『平壌ハイ』
(石丸元章・飛鳥新社・1600円+税)
ジャンキーが見た北朝鮮
平壌ハイって知ってます?
財政貧困、つーか国民が飢餓に苦しんでいるのに軍備にはバッチリ金をつぎ込んでいるとゆー北朝鮮民主主義人民共和国が、国を挙げて生産しているという純度抜群の覚醒剤。輸出産品として目玉に育て上げていきたいクスリらしい。
インドシナ半島のゴールデントライアングル、コロンビアのコカインシンジケートなどなど、麻薬と武器・暴力の相性は抜群だから、あの北朝鮮が覚醒剤作るのだって不思議じゃない。
本書は『スピード』、『スピード2』で、最初は取材目的のつもりだったのにすっかりドラッグにハナってしまい足が抜けられなくなり3度? も逮捕されて収監経験のある石丸元章が書いた北朝鮮ツアーの紀行文である。
平壌でウワサの平壌ハイを売人から手に入れた! なんつースクープものの記述はないが(笑)、そのかわり、せっかく北朝鮮くんだりまで行ったのに最初から最後までドラッグと縁が切れず、ずっとヤリっぱなしという、「ホンマかいな」(笑)というクレイジーな旅行記である。
つい最近もマッキーこと槙原某が覚醒剤取締法違反でとっつかまったばかりだけど、アレで捕まると入れてくれない国が多いらしい。で、石丸元章も外国旅行に行きたくても行き先がないと嘆いていたところに、なぜか北朝鮮だけは受け入れてくれたということらしい。自分トコで作ってるから、ジャンキーに寛容なのかな?
北朝鮮ツアーに参加することになった著者は、隣りの席に座ったキムくんがジャンキーで機内ですでに大麻をすすめられ、東京で買ったという平壌ハイを賞味することになる。そして、ドラッグでイカれたアタマで北朝鮮に無事入国する。
5泊6日の観光旅行をツアー客とともにすごく著者は、ジャーナリストの目ではなくジャンキーの目で北朝鮮を見ていく。ツアー客の姿を書き、幻覚の様子を書き、トリップしているときに思い浮かぶよしなしごとを書いている。
本書の中に書かれていることがどこまでホントのことなのか、いぶかしがる向きもあるだろうけど、まあ、ウソかマコトかはかりかねるようなことこそ、北朝鮮にふさわしい。著者自身も、北朝鮮という世界一ミステリアスな国家のナゾを観光するんだ、と冒頭で書いている。
政治的辺境の地を歩くのが本書の狙いだ。その旅人はドラッグでアタマが飛んでるくらいが丁度いい。根拠はないが妙に納得できる。日本のスタンダードを持っていっても仕方ないんだし、ちょっとくらい人格を溶解させておいたほうがいいのかもね。
北朝鮮ツアーではうまいものがたくさん食べられるみたいだ。牛肉はちょっと硬いらしいが。でも、やっぱり人民は飢えてるみたいなんだけど……。
オンライン書店bk『平壌ハイ』
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