『ほとんどすべてのひとのための<神様学>入門』
(村松恒平・洋泉社・1200円+税)
【アルカリ】読者のための「村松さん」入門
ケイタイが鳴った。
村松さんだった。久しく連絡を取っていなかったので、「ごぶさたしてまーす」って感じで話しはじめた。
「村松さん、見ましたよー、安齋さんの太平洋チャンの絵本。すごいじゃないっすかー、お話し書いちゃって」
「それでさー、また、本出したんだヨー」
「えー、安齋さんと?」
「ちがうよ。ぼくのだヨー」
えー、そうなんですかー。ま、数年前から自分の著書を出したいと言っていたし、イラストレーターのソラミミスト安齋肇さんといっしょに絵本を出している村松さんだから、別に本くらい出したって驚くにあたらないんだけど、その口調がとってもうれしそうだったので、思わずぼくも口元がほころんでしまった。
「で、なんていう本なんですか?」
「神様学入門」
あ。神様か。なーる。なにしろ、古事記の桃色現代語訳を企画してた人だからなー。占いのCD-ROM出してたし、事務所で石売ったり占い師が占いやったりヨガ教室やったりしてたもんナー。村松さんらしいっちゃー、らしいけど。
で、電話の内容は出版記念パーティへのお誘いだったんだけど、結局行けませんでした。ゴメン。でも、案内が届かなかったんだよ(笑)。
というわけで、とりあえず、池袋リブロで平積み状態の本書を購入し、読んだ。
きれいな水色の装丁をやってるのが、これまた、尊敬するADの川上さんなので、この本はぼくにとって二大師匠が作った本。ちょっと緊張しつつ、読む。造本可愛いし、こりゃ、オブジェ的にもオッケー? と思ったら、この本、いきなり村松節全開。
◎神様についてお困りの方に
1.神様とつきあっていたほうが何かといいような気がするが、初心者なので、どうしたらいいかわからない。
2.神様とつきあいたいのはヤマヤマだが、どうも怪しい宗教が多くて、信用できない。
3.すでにつきあっている神様がいるが、最近いろいろ金品を要求されて困っている。
4.自分の信じている神様のすばらしさをいろいろな人に伝えたいが、なぜか人々が耳を傾けてくれない。
でね。
これらの問いに対して、恋愛になぞってごく簡単に答えて、その後、神様に対する数々の偏見・誤解を解き(神様と宗教の混同ね)、そして、本題へ。
なんと、この本、神様へのインタビュー本なんですよ(笑)。
やられたって感じ。
しかも、お金は本書の代金以外一切頂きませんという注意書き。
ああ、村松さん、やっぱり、偉大な人ですよ、アナタは。
と、山の手線のシートからズリ落ちそうになりながら、読んだ。
面白かった。チンケな情報誌買って、満足してるやつには一銭のトクもないが、一度でも精神世界について考えたことがある人には、示唆を与える本である。
むかし、村松さんにお願いして、根本敬さんの取材をしてもらったことがある。実は、村松さんは宝島の敏腕編集者時代に根本さんのマンガ本を編集している旧知の間柄。
根本さんは村松さんにこう言っていた。
「村松さんてイイ顔のオヤジみたいな顔してるのに、中味は育ちが良くてインテリだからなア。残念だよナー」
そう。村松さんは知性と教養の人であり、村松さんの企画とか文章の魅力ををわかるかどうかはかなり高級なことなんだよね。
だから、【アルカリ】読者の高級な脳味噌なら、きっと理解できると思うよ。1200円+消費税出す価値有り。これ、ほんと。
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