラフィティー。学生運動の影も。非デオドラント的青春白書。濃い。
■新刊ホラー&幻想文学レビュー  粕谷知世『クロニカ』
■新刊ラッシュ! 柴田よしきブックフェア


2002/01/13/Sun.
▲晴れ。
▲映画『瀬降り物語』(1985)をビデオで。
▲三角寛のサンカ小説の愛読者だった中島貞夫が長年温めていた企画をついに映画化した意欲作。
▲アヌ(太陽)さんを信仰し、ハタムラ(掟)に従って生活する山の民、サンカを主人公にした珍しい映画だ。ヤゾー(親分)を萩原健一が熱演している。物語としてはやや散漫な印象だが、サンカの暮らしを描いているというだけで興味深い。
▲Iさん宅できりたんぽ鍋をご馳走になる。話題は恋バナから世界同時多発テロまで。


2002/01/12/Sat.
▲晴れ。
▲二日酔い。
▲TANIさん、愛子ちゃんと新宿で昼食。
▲アイディア・カウンセリング・センターの新年会にお邪魔する。主宰の浮世満理子先生とスタッフの方々、、精神科医の町沢静夫先生、「セラピスト」誌(BABジャパン)編集部のM嬢、先日取材させていただいたTさんなどにぎやかな会だった。


2002/01/11/Fri.
▲晴れ。
▲安原顯さんのお宅で新年会。酔っぱらってしまった……デス。


2002/01/10/Thu.
▲晴れ。
▲細々とした仕事など。
▲写真家の高梨豊さんとアートディレクターの鈴木八朗さんの対談。お二人は電通のアートディレクターとして70年代のゼロックスや国鉄の「ディスカバー・ジャパン」キャンペーンなどで活躍した。73年には1年間、鈴木さんのデザイン、高梨さんの写真で「アサヒカメラ」の表紙を飾った。
▲鈴木さんはその後、アップルコンピュータ日本上陸などの大型キャンペーンを手がけ、独立後は長野オリンピック開会式ポスターなどの広告の仕事以外に、母校芸大で講師を務めてもいる。今日の対談では、70年代の広告と写真の関係、高梨さんとの仕事などについてうかがった。


2002/01/09/Wed.
▲晴れ。
▲手応えのない1日。
■第126回芥川賞・直木賞候補作発表
選考会は16日(水)。直木賞は乙川優三郎あたりが有力なのかな。芥川賞は岡崎祥久?
■新刊ミステリ・レビュー 直木賞候補作『国境』/CWA最優秀新人賞『アースクエイク・バード』
直木賞候補にあがっている黒川博行の『国境』と、日本を舞台にした英国人若手作家による長篇ミステリ『アースクエイク・バード』。おすすめです。


2002/01/08/Tue.
▲晴れ。
▲年末に読んで日記に書き忘れていた本がもう一冊。bk1で本のセレクトショップブックス安藤を展開している安藤哲也『本屋はサイコー』(新潮OH!文庫)。不景気、不景気とダルな気分が蔓延している昨今だけど、安藤さんのこの本を読むと元気が出ます。本屋さんになりたいと一瞬でも思ったことのある人はもちろん、ビジネスになんとなく息詰まってる人にもヒントになると思う。安藤さんは根津の往来堂という小書店を通も唸る品揃えで成功させた「カリスマ」店長だった人だ。
▲映画『穴』(1957年・大映)をビデオで。
▲市川崑監督のクライム・コメディ。警官汚職の暴露記事を書いて週刊誌の売り上げに大いに貢献した記者、北長子(京マチ子)はそのお手柄が元で雑誌社をクビになる。強欲な友人(北林谷栄)にたきつけられた長子は、別の雑誌社に「一ヶ月間失踪する」というルポ記事の企画を持ち込む。社長は長子の失踪に懸賞金を付けて雑誌の売り上げを伸ばそうともくろむ。ところが、長子が失踪する1ヶ月間のあいだに、長子になりすましたニセモノを使って銀行から金を盗み出そうとする連中が現れて……。
▲才人、市川崑らしいハイ・テンポのドラマが楽しめる。石原慎太郎現都知事が若手作家の役で登場し、ジャズバンドをバックに得意のノドを披露(笑)、「写真屋」役に本職の早田雄二が扮するなどの楽屋オチも楽しい。京マチ子の「変装」の鮮やかさも見所。
■『鏡の中は日曜日』と殊能将之ブックフェア
殊能将之の新刊レビューと既刊作品の紹介。ミステリー好きの人は必読です。


2002/01/07/Mon.
▲晴れ。
bk1会議。
▲新年の挨拶とかアポ取りとか。みるみる予定が埋まっていく。1月は忙しい。
▲お正月に読んだ小説は松本賢吾最新作『永遠の復讐』(双葉社)。大好きな墓掘り人探偵、原島恭介シリーズだ。bk1の書誌データができているので、【アルカリ】に書く。今回の原島は「女難」。第1作目のヒロイン、テンコとはまた違ったアダルトなヒロインとの交流に味わいがある。
▲いま読んでいるのはダイエル・キイスのノンフィクション『24人のビリー・ミリガン 上』(早川書房 ダニエル・キイス文庫)。キイスには『五番目のサリー』(上)(下)というフィクションもある。サリーは女性だが、ビリー・ミリガンは男性。ミリガンは多重人格(解離性同一性障害)を理由に、強盗レイプ事件を「無罪」になった人物。その真贋をめぐって全米が揺れた。
■『図書新聞』天才ヤスケンの「今週のおススメ」より 第55回★高橋源一郎『ゴヂラ』
高橋源一郎の新刊は時空を超えたナンセンス・コントの数々。
■新刊ミステリ・レビュー 恩田陸『黒と茶の幻想』/倉阪鬼一郎『十三の黒い椅子』
人気作家の新刊2冊。もう読みましたか?
■新刊ホラー&幻想文学レビュー 三浦しをん『白蛇島』
注目の若手作家の新刊はジュブナイル感覚もありの「ダーク・ファンタジー」。


2002/01/06/Sun.
▲晴れ。
▲起き抜けのままちょっと近所へと思い、外に出た。いつの間にか歌舞伎町まで歩いてきてしまうが、あまり違和感はない。しかし、靖国通りを渡ることに躊躇を覚えた。つまり、歌舞伎町までは「近所」だけど、靖国通りの向こう側(新宿東口)はぼくの生活圏のなかで「街」なのだ。うーん、はじめて気付いたな。
▲結局、靖国通りを渡り、山本コーヒー店でエスプレッソ用のコーヒー豆を買う。そうそう。エスプレッソ・マシーンをいただいたので、そのための買い物をしようと外に出たのだった。
▲紀伊国屋書店に寄ってから帰宅。
▲やきそばを食べながらなんとなく録画してあった『救命病棟24時 スペシャル』を見てしまう。押尾学のライフル魔、妙に説得力がある。しかし、サスペンスと救命医療をセットで長篇ドラマにするのはちょっと無理があったような気もする。PTSDのフラッシュバックが怪談風の演出というのもちょっと……。
▲小林旭の自伝『さすらい』(新潮社)を読む。中身は薄い。「新事実」も特にはなく、本としては「薄い」。裕次郎よりも旭が好きだったが、それは自分のなかの田舎性ゆえだったのかと目からウロコ。収穫はそれくらいか。トホホ。
▲映画『修羅雪姫』を見に行く。
▲ドニー・イェンがアクション監督をつとめ、香港のスタントチームが参加しているだけあって、アクションシーンは楽しめた。しかし人間ドラマが薄っぺらすぎてがっかり。『バトル・ロワイアル』風のパラレルワールド設定を生かし切れず。せめて「なぜ殺すのか」だけはつきつめてほしかった。ラストは明らかに続編を意識している。次作に期待したい。


2002/01/05/Sat.
▲晴れ。
▲今さらながら森達也の『スプーン』(飛鳥新社)。めっぽう面白い。超能力者たちの日常生活をテーマにしたノンフィクション。信じるか信じないか、そのスタンスを決めかねるまま彼らとつきあう著者。その距離感が絶妙。取材を拒否した大槻教授についてのかなり辛辣な批判を含んでいるが、当の大槻教授はどこかで反論したのだろうか?
▲I氏と新年会を「三国志」で。羊肉。そのあと「かぼちゃ」へ。


2002/01/04/Fri.
▲晴れ。
▲映画『スパイ・ゲーム』。『エナミー・オブ・アメリカ』に続くトニー・スコット監督の「反米」的社会派映画。
▲予告篇などを見る限り、レッドフォードがブラピを助けるために孤軍奮闘する物語だと思っていた。たしかに、言葉の意味としてはその通りなのだが、実態は、レッドフォードとブラピのCIA師弟コンビがパックス・アメリカーナを維持するために悪どい工作を続けてきたことを回顧する場面が中心。娯楽映画の文法としてはやや回りくどい。
▲とはいえ、個人的には好感を持った。アメリカ人の思い上がりが描かれている映画だから。トニー・スコットは賢兄愚弟の「弟」かと思っていたが、最近ワンパターン気味の兄(リドリー)よりも腕を上げている。
▲原田眞人の出世作、映画『カミカゼ・タクシー』を久々にビデオで。もう最高。役所広司が強いのなんのって。しかし、中ほどの「自己啓発セミナーごっこ」には「?」。


2002/01/03/Thu.
▲晴れ。
『東電OL症候群(シンドローム)』(新潮社)読了。最高裁が結審していないこともあり、なんとなく座り心地の悪さを感じさせる読後感。続報を待ちたい。
『60年代アメリカ映画』(エスクァイアマガジンジャパン)を読みはじめる。60年代のアメリカ映画を従来の「アメリカン・ニューシネマ」を中心とした映画史で読み解くことを拒否し、50年代の「赤狩り」からのサバイバーたちがスタジオシステムの崩壊過程で活躍した時代として規定し直す。黒澤明の影響などを視野に入れつつ、新しい視点でハリウッドの映画史を読み直そうとする野心的な評論集。
▲義父母のところに新年の挨拶に。おいしい鮪などをご馳走になる。
▲締め切りの仕事がやりかけだったので、最後のツメ。結局深夜に及んでしまいKさんに迷惑をかけてしまった。ごめんなさい。正月気分も今日でお終い。


2002/01/02/Wed.
▲晴れ、ときどき曇り?
▲ホームページの書評映画評を地道に足してみたりする。
『続・あさま山荘1972』読了。日本赤軍がクアラルンプール米大使館占拠事件を起こし、連合赤軍の坂口弘と坂東國男の釈放と引き渡しを日本政府に要求する。二人にとって日本赤軍に「奪還」されることだけが死刑から逃れる唯一の道だった。坂東はこの要求に従って日本赤軍に合流する。しかし坂口は武力闘争への否定から、この申し出を拒否する。坂口は最高裁まで争って結審。死刑囚として死を待つ身となった。この二人の対照的な生き方は興味深い。
▲続けて佐野眞一の新刊『東電OL症候群(シンドローム)』(新潮社)を読みはじめる。『東電OL殺人事件』(新潮社)は、最後、被告ゴビンダが一審で無罪判決を受けたところで終わった。しかし、二審までの勾留が裁判所によって認められ、新事実も見つからないまま「疑わしきは罰する」とも取れるような逆転有罪となる。この過程を佐野は日本司法界が腐りきっているとして激しく糾弾する。そして勾留延長に関わった裁判官の一人が少女買春で逮捕されるという事件に、佐野の妄想が刺激される。佐野節全快です。
▲高尾で新年会。寒かった。
▲NHKアーカイヴス・松本清張スペシャル『天城越え』(和田勉演出)。子供の頃に見て、強い印象のある作品。ほぼ記憶通りだったことに驚きもし、安堵もした。大谷直子の美しさは絶品。子役は鶴見辰吾。のちに、『みな殺しの霊歌』の脚本も書いている三村晴彦が田中祐子主演で映画化し、好評を博したが、和田勉版『天城越え』には及ばないと思う。ある意味神懸かり的な絶妙さのある傑作だ。


2002/01/01/Tue.
▲晴れ。
▲昼頃に起き出す。中学、高校の頃、1月1日といえば、テレビ東京あたりでマキノ雅弘監督の『次郎長三国志』シリーズあたりの「オールスター映画」の放送を真っ昼間からやっていて、年はじめっぽい雰囲気をなんとなく味わったものだ。むろん、深夜放送される映画もレアな日本映画が怒濤の勢いで放送されたりした(市川雷蔵『大菩薩峠』全部とか!)ものだなあ。といきなり昔話でどうする!
▲母の家を訪ねる。とくに話すこともないのでもっぱら「めちゃイケ スペシャル」鑑賞。ナイナイ岡村が劇団四季の『ライオン・キング』出演に挑戦! 岡村のがんばりも偉いと思うけど、やっぱり本職の人たちの身体のキレっちゅーのは凄いなと思う。
▲しかしナイナイの二人って、「染太郎・染之介」みたいなんだと合点がいく。つまり、矢部はしゃべるだけで芸はもっぱら岡村。でも、バランスが妙にいいのだ。
『続・あさま山荘1972』。いよいよリンチ事件の経緯が詳細に渡って書かれた「クライマックス」だ。まだ半ばまでを読んだところだが、犠牲者たちの死に様はまさに凄惨の一言。
▲なんというか……犠牲者それぞれが逃げもしなかった真面目さが痛々しい。むろん、脱走した人たちもいるのだが、その人たちにとっては「逃げた」ことはその後の人生にどう影響したのだろうか? 逃げずに「革命戦士になる」という大義名分のもとに殺し・殺される世界はぼくらの日常と遊離しすぎだが、逃げる・逃げないで追いつめられていくことは青年誰しも大なり小なり経験することなんじゃないかとも思う。
▲しかし、「逃げない」という選択が死と直結する世界というのは何とも……。では、彼らの死が内ゲバではなく、「敵」との戦闘であったら……。その死は普遍化されたんだろうか? わからん。


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