A DAY IN MY LIFE

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2002/07/31/Wed.
▲晴れ。体温並の気温。
▲話題の幸田真音『投資アドバイザー 有利子』(角川書店)20代後半の有利子(アリコ)は中堅証券会社ふたば証券の個人投資家向け投資アドバイザー。主人公の名前が示すとおり、コメディータッチのビジネス小説だ。小説を読み慣れた人にはこの「キャラの薄さ」、物足りないかも知れないが、このままテレビドラマになりそうなテンポの良さと軽いタッチはあまり頭が働かない猛暑にピッタリ。不景気な話や、危機感を煽るサスペンスも好きだが、「こんな時代やさかい」たまには、こんな明るい話も読みたい。投資人情コメディーとでも名付けたい連作小説。大映映画『投資令嬢』(1961年・枝川弘監督)、団鬼六のSM小説以前の秀作『大穴』(角川春樹事務所)など、投資にまつわる悲喜こもごもは面白い。
▲高橋秀実『からくり民主主義』(草思社)をAさんにいただく。タイトルは評論かエッセイかという雰囲気だが、10のルポをまとめたノンフィクション。マスコミで報道されている「正義」の現場がどうなっているのか、クールな視点でとらえ直している。
▲例えば沖縄基地返還問題、若狭湾原発銀座は、それぞれ賛成派55パーセント、反対派45パーセントのバランスが一番いいのだという。両陣営が拮抗することで、国からカネを引っ張ることができるからだ。非当事者たる一般国民にわかりやすく伝えるため、マスコミは「賛成」「反対」の対立をドラマティックに描くが、その内実は、互いの存在をアテにして世の中が成り立っている。
▲マスコミが作り出す物語を批判するという立場は『ひめゆり忠臣蔵』(太田出版)『宮沢賢治殺人事件』(文春文庫)での吉田司や、与那原恵『物語の海、揺れる島』(小学館)を想起させるが、高橋秀実はもっと冷めていて、とぼけている。マスコミが作った物語批判というと、肩に力が入ってきそうだが、高橋秀実のスタンスはもっと脱力していて、そこが新鮮だった。タイトルも、そういう意味でノンフィクションくさくない線を狙ったのかもしれない。久々に面白いルポを読んだという感じ。売り上げも好調で、現在、一時的な版元品切れ状態の模様。お買い求めは在庫のある本屋さんでどうぞ。
▲新宿で飯田鉄さんから原稿をいただき、その後、自宅で作業。深夜まで。


2002/07/30/Tue.
▲晴れ。暑い。
JCIIフォトサロンに、今日から写真展を開いている水越武さんを訪ね、取材。愛知県出身の水越さんは山好きが高じて大学を中退、紆余曲折の後、27歳から写真家になったというネイチャーフォトグラファー。ぼくはとくに『森林列島』(岩波書店)が好きだ。モンスーン気候独得の湿気が伝わってくる。現在、水越さんは北海道に移住している。この日は穂高への撮影行のあとに時間を作っていただいたのだ。水越さんには30年近く愛用しているというライカの一眼レフR型についてお話をうかがった。インタビュアーは神田憲行さん。
▲欧風カレー。デザイン打ち合わせ。
▲映画『王様の漢方』の試写を見る。
▲先週読んで日記に書き忘れていたのだが、沖縄在住の写真家、石川真生の自伝的フォト&エッセー『沖縄ソウル』(太田出版)、パワフルでとても面白かった。高校時代に基地返還運動にやってきたサヨクの大学生とつきあって妊娠、一度は東京に出て東松照明らのワークショップに参加した彼女は、沖縄に戻ってキャンプ・ハンセンの米兵専門バーに勤めながらその実態を撮影し始める。恋愛、結婚、離婚、一人娘を育てながら、バキバキと撮った(ような感じがする)写真が、彼女のパーソナリティーの強さを表現していもいる。暑い夏にはこういう本を読んで元気を出したい。


2002/07/29/Mon.
▲曇り。ちょっと涼しい。
▲早起き。編集部。待ち人遅刻。別の打ち合わせを経由して三田。機材返却。
▲銀座ガーディアン・ガーデンの小林紀晴写真展『life 1986-2002』を見に行く。
▲小林紀晴はデビュー作の『アジアン・ジャパニーズ』(情報センター出版局)以来、ずっと注目しているけれど、文章に魅力は感じても、失礼ながら写真をいいと思ったことはあまりなかった。この写真展は第1回(1992年)、第2回写真『ひとつぼ展』(1993年)に入選した彼の軌跡を振り返るという、やや早すぎる回顧展の趣があるのだが、不思議とすっと写真が自分の中に入ってきた。
▲今年の1月まで1年あまり暮らしていたというニューヨークの異邦人たちの姿が、彼が追い続けている越境というテーマとしっくりあっているからだろう。大きく伸ばしたポートレート写真には確かに出会って撮ったという力強さを感じた。展示点数も多すぎずちょうどいい。ただ、作品の中に数点、こちらが脱力するような無造作な写真があり、瑕瑾となっている。確信犯的なほころびだとしたら、何か勘違いしているんじゃないかという感じ。高いテンションを保つ写真展なので、よけい気になった。この写真展と同名の写真集『 life 1986−2002』(スイッチ・パブリッシング)も発売されているが、こちらはまだ手に取っていないが、写真展のイメージが薄れたら買うつもり。


2002/07/28/Sun.
▲曇り。涼しい。
▲原稿を一つ仕上げて、あとはずっとブツ撮り。いつ果てるともなく続く。
▲湯本香樹実『ポプラの秋』(新潮文庫)を読む。これは泣ける。『夏の庭』(新潮文庫)の作家、という漠としたイメージしかなく、つい先週まで男性作家だと思っていた(なぜか)。読めば、繊細かつのびやかな詩情がある文章と、ツボを押さえたストーリーテリングに唸った。最新作はこないだの芥川賞候補作に挙げられ、9月に単行本化予定だという。楽しみです。


2002/07/27/Sat.
▲晴れ。暑い。
▲単調かつ着実な一日。
▲最近、何を今さらというか、自分の不勉強、ものを知らないことに恥ずかしい思いをすることが多い。潰れた光琳社出版から出ていた日本の写真家シリーズ「VISIONS of JAPAN」(監修:伊藤俊治)の中の一冊、「柴田敏雄」が引っ越しのダンボールの中から発掘され、今さらと思いながらじっくりと見て、正直、衝撃を受けた。「日本典型」などの作品はイメージとしては知っていたし、この写真集もおそらく買ったときにめくったに違いないのだが、その時には引っかかってこなかった。
▲山が切り崩され、造成されていく様を審美的に撮影した作品群。自然と人工物の二項対立を超えて、美しい。人間の概念の中で対立させた二つの概念を小馬鹿にするように、その映像は奇妙なバランスを保っている。しかし、そこにある種のホラータッチが潜んでいるというか。何とも奇妙で蠱惑的な映像世界。これって、すごく写真的な写真。写真でしか描けない世界ではないかと思う。
■ヤスケンの編集長日記! 7月25日(木)小雨


2002/07/26/Fri.
▲晴れ。暑い。
▲何をやっていたのか、暑すぎてあんまりよく覚えてません。
▲目白ブックオフ。9000円の某写真集が、売価900円。いつも思うのだが、写真家の写真集(要するに、アイドルとかヌード、クルマとかヒコーキとかの「実用」じゃないやつね)って市場価値はほとんどないんだよね。その空しさというのは……。しかし、最近では、そもそも大衆向けではないのだから、ブックオフのような新古書店は一般大衆を顧客にしているがゆえ、値段が限りなくゼロに近づくのは当然だと思うようにはなった。一読者としては安い方がいいわけだし。コアなターゲットの商品は写真集に限らず、一般向けのマーケットでは価値が生まれないというのはよくあること。とすれば、写真集の価値を高めるためにはコアを束ねたマーケットの確率がキーになる──と、言うは易し。
■ヤスケンの編集長日記! 7月24日(水)曇、のち雨


2002/07/25/Thu.
▲雨のち晴れ。
▲写真家のハービー・山口さんとの打ち合わせ。「季刊クラシックカメラ」でハービーさんに連載をお願いしている。次回の打ち合わせはサクッと終わり、ハービーさんが銀座ライカギャラリーで開催中の写真展「Peace」(8月4日(日)まで)、写真集やWEBの話になる。ハービーさんの写真をご覧になったことがない方は(たぶん、どこかで絶対に目にしていると思うけど)ハービーさんの公式ホームページで作品の一部を見ることが出来ます。
▲ハービーさんも時折訪れるという洋書店ART BIRDに初めて行く。狭い店内に写真集が詰まっている。新刊、古本、和書もある。写真集専門と言ってもいいような品揃え。1時から8時くらいまで営業しているそうです。
■ヤスケンの編集長日記! 7月23日(火)曇


2002/07/24/Wed.
▲晴れ。暑い。
▲記憶がはっきりしないが、たぶん、真面目に仕事をしたはず。
■ヤスケンの編集長日記! 7月22日(月)曇


2002/07/23/Tue.
▲晴れ。暑い。
▲「気の森」誌のための取材。いま(いろんな意味で)話題のドーマン法の本拠地、人間能力開発研究所所長のジャネット・ドーマンさんにインタビュー。ドーマン法のプログラムを受けている脳障害児のご家族にもお話をうかがった。いろいろと考えさせられた。
▲ドーマン法の批判も当然のごとく織り込まれている『異議あり!「奇跡の詩人」』(同時代社)ももちろん読んでいった。滝本弁護士いわく、ドーマン法は時代遅れの非科学的プログラムに過ぎないと一刀両断。しかし、そんな単純に切り捨てていいものだろうか? むしろ、同書に「特別寄稿」している心身障害児総合医療療育センター・むらさき愛育園園長の児玉和夫のスタンスに共感を覚えた。児玉のスタンスは、ドーマン法をやってみたいという親を無理に止めることはしないが、情報を提供して、それをもとに考えてもらい、さらに、ドクターストップをかけられるようにしておくというものだ。
▲現在の医学では脳障害児への治療にも限界がある。であれば、その障害と戦うのか、それとも受け入れていくのか、それぞれの脳障害児とその家族が選んでいかなければいけない。その際、選択肢は多い方がいい。むろん、その戦い方(療法など)については正しいインフォメーションがあるべきだし、その療法に不備や改善すべき点があるなら批判していくことも大事だろう。しかし、決定的な治療がなされない現在では、さまざまな民間療法が求められるのも現実だ。
▲NHKスペシャル「奇跡の詩人」の場合は、ドーマン法を名指ししておきながら、そのドーマン法の問題点を無視したことに問題がある。しかし、だからといって、ドーマン法=しょせん民間療法、と断じるのもいかがなものかと思う。ドーマン法を含めた民間療法と、医学の関係にはもうちょっと複雑なものがあると思うからだ。医学に不信感を持った患者とその家族が民間療法を試してみようとしているのが現状だと思う。
▲会社員時代の同期Kと、その当時仕事でお世話になった村松さんと会社員時代の上司がやっているお店(市ヶ谷 酒菜屋 かみや。いい店です)で飲み。途中から、やはり以前お世話になったグラフィックデザイナーのA女史が参加し、Kは帰ったけど、残りのメンツで結局朝まで。そういえばKのみ勤め人で、残りはフリー。人生的にいいんだかわるいんだか。
■ヤスケンの編集長日記! 7月20日〜21日


2002/07/22/Mon.
▲晴れ。暑い。
▲Kさんに声を掛けていただき、Aさんを誘って新宿紀伊国屋書店で梁石日、風吹ジュン、渡辺えり子が出演するトークショーを聞く。
▲梁石日の新刊『終わりなき始まり』( 朝日新聞社)の刊行を記念して、という感じのトークショー。トークショーって盛り上げるのが難しいな、と思ったり。
▲そのまま3人で飲みに行く。結局、こっちが中心だったような気がする。当然楽しく、午前3時。


2002/07/21/Sun.
▲晴れ。暑い。
▲池袋ジュンク堂書店まで歩いてみる。距離はともかく坂道がめんどくさい。目白のあたりは坂の上はお屋敷町、線路際はやや古ぼけた風景で、いずれもどこか懐かしい感じ。
▲久しぶりに硯屋で冷やしおろしうどん。品書きにつまみが増えていて酒飲みにはうれしいが、お客が長っ尻になるから、夜来てもなかなか席が空かないだろうなとも思う。ジュンク堂の裏手をちょっと歩いたところにある、まだできてそれほど経っていない小さなうどん屋なのだが、店主の方がいろいろとこだわっていて、品書きの蘊蓄を読むのも楽しく、実際においしい。
▲ジュンク堂へはグレン・ドーマン『親こそ最良の医師』(ドーマン研究所)を買いに行った。例のNHKスペシャル「奇跡の詩人」問題で話題になったドーマン法の創始者、グレン・ドーマンの代表的著作。理学療法士のドーマンが脳外科医師テンプル・フェイと出会い、脳障害者のためのリハビリテーションを開発していく過程と、その内容がわかりやすく書かれている。
▲ドーマン法には賛否両論あり、お膝元の米国でも批判にさらされている。しかし、一方で一般的な医学的見地からさじを投げられた脳障害者、とりわけ脳障害児の親の駆け込み寺としてドーマン法に期待が寄せられているのも事実だ。ドーマン法に限らず、西洋医学の権威的なヒエラルキーに組み込まれない治療法は星の数ほどある。どれがホンモノで、どれがニセモノか、安易に判断はできないが、西洋医学だけが社会的に認められた医療であるという考え方にも疑問を感じる。大切なのは、選択肢が多く、その選択肢についての良質なインフォメーションがなされることだろうと思う。
▲ドーマン法については「奇跡の詩人」問題から興味を持っていたのだが、たまたまニューエイジ系の雑誌「気の森」(BABジャパン)でグレン・ドーマンの娘で、研究所の要職にあるジャネット・ドーマンに取材することになった。それで、あらためて基礎的な資料を当たっている。ぼくはニューエイジは大嫌いなので「気の森」のような媒体にもあまり関心がないのだが、かといってまったく無関心というわけでもない。ニューエイジ的な世界を素直に信じている人には胡散臭さを感じるが、スーパーナチュラルなものを完全否定できるほど、世界は単純ではないとは思っている。
▲ドーマン法そのものはニューエイジとは一線を画しているが、西洋医学の価値体系に異議を唱えるという発想から、ニューエイジ的な色合いをまとって発展してきたという背景がある。社会の移り変わりと、思想の盛衰には大いに関連がある。ぼくの興味はそのあたりにある。
▲ジュンク堂書店ではほかに水越武写真集『森林列島』(岩波書店)、版元品切れだという藤原新也の写真集『バリの雫』(新潮社)を。『森林列島』は濃密ななかにもひんやりとした空気感が心地良い。写真家は、写真を撮り、風土自然を調べ、一冊の写真集にまとめている。ネイチャーフォトグラファーとして実にまっとうな方法論。一方、『バリの雫』はその対極にある。
▲藤原新也が撮っているのは自然という具象ではなく、抽象的な「世界」だ。本書はコンパクトな判型だが、写真にスケール感があり、なぜかと思う。考えてみれば、バリという島は大した面積はないが、その上に載っている自然と文化の濃さは人間の小さな脳味噌を思わせるような複雑さと壮大さを思わせる。『バリの雫』はバリのスケール感を見事に表現した写真集である。
■ヤスケンの編集長日記! 7月19日(金)曇


2002/07/20/Sat.
▲晴れ。暑い。
▲湘南モノレールで片瀬山まで。サンダー平山さんと打ち合わせ。「季刊クラシックカメラ」次号に原稿をお願いしたのだが、話題はもっぱらデジタルカメラとデジタル写真の先行きについて。サンダーさんは秋にデジタルカメラの本を出版する予定だという。
▲サンダーさんからネットプリントサービス(カメラのキタムラほか)が面白い、というお話を聞き、実際にデジカメ→ネットプリントした2L判の写真を見せていただく。最新鋭のデジカメを使えば、銀塩コンパクトカメラ程度の画質はクリアされていると実感する……が、銀塩を見慣れている人には、どこか違和感が残るのも事実だ。
▲銀塩かデジカメか、という二者択一ではなく、まったく別の映像撮影機として考えるべきなんだと思う。これから写真をはじめる人にとっては、コストパフォーマンスと使い勝手の良さから、静止映像を撮る場合、デジカメを選択する人が一般的になるだろう。とすれば、入門者はデジタルしか知らないわけだから、銀塩との比較は意味がないからだ。
▲入門者向けの静止画撮影機として有利だと書いたが、実はデジカメは撮影機としては未完成だと感じている。最大のネックは電池。電気を食うから、充電してもすぐにバッテリーがなくなるし、乾電池対応なら電池代がバカにならない。結局、デジカメはまだまだ途上の機械である。
▲一方、銀塩カメラはすでに成熟商品。デジカメは発売後一年経てばその価値はほとんどない。しかし銀塩カメラの中古価格は安定している(機種によるが)。この違いは依然、大きい。ゆえに、比較するのは面白いけれど、別物だと考えて割り切らないと、両者の長所・欠点ばかりに目が奪われて、議論が空転してしまうのではないかと思う。
▲日韓の比較文化論としてはすでに古典的な一冊『スカートの風』(呉善花・角川文庫)を読んだ。この本が話題になったのはまだぼくが大学生だった頃と記憶している。文化人類学徒の友人に教えられたのだが、今まで読み損ねていた。
▲その間に、韓国に三度行き、関連書も読んだが、依然として日韓の間にある深い溝についてなにがしかをわかっているわけではない。本書を読んでも新鮮に感じる点がいくつもあった。
▲本書が書かれたのは1990年なので、現在の韓国とは若者の文化、風俗の点など、若干の違いはあるだろうが、全体的に韓国文化の背骨にあたる部分は変わっていないと感じた。著者が執筆時点で独身の女性研究者だったために、フェミニズム的な視点から韓国文化を批判的に捉えている点は興味深い。著者は日本に留学し、日本文化を理解しようと難儀する過程で、翻って祖国韓国文化への疑問を感じるようになる。文化の相対化から、自国の文化への批判を展開するという姿勢は優れて知的な態度だと思う。
▲いま現在も『親日派のための弁明』(金完燮・草思社)が話題を呼んでいるが、ともすれば感情的になりがちな両国の比較文化研究、歴史的検証が新しい世代によって進むことを期待したいし、注目もしていきたい。
■ヤスケンの編集長日記! 7月18日(木)晴、夜から雨


2002/07/19/Fri.
▲晴れ。暑い。
▲朝から不愉快なメールが届く。即デリート。もちろん、返事は書かない。善意を装った悪意ほど始末におえないものはない。
▲最近、映画を見ていない。映画館へも行っていないし、ビデオですら見ていない。何をしているかというと、引っ越して、ようやくダンボールに入りっぱなしだった本を外に出せたので、その整理に熱中しているのだ。ほかに、昔撮った写真のダンボールがいくつかあり、それもなんとか整理しようと思っている。ゴミみたいな写真だけど、時間が経ったことで意味が濃くなってしまって、なかなか捨てる気にならないのが難しいところ。
▲1980年生まれの写真家、木村理子さんに作品を見せてもらう。木村さんはバスルームのプラスティック製品を4×5の大型カメラを駆使して撮影している。カラープリントで微妙な質感を出しているのだが、凝視の先に軽い狂気を感じさせる。この軽さが今風で、お会いした木村さんはごくふつうの若い女性で、バスルームで作戦苦闘しながら作品制作をしている気配はまるでない。
▲木村さんは秋に個展を開くことになっている。詳細はあとで(いただいたDMがいま手元にないので)。
▲Iさん、Kさんと4人で東中野のスペイン料理屋「メゾン・マドリード」で夕食。このお店はお気に入り。パエリヤなどの定番ものはもちろんだが、今日はじめて頼んだ鴨のブルーベリーソースってのがなかなか。
▲高村薫『半眼訥訥』(文藝春秋)を今さら。
▲高村薫は好きな作家なのだが、「文藝春秋」で少年犯罪などの社会的な事象について発言していることには違和感があった。新聞、雑誌に寄稿した雑文集である本書を読んでいる間中、やはりなんとなくしっくりとこなかった。
▲本書の中に書かれている、家族や子供たちとそれをとりまく社会の変化、その変わりゆく末を憂う姿はきわめてまっとうだ。しかし、そのまっとうさがいささかうっとうしく感じた。
▲高村薫自身が「作家は時代の道化であるべき」と認識し、それゆえ、本来の小説家としての仕事とはズレた雑文を集めて一冊にしようと思い決めたという理由は腑に落ちる。
▲しかし、小説作品の中から感じ取れる社会や人間への考察に比べれば、この本に収められた雑文はいずれも単純に過ぎると感じられる。メディアに求められて、限られたスペースで発言するということは、おそらくこういうことなんだろうけれど。
■ヤスケンの編集長日記! 7月17日(水)曇、時折雨


2002/07/18/Thu.
▲晴れ。暑い。
TOPの写真を替えてみる。こないだまで住んでいた部屋から見た風景。ウェディング用に作られた奇妙な「おまけ」教会。
▲銀座ライカギャラリー東京で開催中のハービー・山口写真展を見に行く。タイトルは「Peace」。ハービーさんというと、ロンドンのパンクロッカーや、福山雅治や山崎まさよしなどのミュージシャンたちのスナップやポートレートが有名だが、写真が好きな人にとっては『代官山十七番地』という写真集をご存じの方も多いだろう。
▲今回の写真展「Peace」はどちらかというと『代官山十七番地』方面の写真を集めている。街で出会った若者たちのポートレートだ。制服姿の高校生、美容院で働く青年、ショップの店員などなど、青春という季節を生き生きとした表情で過ごしている若者たちの写真である。
▲「Peace」というタイトルに象徴されるように、この写真展で見ることが出来るのは、生きることに肯定的な明るいパワーである。ぼくのようなひねくれ者にはまぶしいくらいだが、ハービーさんの写真のてらいの無さは、このご時世にむしろ貴重だろうと思う。
▲およそ未来に明るさが感じられず、少子化が進んで、どの若者も圭角がとれたのっぺりとした顔つきになっているというイメージがあるけれど、ハービーさんの目に止まった若者たちの表情は、いつの時代にも共通な、未来行きの列車に乗ろうとしている人らしい、大きな期待とちょっぴりの不安に彩られている。
▲こんな時代やさかい「Peace」、というハービーさんの発想がいかにも「らしい」。
▲BGMにはハービーさん自身が選曲した曲が和洋問わず使われていて雰囲気を盛り上げている。ハービーさんの写真展につきものの「感想ノート」にもびっしりとファンたちからのメッセージが書き込まれていて、暑い。唯一残念だったのは、ライカギャラリー東京がその名にふさわしいだけの格調ある内装になっていなかったことだ。あまりに素っ気ない空間で、少し残念だった。その代わり、ハービーさんの写真の飾らなさがよく出ているとも言えるけど。写真展は8月4日(日)まで。ぜひどうぞ。
▲銀座に出たついでに今日から松坂屋ではじまった「第2回 銀座・中古カメラ市」を冷やかす。中古カメラ市といえば、春夏に新宿京王デパートと銀座松屋、その間のG.W.に渋谷東急東横店で、というのが定番だが、こちらは昨年からはじまった別のスジの中古市。ようするに、中古カメラ店の属している組合(?)が違うということです。プロレス団体みたいなものか。こちらは「カメラスタイル」など中古カメラ雑誌やムックを出しているワールドフォトプレスがバックアップしている。
▲昨年は「ちょっと寂しいな」という印象だったが、今年はオーストリアからライカショップを呼ぶなど、店舗数も増え、盛り上がっている。24日(水)まで。お好きな方はどうぞ。
▲小林信彦・文、荒木経惟・写真『私説東京繁昌記』(ちくま文庫)読了。恥ずかしながら、親本を読んでいなかった。ちょうど親本が出た90年代前半は、自分の中の小林信彦ブームが去っていた後だったからか。一時は片端から読んでいた作家だったが、改めて読んでみると、やはりその面白さに唸る。小林信彦の引っ越し遍歴と、東京の街の変容(「町殺し」と小林は痛烈に批判している)がシンクロし、翻ってバブル直前の東京を照らし出す(もともとは伝説の文芸誌「海」に85年頃連載したもの。安原顯さんの依頼だったとあとがきにある)。
▲アラーキーの写真も、この本の中ではお行儀が良く、背筋がシャンと伸びている印象なのは面白い。書き手と撮り手がともに東京を歩いて共鳴してできた好著という点で、ありそうでない本。まだお読みでない方はぜひご一読を。
▲テレビドラマ「恋愛偏差値」がスゴイことになっている。とてもマトモには見られず、本棚の整理をする合間に見る。恐ろしい……。
■ヤスケンの編集長日記! 7月16日(火)雨
■ヤスケンの編集長日記! 7月15日(月)快晴


2002/07/17/Wed.
▲曇り。蒸し暑い。
芥川賞に吉田修一、直木賞に乙川優三郎が決まる
▲吉田修一は受賞作は読んでいないが、これまで出ている三冊の単行本(『最後の息子』『熱帯魚』『パレード』)はどれも読んでいて好きな作家なのでなんとなく嬉しい。作品は、どれも文章は平易で読みやすく、家族、友人のようなかたちに集えども、心のうちにあるものを共有できないでいる現代人を描いて秀逸である。山本周五郎賞を獲った『パレード』は著者初めての長篇小説で、これからはエンターテインメント方向に進むのかなと思っていたところなので、今後の作品の行方にも注目したい。


2002/07/16/Tue.
▲台風7号上陸。したがって、午前中は雨、風。午後1時30分頃から都内は天気が回復。ウソみたいに晴れる。
▲オンライン書店bk1の夏の特別企画<あやかしの郷(くに)へ、ようこそ! 〜真夏の妖怪本フェア〜>の目玉記事「京極夏彦インタビュー」(聞き手はbk1ホラーサイト編集長の東雅夫さん)。乃木坂の大沢オフィスにお邪魔する。東さんと京極さんは「ダ・ヴィンチ」誌上の「怪談之怪」などの活動を通して親しい。この日は水木しげる、『画図百鬼夜行』の話などで盛り上がる。
■ヤスケンの編集長日記! 7月12日〜14日


2002/07/15/Mon.
▲荒れ模様。台風7号沖縄上陸。今年は台風の当たり年。
▲注目の長野県議会、知事不信任案決議への田中長野県知事の選択は、失職。県議会はマトモな対立候補を立てられるのか? 脱ダムはいいが、その代替え案がない、と知事を批判する県議会だけど、知事の交代要員は用意されている様子がない。お粗末。大人のやることじゃないな。
▲ADSLが開通する。移転申請から約10日もかかった。つながったのはいいが、心なしか以前よりも遅い。電話局からの距離などの条件によって速度が変わるらしいとは聞いていたけれど。
▲テレビドラマ『濱マイク』。予想通り低視聴率とのことだがDVDの販売を含めたソフトとして考えれば息の長い作品になると思う。松田優作の『探偵物語』と比較したくなるけど、それは野暮か。
▲テレビドラマを見てしまったので、買ったけれど、読むタイミングを逸していた村上龍の『最後の家族』(幻冬舎)。ドラマでは父親役の赤井英和の演技に耐え難いものを感じたけど、小説の方にはそういう心配はない。道具立てが派手でない分、村上龍の手練手管を楽しみたい。
■ヤスケンの「今週のおススメ」 第74回★奇妙な味の短篇集 ロバート・O・バトラー『奇妙な新聞記事』


2002/07/14/Sun.
▲曇りっぽいけど晴れてる。
▲高田馬場周辺をうろついてみたり。
▲珍しく、最近のマンガを読んでみた。木尾士月の『五年生』(アフタヌーンKC 全5巻)。ハマってしまった。司法試験を念頭に置いて法律事務所に就職が決まっている優等生の女と、同じ法学部なのにヤル気のないまま就職を決めた男。その男が、うっかり履修し損ねた科目のために留年してしまう。木更津と東京、遠距離恋愛になってしまった二人の一年間、というお話である。
▲自分の大学時代を振り返りつつ、懐かしい気持ちで読む。恋愛に対して自信がなかったり、妙に強気だったり、投げやりだったり、執着したり、という心理描写が巧みだ。この作者、男なのか、女なのか。こういうマンガがマンガ喫茶の「おすすめ」コーナーにあったりする高田馬場ってやっぱり学生街だなと思う。前日談の『四年生』、こちらはあまり面白くなかった。やっぱり、五年生という空白の一年間という設定が生きている。
■ヤスケンの編集長日記! 7月10日〜11日


2002/07/13/Sat.
▲曇りがち。天気雨。強風。
▲荒木経惟の写真集『去年』。荒木さんの公式サイトで限定(2002部)販売しているものを買った。判型はA5変形と小さめだが、箱入り。おなじみの自宅ベランダからの空、人妻エロス、緊縛写真、猫のチロなどが入り乱れている日付入り写真集。朝起きると、ベランダから空を一枚撮るところから一日が始まるという荒木さんの面目躍如というべき写真集。公式ホームページではほかに何冊か限定版の写真集が販売されているが、そのどれも好きです。アラーキーという写真家には自費出版というスタイルが似合っていると思う。
▲ところで、荒木さんと同じようにホームページで自費出版の写真集を限定版で出しているといえば佐内正史。公式ホームページ佐内正史.JPでは、写真集ができる過程を製本段階まで紹介している。一冊の写真集にかける写真家の情熱が伝わってきてとてもいいと思う。さっそく1部購入して宅配してもらった……というところまでは7月5日の項で書いた。
▲で、感想。造本の見事さはすばらしい。1万円という値段に恥じない高級感がある。ところが、写真の内容、レイアウトについては「?」マークが浮かんだ。正直なところ、よくわからない……。
▲前々作の『message』(平凡社)には大感動し、インタビューにも行き、一人でも多くの人に見てほしいと思った。前作の『俺の車』(メタローグ)は、最初に見たときは「え?」って感じだったけれど、そののち、つくづく見ていると、その無意識過剰なユーモアがけっこう気に入って、座右の写真集にしていたりする。
▲けれど、この『map』の場合は、今のところ、よくわからないとしかいえない。写真を本の「のど」の部分においたり、写真の並べ方の脈絡にも違和感があるのだ。それらは当然、「狙ってる」んだろうけど、その狙いがすっとこちらに入ってこない。うーん、なんだろう、この納得のいかなさは。まあ、ともかく、自分の中で答えが見つかるまでは何度も見るしかないんだろうな。そういえば、佐内正史の写真集には『わからない』(光琳社・絶版)という作品もあった。好きな一冊だったけど……。
▲コンタクトを左右入れ違いに入れてしまったのか? という感じの頭痛と吐き気。でも、単なる二日酔いかもしれないと思ったり。
▲北新宿の部屋を引き払う。お世話になりました。
▲妻が金槌を買ってくる。
▲やっぱり、どう考えても本が多すぎるので処分することにする。最後にもう一度だけ読もうと思って作業が捗らなかったりする。吉田秋生の『吉祥天女』(小学館文庫)、久々に読んだら、ストーリーをすっかり忘れていて、初めて読むみたいに楽しめる。女はコワイ……という話ならばと、山岸涼子の『黒鳥』を引っ張り出す。


2002/07/12/Fri.
▲ちょっと曇りがちだが晴れ。
bk1で夏の企画の打ち合わせ。Fくんに「何か面白い本ない?」と聞くと樋口明雄『俺たちの疾走』(ソノラマノベルス)を貸してくれた。自分ではぜったいに読もうと思わないタイプの本。レジャーランド建設をめぐって賛成派と反対派が対立する富士裾野の町。自衛隊の演習場も近い。で、高校生が戦車を奪って旅に出る、らしい。高校生くらいが対象読者のかな。読んでみよう。
▲写真家の柴田三雄さんの事務所で打ち合わせ。
▲歓送迎会風飲み会。懐かしい人たちとの再会。しかし、懐かしいったって、せいぜいこの2年に出会った人々だったりする。撮っておいた写真を適当にピックアップしてアルバムにしてもっていったら、えらく受けた。というのは、わずか2年の間に、写っている人たちの状況が変わってしまっているからで……興味深い。
▲池袋から歩いて帰ってみたら、やっぱり遠かった。
■ヤスケンの編集長日記! 7月9日(火)曇、時折雨


2002/07/10/Thu.
▲台風。雨と強風。
▲Kさんと打ち合わせ。なんとなく手の内がわかってきたような気もするが……。ひとつ、ふたつ、波乱が待っていそうな予感。
■ヤスケンの編集長日記! 7月7日〜8日
■ヤスケンの編集長日記! 7月6日(土)曇


2002/07/09/Tue.
▲曇り。夕立。
▲午前中、歯科医まで歩いて25分。暑い。
▲大久保駅から新大久保までのあたりにはなぜか100円ショップが3軒もある。新大久保歌広場下の店が一番品揃えが充実している。だから何だというわけではないのだが……。何の変哲もないハンカチを買う。
bk1のFくんから借りたグスーヨンの第二長編小説『偶然にも最悪な少年』(角川春樹事務所)を読み始める。この著者の処女作『ハードロマンチッカー』(角川春樹事務所)も読んでいるのだが、なにかがありそうな予感がして、読み進めることができる。しかし、『ハードロマンチッカー』はツキがなかった、と思う。感じのいい小説だったが、在日の少年の成長物語ということで、直木賞受賞作『GO』(金城 一紀・講談社)の陰に隠れてしまった。『偶然にも最悪な少年』も在日の中学生が主人公だが、名前が「カネシロ」なのは単なる偶然か?
■ヤスケンの編集長日記! 7月5日(金)曇


2002/07/08/Mon.
▲晴れ。暑い。
▲移転に伴いADSLの電話局工事が必要になり、しばらく自宅で快適な作業ができない。そこでインターネットカフェやマンガ喫茶のPCを使おうと思い立ち、早起き。週末、たまっていたメールを読み、しかるべき返事などを書いていると午前中はあっと言う間に終わる。
bk1で夏の企画の打ち合わせなど。昼食は釜飯。印象に残った話題は「増えつづける本をどうするか」。今度の引越しでつくづくいやになったので。
▲本を本棚にとりあえず入れるという作業を反復。ようやく生活できる床面積が確保できる。
▲本の整理をしていると、当然のことながら昔読んだ本をパラパラとめくりはじめ、止まらなくなる。
▲今日は不朽の名作『平成よっぱらい研究所 』(二ノ宮知子・祥伝社)と今は亡き大田出版の800円本シリーズの1冊『私も女優にしてください』(バクシーシ山下編)
▲前者はよっぱらいマンガの決定版だが、現在、結婚した著者は飯能の一軒家で農業に親しんでいるとか。そういうことも含めて、若さゆえのバカエピソード満載の青春よっぱらいマンガ。
▲後者は編集者が大量のB級AVモデルを面接、その写真とアンケート結果をAV監督バクシーシ山下が論評するというシロモノ。オーディションに読んでおいて、コテンパンにけなすというとんでもない本だが、「日本はAV女優の国」と言い切る山下ならではのシニカルな視点が面白い。『セックス障害者たち』(バクシーシ山下・幻冬舎アウトロー文庫)と合わせてお読みいただきたい。
▲というわけで、この種の「微妙」な本が捨てられないから困るのだが……。
▲今日からオンライン書店bk1<ホラーサイト>で特集☆東雅夫の世界〜「幻想文学」創刊20周年特別企画がはじまった。「幻想文学」誌の編集長であり、ホラー評論家、アンソロジストとしても活躍し、bk1<ホラーサイト>編集長も務める東雅夫氏の大特集。東さんのことを御存知ない方もぜひ。目玉企画は皆川博子さんと東さんの対談です。
■ヤスケンの編集長日記! 7月3〜4日
■ヤスケンの「今週のおススメ」 第73回★川上弘美『龍宮』


2002/07/07/Sun.
▲晴れ。暑い。
▲引越しの後片付けというか、生活空間の確保というか。うんざりするような数のダンボールを一つずつあけて空にしていく。ダンボールは引越し屋からのリースなので、明日の朝までにすべて空にして返せるようにしなくてはならない。
▲でも、リースのダンボール箱は通常のものより丈夫で本などを入れるのには適しているし、返却すればごみは発生しない。気に入っている。


2002/07/06/Sat.
▲晴れ。
▲引き払った部屋の掃除。これまで何度か引っ越しているが、この掃除がけっこう好きだ。ふだんは掃除好きではないのだが、空っぽの部屋を掃除するのは達成感がある。それに、ピカピカになったがらんどうの部屋で、掃除のあとにビールを飲むと最高に美味しい。
▲本を処分するが、いくらにもならなかった。毎度のこととはいえ、虚しい。しかし、買おうと思うとなかなか見つからなかったり、意外と高かったりする。それで、売り惜しんで本が溜まっていく。悪循環。
▲Iさんと大久保駅近くの焼肉屋・光州苑(別館)で夕飯を食べたあとに、少しうちで飲む。狭い部屋だったけれど、見晴らしだけはよいのでそれだけは少し名残惜しい。


2002/07/05/Fri.
▲曇り。
▲引越しギリギリで佐内正史の最新写真集『map』が届いた。公式ホームページでのみ販売している自費出版。大判の豪華写真集。感想はまたあとで。 ▲ってゆーか、引越しでわけがわからない状態。
▲引越し先は同じ新宿区内なのでそう遠くはないのだが、荷物をまとめて積み込んで、それを解いて……という手間は変わらない。したがって、ほとんど寝ずに準備をしたのだが、引越し屋さんがくるまでに間に合わなかった(汗)。
▲しかも、電話見積もりで申告した荷物の量から3トントラックを用意してもらったにもかかわらず、積みきれなかった。原因は本だ。ぼく一人分でもかなりの量があるのに、今回の引越しは二人分、しかも本以外にも確実に生活道具が増えていた……とはいっても、ぼくたちが住んでいた部屋の狭さから考えると、ちょっと信じられない量の荷物があったということになる。驚いた。
▲結局もう一台小さいトラックを呼んでもらい、その間に荷造りもなんとか終わり、無事引越しが終わった。
▲今日、大久保駅近くの「百人町屋台村」がリニューアルオープンするというので、夕飯を食べに大久保に戻る。
▲「百人町屋台村」といえば、掘っ立て小屋のような内装に、タイ、中華、インド、ベトナム、中華などのエスニック料理店がごちゃごちゃと営業し、各料理店のウェイターとウェートレスたちが、客を取り囲んで料理のセールス(!)をすることで知られていた。
▲ところが、リニューアルした屋台村は清潔で、内装もこじゃれておりバンコクのカオサンロードあたりの雰囲気。店員たちの接客もごくふつうだった。お店そのものも一部入れ替わっていた。
▲顔見知りのタイ料理屋のおじさん、おばさんと会うのも楽しみだったのだが、話す時間はなかった。お客さんが大量に詰めかけて満員御礼だったからだ。それに、店員たちの間で混乱もあり、てんてこまいだった。なかなか料理を取りにこないウェイターたちに、インド料理屋のコックがブチ切れていたのが印象的だった(笑)。
▲東南アジア的混沌と、ゴキブリが這いずり回るがごとき屋台村が消えてしまったのは時代の趨勢。仕方がないことだが、やはり少しさびしい。ちなみに、開店記念で20%引きだった。今度はもう少し客足が落ちたところに行ってみたい。


2002/07/04/Thu.
▲曇り。
▲ダンボールに黙々と本を、生活用品を入れていく。
▲「欲しいけど買おうかどうしようか……」と迷っていた本が、出てきたりする。どういうことかというと、買って忘れていたのだ。ンなバカなと自分でも思うが、それくらいうちには本が散乱しているわけで。同じ本が2冊出てきたりすると、いやになる。
■ヤスケンの編集長日記! 7月2日(火)曇


2002/07/03/Wed.
▲曇り。
▲電話・電気・水道・ガス……転居の準備。
▲大詰めを迎えている単行本の赤字を直しつつ、次号「季刊クラシックカメラ」企画の詰め。
▲カメラマンの大池さんが編集部に。「あれ? この話、どこかで……」と思ったら、大池さんのホームページの日記で読んだ、と気付く。お互いに「そういえば日記に……」と話し合うのは奇妙な感覚。
オンライン書店bk12周年企画(もう2年経ったのか……という感じ)と連動するホラーサイトの「東雅夫特集」の記事づくり。皆川博子さんと東さんの対談をメインに、東さんの詳細な年譜などのコンテンツを並べ、「幻想文学」バックナンバー、東さん関連書籍の販売を行なう。近日中にアップします。
▲bk12周年企画といえばメイン企画はすでにスタートしている。ぼくはこの中の 書評大賞に関わっています。bk1に寄せられた読者書評の中から面白いものを紹介しようという企画です。興味のある方はどうぞ。
■ヤスケンの編集長日記! 7月1日(月)雨、時折曇


2002/07/02/Tue.
▲曇り。
▲歯科医。
▲初対面の写真家Kさんといろいろと話す。雑誌の作り方、ビジュアルの見せ方についてちょっと考えさせられた。「季刊クラシックカメラ」の仕事もいつの間にか3年近くやっているので、どこかで何となく流してしまっているところがあったんじゃないかとか、いろいろと……。
■ヤスケンの編集長日記! 6月30日(日)雨
■ヤスケンの「今週のおススメ」 第72回★『評伝坂口安吾 魂の事件簿』


2002/07/01/Mon.
▲曇りときどき雨。
▲写真家の吉野信さんと打ち合わせ。「季刊クラシックカメラ」の次号は「R型ライカ」を特集する。そこで、R型をお使いの吉野さんに原稿をお願いした。ネイチャーフォトの撮影で海外の撮影が多い吉野さんから船上での撮影の苦労話などを聞く。
▲昨日、ワールドカップの「裏番組」的な試合FIFAランキングの最下位対決「ブータン(202位)対英領モントセラト(203位)」がブータンで行われた。4対0でブータンの勝利。ホームビデオで撮ったような映像をニュースで見たが、草サッカーという感じ。ブータンの首都ティンプーは海抜2250メートルほどの高地ゆえ、モントセラトの選手たちは青息吐息。高山病で倒れた選手も8人いるというから、同情したくなった。ブータンのエース選手はインドのプロリーグ所属の選手だという。インドにプロリーグがあるというのもイメージが沸かない。世界は広い。
▲本や雑誌は印刷・製本というタイムラグがあるので、実際に本屋さんに並んだ時には、自分の中で終わってる、という感じ。で、忘れていましたが、新しいカメラのムックが出ました。『ライカM7』(双葉社スーパームック)。ぼくが関わっているのは写真家インタビューのページだけですが、類書の中では出色の出来だと思います。ぜひどうぞ。
■ヤスケンの編集長日記! 6月28日(金)曇


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